『ワイルド・スピードMAX』 カーアクション映画の人気シリーズで、スバル車が初めて主役級の活躍を見せる!【 “いもっち”が語る! 銀幕のスバル vol.2】

スバルマニアを自負する"いもっち"こと井元貴幸がお送りしている、映画&ドラマに登場するスバル車をチェックするこの企画。今回はカーアクション映画の中でも若い人にも大人気の『ワイルド・スピード』シリーズから2009年に公開された第4作目にあたる『ワイルド・スピードMAX』に登場したインプレッサWRX STIを紹介しよう!

『ワイルド・スピード』シリーズは第1作目からトヨタ・スープラや日産スカイラインGT-R、ホンダ・シビックなど多くの日本車が登場している。これはシリーズ通して”必ず”と言っていいほどで、自分の愛車が出演することでテンションが上がるオーナーも多い。もちろん登場するモデルはストリートレース仕様が多くかなりのチューニングが施されているのが特徴だ。

(C) 2009 Universal Studios. All Right Reserved.
R34型スカイラインGT-Rを中心にアキュラNSXやS2000といったジャパニーズスポーツカーが数多く登場するのが『ワイルド・スピード』シリーズの大きな魅力。(『ワイルド・スピードMAX』)

劇中に登場するインプレッサWRX STIの型式は「GR”F”」!!

第4作目となる『ワイルド・スピードMAX』も日本車は数多く登場する。なかでも今回紹介するインプレッサWRX STIはシリーズの中でも初めて主役級の活躍をしたスバル車として注目を集めた。
ストーリー上では故ポール・ウォーカー演じるブライアン・オコナーが冒頭から中盤まで使用していたR34GT-Rがヴィン・ディーゼル演じるドミニク・トレットによって爆破されてしまったことにより、代わりのマシンとしてFBIの押収車駐車場で調達したのが3代目インプレッサWRX STIだ。

3代目インプレッサはWRCでの戦闘力をベースモデルから高めるべくハッチバックボディを採用。WRXもWRCのイメージを強く打ち出していた。2008年のWRCに投入されたものの、ポテンシャルに期待をいだかせつつも同シーズンでのスバルのWRC撤退により一線から退くことになった。

2代目までは4ドアセダンが主力のWRXシリーズも3代目にフルモデルチェンジする際にWRC(世界ラリー選手権)での戦闘力を高めるためにリヤオーバーハングを短くした5ドアハッチバックとして登場した。国内ではEJ20型2.0L水平対向4気筒DOHCターボエンジンを搭載した6速MTモデルがGRBという形式名で親しまれているが、実は北米仕様をはじめ輸出仕様のほとんどがEJ25型2.5L水平対向4気筒DOHCターボを搭載したモデルで形式名もGRFとなる。

北米仕様のインプレッサWRX STIに搭載された2.5LターボのEJ25。

国内仕様でも5速AT専用グレードとしてWRX STI A-LINEというモデルが存在し、エンジンはEJ25を搭載。こちらの形式もGRFと呼ばれる。
EJ20搭載のGRBは等長等爆エキゾーストを採用していたが、EJ25を搭載するGRFは不等長エキゾーストだったこともあり、劇中のエンジンサウンドも不等長ならではの排気音を聞くことができる。

インプレッサWRX STI A-Lineは2009年2月にリリース。”大人のプレミアムスポーツ”を掲げ、内外装にとどまらず、走りも上質かつスポーティなテイストにまとめられた。インプレッサWRXとしては異色の2.5Lターボ(EJ25)に5速ATを組み合わせた。4WDシステムはVTD-AWDを採用している。

劇中車のカスタム内容&装備をチェック!

とはいえ国内で親しまれているGRBの見た目と大きく変わらず何より人気の『ワイスピ』にスバル車が登場したことで多くのスバルファンは歓喜した。
劇中のインプレッサはシルバーとブラックのツートーンカラーが特徴的でカーボンボンネットやルーフベンチレーターなどが追加され、リヤスポイラーも大型の物へと交換されている。
インテリアではヴェルサイド製ステアリングを装着するほか、シートもヴェルサイドのD1-Rフルバケットシートを2脚設置。後席は撤去しロールケージが張り巡らされている。もちろんステアリングもヴェルサイドのコンバットを装着し、シフトノブまでもヴェルサイドのタイプRIIを装着するほど徹底的に統一されている。

これらのチューニングは『ワイルド・スピード』シリーズで長きにわたりカーコーディネートを担当するデニス・マッカーシー氏によるセレクトだ。
実際にステアリングを握ったポール・ウォーカーもメイキングで「1台欲しい!」というほど扱いやすくバランスの良い仕上がりになっていたそうだ。

(C) 2009 Universal Studios. All Right Reserved.
『ワイルド・スピード』シリーズは登場するクルマの種類はもちろん、それぞれのカスタムポイントも見どころの1つ。思わず一時停止して細かくチェックしたくなる。

これだけのチューニングが施されているインプレッサだが、クライマックスともいえる国境を超える廃坑のようなトンネルを走行するシーンでナビゲーションの画面が一瞬映るが、画面上に3つの円グラフが表示されていた。これは国内仕様のGRBにも設定されていた純正メーカーオプションのHDDナビで、国内仕様でもマルチインフォメーション機能としてアクセル開度や瞬間燃費などを円グラフとして表示できる機能を備えていた。他にもアンサーバック機能を始めとしたさまざまな設定をナビ上で行える機能も搭載していた。

インプレッサWRX STIの国内仕様に設定された純正メーカーオプションのHDDナビ。ナビ画面にアクセル開度などが円グラフで表示することができる。

ちなみに国内仕様では今は無きG-BOOK alphaにも対応していたが、もちろん輸出仕様にはそんな機能は装備されているはずもない。
ジョン・オーティス演じるアルトゥーロ・ブラガをインプレッサで連れ去るシーンでは、追手の迫る中に「道はわかっているか? 俺のGPSを貸そうか?」と皮肉たっぷりにブラガに言われるのだが、G-BOOK alphaが搭載されていたらブライアンはオペレーターにルートを聞くことができたかもしれない(笑)

2002年に登場した車載テレマティックスサービス「G-BOOK」が2005年にさらに進化した形となったのが「G-BOOK alpha」。ナビやエンタテインメントに加え緊急通報機能を備えた。
トヨタが中心となり、マツダ、スバルも対応ナビをメーカーオプションとしてラインナップした。携帯電話(スマホ)との連携やオペレーターによる運転支援など、これまでのナビにはない機能が搭載された。
G-BOOKのサービスは2022年3月をもって全てのサービスが終了した。ナビやエンタメはスマホとの連携が主流となり、緊急通報も標準装備化しつつある。

劇中車の元のカラーは「ライトニングレッド」?

物語の終盤はラズ・アロンソ演じるブラガの右腕、フェニックス・カルデロンの駆るフォード・トリノと壮絶なカーチェイスの上クラッシュし横転。ボロボロになってしまうインプレッサだが、横転した拍子にあらわになる車体の下側を見ると、なんとベースの車体色はライトニング・レッドだったことに驚かされる。
国内仕様車でも比較的流通が少ないレアな赤いインプレッサの結末は少々もったない気もするが、その活躍ぶりはストーリーのクライマックスを華やかに飾ってくれた。

国内仕様ではダークグレーメタリック、ピュアホワイト、ミッドナイトブルーパール、WRブルーマイカ、スパークシルバーメタリック、オプシディアンブラックパール、ライトニングレッドの全7色が用意されたが、ライトニングレッドは比較的レアなカラーだ。(写真は北米仕様)
『ワイルド・スピード(原題:Fast and Furious)』予告編ムービー。(Universal Pictures)
『ワイルド・スピードMAX』はBlu-ray/DVDなどの映像ソフトの他、各種動画配信サイトで視聴可能となっている。ド派手なカーアクションと共に、インプレッサの劇中での活躍をチェックしよう!
(C) 2009 Universal Studios. All Right Reserved.
ドミニクが冒頭で使用したのがビュイック・リーガルの最強モデルであるグランナショナルGNX。
(C) 2009 Universal Studios. All Right Reserved.
同じくドミニクが物語前半で使用したシボレー・シェベルSSは、初代の大衆車からマッスルカーへと舵を切った2代目モデル。
『ワイルド・スピードMAX』
Blu-ray: 2,075 円 (税込)
DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
(C) 2009 Universal Studios. All Right Reserved.

※2023年2月の情報です

『ワイルド・スピード』の新作にスバル車は登場するのか!?

『ワイルド・スピード』の10作目となる新作が発表された。公開は2023年5月予定となっており、東京オートサロン2023でもブースの出展やチケットの先行販売が行われ、再び大きな盛り上がりを見せている。
新作には果たしてスバル車は登場するのだろうか?

東京オートサロン2023の『ワイルド・スピード』ブース

キーワードで検索する

著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…