やはり「エアストリーム」は憧れるに足るカッコ良さだ! アルミボディ「キャンピングトレーラー」まとめ 【ジャパンキャンピングカーショー2023】

「ジャパンキャンピングカーショー2023」では、さまざまなブランドのキャンピングトレーラーが展示されていたが、その中で頂点に君臨しているのが、アルミ合金製のシルバーに光り輝くボディと、丸みを帯びた流線形のフォルムが特徴的な「エアストリーム」。やはり実物は、いつ見ても鳥肌が立つほどカッコイイ!今回はエアストリームの歴史や魅力を紐解きながら、同じアルミ合金製のボディで造られたキャンピングトレーラーをピックアップしてレポートしよう。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

キャンピングカーとキャンピングトレーラーの違い

「ジャパンキャンピングカーショー2023」を主催した一般社団法人日本RV協会(JRVA)の調査によると、2005 年の初調査以降、国内のキャンピングカー保有台数は増え続けており、2016年には10万台の大台を超え、2021年には13万6000台に達するなど、その人気は右肩上がりだ。

ひとことでキャンピングカーといっても、クルマとしての機能と居住空間が一体化していて自走できる、いわゆるキャンピングカーと、エンジンなどクルマとしての機能はなく、居住空間だけで自走できないキャンピングトレーラーに大別できる。

最近は、オリジナルのボディ形状はそのままに、比較的安価で手軽にキャンピングカーとしてカスタムできるハイエースベースのバンコンやエブリイベースの軽キャンパーが人気だ。その一方でアメリカやヨーロッパで古くから活用されてきたキャンピングトレーラーも、国内でのキャンピングカー人気の高まりとともに注目が集まるようになってきた。

NUTSが製作する「FORTUNA」。数多くのキャンピングカーが出展された「ジャパンキャンピングカーショー2023」の中にあって、「FIAT・DUCATO」ベースのキャンピングカーは、さまざまなチューナーから出展され、大きな注目を浴びていた。
キャンピングトレーラーの頂点に君臨するエアストリーム社製の「Flying Cloud 23 CB bunk」。23フィート(約7m)のCBタイプ(2段ベッド仕様)で就寝人員は7名とかなり大型だ。

キャンピングトレーラーは居住スペースの広さと自由度の高さがメリット

キャンピングトレーラーのメリットといえば、まず居住スペースが広く、旅先での自由度が高いことが挙げられる。キャンピングトレーラーには自走に必要なエンジンや運転席がないので、トレーラー内のほぼすべてを居住スペースとして利用することが可能。アウトドア以外にも、最近流行のリモートオフィスや書斎としても活用できるなど拡張性の高さも魅力だ。

また、ヘッド車(牽引車)と切り離しができるので、トレーラーを旅先の拠点としつつ、移動は取り回しのよいヘッド車を使うことで、現地での観光や買い出しなどが格段に便利になる。さらに、キャンピングカーと比べると、購入にかかるイニシャルコストや維持費などが安い点もメリットといえる。

その一方で特殊な運転テクニックになるほか、けん引免許(750kg以上の場合)、専用の駐車スペースなども必要になり、若干扱いづらさがあるのも確かだ。

トーザイアテオが出展していたドイツの老舗メーカーHobby社製の「beachy 360」の室内。小型トレーラーながら、極めて広い室内空間を確保している。

時代を超えて愛されるエアストリームの魅力とは

アメリカン・キャンピングトレーラーの頂点に君臨するエアストリームがLAで産声を上げたのは、1931年のこと。創業者のワーリー・バイアムが、自宅裏庭で「少年時代に見た幌馬車を改良してキャンピングトレーラーを作れないか」と考えて製作したのが始まりだ。

どこから見ても一目でエアストリームとわかる丸みを帯びた流線形のフォルムは、当時の航空機の構造からヒントを得て、何枚ものアルミ合金製の鋼板をリベットで止める構造を採用。この結果、軽量で空気抵抗が少なく、耐久性にも優れるキャンピングトレーラーに仕上がった。

エアストリームといえば、アルミ合金製のシルバーに輝くボディと、丸みを帯びた流線形のフォルムが最大の魅力ではあるが、このスタイルが誕生した1936年から一貫して同じ構造で製造されており、伝統を頑なに守り続けているところも魅力のひとつといえる。

そんなエアストリームの室内は、クラシカルなボディとは対照的に、近代的で洗練されたアメリカンカジュアルのインテリアが採用されており、豊かなアメリカを彷彿させる豪華な造りとなっている。この内外装のギャップが多くの人々を魅了し、時代を超えて愛され続ける所以なのかもしれない。

丸みを帯びたルーフとシルバーに光り輝くボディは王者の風格が漂っている。アルミ合金製の鋼板をリベットで止める構造は1936年から変わっていない。
「Flying Cloud 23FB」の室内。明るい色調で統一されたインテリアは、豪華でありながら機能的な造りとなっている。<出典:エアストリームジャパン>

キャンピングトレーラー入門にはけん引免許不要のタイプがオススメ

キャンピングトレーラーは、「移動する家」といえるほど広い居住スペースを持つことが特徴で、海外では森や海辺など環境のよいところに定置して、そこで生活している人が大勢いる。国内でもグランピング施設などが、車検適合外の大型キャンピングトレーラーを定置して活用するケースが増えている。アメ車好きで知られる所ジョージさんが、別荘に33フィートのエアストリームを定置しているのは割と有名な話だが、今後は個人でも定置して楽しむ人が増えるかもしれない。

一方でけん引することで、さまざまな場所でアウトドアや観光を楽しめるのもキャンピングトレーラーの魅力だが、国内の道路事情や使い勝手を考えると、全長5m程度の小型トレーラーが現実的。しかも、重量が750kg以下のトレーラーであれば免許は不要なので、入門用としてはこのクラスがオススメだ。また、このクラスならば乗用車はもちろん、ジムニーなどの軽自動車でもけん引可能なので、比較的手軽にキャンピングトレーラーライフを始めることができる。

KWORKSが手掛ける「TRAIL WORKS mini」は、全長4300×全幅1934mmとコンパクト。重量も750kgなので、けん引免許不要でジムニーでも引くことができる。

アルミ合金製ボディの小型キャンピングトレーラー4モデルをチェック

「ジャパンキャンピングカーショー2023」には、数多くのキャンピングトレーラーが出展されていたが、とりわけ多くのキャンパーの憧れの的となっているエアストリームの存在感は群を抜いていた。

エアストリームは、アルミ合金製のシルバーに光り輝くボディと、丸みを帯びた流線形のフォルムが最大の魅力。価格的には簡単に手を出せるレベルではないが、このシルバーに光り輝く独特のスタイルを一度でも見たことがある人は、キャンパーならずとも、そのカッコよさに惚れ惚れするだろう。

「ジャパンキャンピングカーショー2023」には、そんなエアストリームと同じアルミ合金製のボディで造られたキャンピングトレーラーがいくつも出展されていたので、最後に筆者目線でピックアップした使い勝手の良さそうな4モデルを紹介して話を締めくくろう。

■AIRSTREAM Bambi 16RB

アフリカを駆ける俊敏な鹿にちなんで名付けられた「Bambi」は、全長4990mm×全幅2490mmと比較的小ぶりで扱いやすく、国内ではエアストリームの中でも人気のモデル。コンパクトながら、丸みを帯びた流線形の美しいフォルムは健在!残念ながら重量は1360kgあるので、けん引免許が必要になる。
室内はアルミ合金の質感とマッチするホワイト基調のインテリアを採用。大人4人が就寝可能で、エアコン、FFヒーター、冷蔵庫、IHグリルなど高級感のある最新機材が搭載されている。

■Jayco Jay Flight 154BH

古くからアメリカン・キャンピングトレーラーを扱っているボナンザが輸入販売する「Jayco Flight 154BH」は、全長5500mm×全幅2200mm×全高3000mm とジェイフライトシリーズ中では一番コンパクトなモデル。大きくて重いLEDライト付き電動オーニングやルーフエアコンなどを標準装備しているが、アルミ合金製のボディのお陰で車両重量は1170kgと比較的軽量だ。
室内はエアストリームと同様、明るい色調のインテリアが採用されており、2WAY式冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、FFヒーターなど、高級感のある装備類を高い精度で埋め込んであり、きっちりした造りのよさが印象的。コンパクトながら、大人4名が就寝できるベッドスペースも装備している。

■KWORKS TRAIL WORKS mini

アルミ合金製の鋼板にコンテナのようなプレスを施した「TRAIL WORKS mini」は、全長4300mm×全幅1930mm×全高2300mmと一般的な駐車場にも入るサイズで扱いやすさ抜群!しかも重量は750kgと、けん引免許不要なので、キャンピングトレーラーの入門用としてオススメの1台だ。
コンパクトなサイズながら、必要にして十分な居住スペースを確保。100Ahのリチウムイオンバッテリーや2000Wのインバーターなど充実した電装品を装備しているので、第2のリビングスペースとしてリモートワークなどにも活用できる。

■AERO inc. CAMPING TRAILER

航空機組立においてグローバルな実績を持つAERO inc.が、本気で造ったというキャンピングトレーラー。筐体のみの提供だが、エアストリームと同様にアルミ合金+リベットで造られたボディにロマンを感じてしまう。

■KWORKS CARGO

カーゴトレーラーながら、しっかりとした断熱施工が施されている「CARGO」は、大切なバイク、ロードバイク、キャンプ用品などを収納するには打って付けの、まさに「大人の秘密基地」的なトレーラー。フラットなアルミ合金で造られたボディは、全長3345mm×全幅1840mmと軽自動車並みのサイズなので、軒先に駐車しておけば倉庫としても活用できる。
後方のドアを倒せば丈夫なスロープに変身するので、大型バイクでも楽に出し入れできる。さらにサイドにもドアがあって使い勝手は抜群!バイク好きにはたまらないカーゴトレーラーだ。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…