目次
キャンピングカーとキャンピングトレーラーの違い
「ジャパンキャンピングカーショー2023」を主催した一般社団法人日本RV協会(JRVA)の調査によると、2005 年の初調査以降、国内のキャンピングカー保有台数は増え続けており、2016年には10万台の大台を超え、2021年には13万6000台に達するなど、その人気は右肩上がりだ。
ひとことでキャンピングカーといっても、クルマとしての機能と居住空間が一体化していて自走できる、いわゆるキャンピングカーと、エンジンなどクルマとしての機能はなく、居住空間だけで自走できないキャンピングトレーラーに大別できる。
最近は、オリジナルのボディ形状はそのままに、比較的安価で手軽にキャンピングカーとしてカスタムできるハイエースベースのバンコンやエブリイベースの軽キャンパーが人気だ。その一方でアメリカやヨーロッパで古くから活用されてきたキャンピングトレーラーも、国内でのキャンピングカー人気の高まりとともに注目が集まるようになってきた。
キャンピングトレーラーは居住スペースの広さと自由度の高さがメリット
キャンピングトレーラーのメリットといえば、まず居住スペースが広く、旅先での自由度が高いことが挙げられる。キャンピングトレーラーには自走に必要なエンジンや運転席がないので、トレーラー内のほぼすべてを居住スペースとして利用することが可能。アウトドア以外にも、最近流行のリモートオフィスや書斎としても活用できるなど拡張性の高さも魅力だ。
また、ヘッド車(牽引車)と切り離しができるので、トレーラーを旅先の拠点としつつ、移動は取り回しのよいヘッド車を使うことで、現地での観光や買い出しなどが格段に便利になる。さらに、キャンピングカーと比べると、購入にかかるイニシャルコストや維持費などが安い点もメリットといえる。
その一方で特殊な運転テクニックになるほか、けん引免許(750kg以上の場合)、専用の駐車スペースなども必要になり、若干扱いづらさがあるのも確かだ。
時代を超えて愛されるエアストリームの魅力とは
アメリカン・キャンピングトレーラーの頂点に君臨するエアストリームがLAで産声を上げたのは、1931年のこと。創業者のワーリー・バイアムが、自宅裏庭で「少年時代に見た幌馬車を改良してキャンピングトレーラーを作れないか」と考えて製作したのが始まりだ。
どこから見ても一目でエアストリームとわかる丸みを帯びた流線形のフォルムは、当時の航空機の構造からヒントを得て、何枚ものアルミ合金製の鋼板をリベットで止める構造を採用。この結果、軽量で空気抵抗が少なく、耐久性にも優れるキャンピングトレーラーに仕上がった。
エアストリームといえば、アルミ合金製のシルバーに輝くボディと、丸みを帯びた流線形のフォルムが最大の魅力ではあるが、このスタイルが誕生した1936年から一貫して同じ構造で製造されており、伝統を頑なに守り続けているところも魅力のひとつといえる。
そんなエアストリームの室内は、クラシカルなボディとは対照的に、近代的で洗練されたアメリカンカジュアルのインテリアが採用されており、豊かなアメリカを彷彿させる豪華な造りとなっている。この内外装のギャップが多くの人々を魅了し、時代を超えて愛され続ける所以なのかもしれない。
キャンピングトレーラー入門にはけん引免許不要のタイプがオススメ
キャンピングトレーラーは、「移動する家」といえるほど広い居住スペースを持つことが特徴で、海外では森や海辺など環境のよいところに定置して、そこで生活している人が大勢いる。国内でもグランピング施設などが、車検適合外の大型キャンピングトレーラーを定置して活用するケースが増えている。アメ車好きで知られる所ジョージさんが、別荘に33フィートのエアストリームを定置しているのは割と有名な話だが、今後は個人でも定置して楽しむ人が増えるかもしれない。
一方でけん引することで、さまざまな場所でアウトドアや観光を楽しめるのもキャンピングトレーラーの魅力だが、国内の道路事情や使い勝手を考えると、全長5m程度の小型トレーラーが現実的。しかも、重量が750kg以下のトレーラーであれば免許は不要なので、入門用としてはこのクラスがオススメだ。また、このクラスならば乗用車はもちろん、ジムニーなどの軽自動車でもけん引可能なので、比較的手軽にキャンピングトレーラーライフを始めることができる。
アルミ合金製ボディの小型キャンピングトレーラー4モデルをチェック
「ジャパンキャンピングカーショー2023」には、数多くのキャンピングトレーラーが出展されていたが、とりわけ多くのキャンパーの憧れの的となっているエアストリームの存在感は群を抜いていた。
エアストリームは、アルミ合金製のシルバーに光り輝くボディと、丸みを帯びた流線形のフォルムが最大の魅力。価格的には簡単に手を出せるレベルではないが、このシルバーに光り輝く独特のスタイルを一度でも見たことがある人は、キャンパーならずとも、そのカッコよさに惚れ惚れするだろう。
「ジャパンキャンピングカーショー2023」には、そんなエアストリームと同じアルミ合金製のボディで造られたキャンピングトレーラーがいくつも出展されていたので、最後に筆者目線でピックアップした使い勝手の良さそうな4モデルを紹介して話を締めくくろう。