快適性とハンドリング両立させる電動減衰力コントローラーの世界【キーワードでたどる旬のカーグッズ・ムーブメント 2022-23 CarGoodsMagazine】

減衰力調整式ショックアブソーバーは、調整次第で旋回性能と快適性を状況によって変えることができるが、その調整は基本的に手動で行うためにかなり面倒。そのネックを解消するのが電動減衰力コントローラーだ。その最新製品の実際をここでチェック!

減衰力を自動調整してくれる画期的なTEINの『EDFC』

2002年登場の『EDFC』は、TEIN(テイン)の減衰力調整式ショックアブソーバーの減衰力を、車内から気軽に調整できるようにした画期的な装置としてヒット。『EDFC』は時代とともに進化し、2014年には加減速G、旋回G、車速感応の3つの減衰力自動調整機能を搭載した4世代目の『EDFCアクティブプロ』が登場。

そこからさらに、新たな制御を追加でした登場したのが本モデル、5代目『EDFC 5』だ。
最大の特徴は、ジャーク(JERK=躍度)感応自動調整モードを追加した点。躍度とは、加減度の変化量のことで、この変化量に応じて減衰力を制御することで、過渡期における旋回荷重のオーバーシュートを抑制。収束を早めることで、旋回性能の向上と乗り心地の両立を実現しているのだ。
さらに、学習機能=AIを搭載することで、ユーザーのドライビング状況を学習し最適な調整を自動で行うことができる点も特徴。従来からの『EDFC』ファンはもちろん、サスチューンにちょっと興味を持っている人にもチェックしてもらいたいアイテムといえそうだ。

TEIN『EDFC5(価格:10万5050円(1台分セット)/税込)』
テインでは自社の多くのショックアブソーバー(別売)とEDFCの組合せ可能にしている。

ブリッツはサスペンションキットとセットでトータルチューン

他方、ブリッツの『ダンパーZZ-R スペックDSCプラス』は、全長調整式サスペンションと電子制御式の減衰力調整ユニットを車種別セットで組み合わせた車種別専用設定。独自の制御アルゴリズムによって自動的に減衰力を調整するほか、Gセンサーを標準搭載し、マップ制御モードでは旋回G、加減速G、車速から細かな減衰力調整が可能となる。
フルオートモード搭載では、ストリートからサーキットまでに対応可能な減衰力最大96段調整により、乗り心地とハンドリングを乗車人数や走行状況に合わせて最適化し、姿勢を安定させてくれる。だから、乗車人数が変わっても、走行シチュエーションが違っても優れたハンドリングと、快適な乗り心地を両立してくれるのだ。

BLITZ『DAMPER ZZ-R Spec DSC PLUS(価格:26万700円~/税込)』
ブリッツでは車種ごとにショックアブソーバーとコントロールユニットをセットにしている。

減衰力のフルオート調整でサスチューンの常識が変わった

従来、サスペンションチューニングをした低車高、大径ワイドタイヤ装着車は、見た目のカッコよさやスポーティな走りと引き換えに、正直乗り心地などの快適性は犠牲にしていたところがある。しかし、電動減衰力コントローラーの登場でサスチューンに光が差し、さらに減衰力フルオート調整の登場で、走りと快適性が両立できるようになった。
1台のクルマを多用途で使っているなら、サスペンション系のチューニングによって起きがちない、クルマの乗り心地からくる家族の不満を解決する万能ツールにもなるだろう。

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