キャデラックがル・マン24時間レースに復帰! 新型レーシングカー「Vシリーズ.R」3台が参戦

キャデラックはこのほど、6月に開催されるル・マン24時間レースに、新たに「キャデラックVシリーズ.R」と名付けられた3台の新型レーシングカーで復帰し、ハイパーカークラスの総合優勝を目指すことを発表した。

「Vシリーズ.R」は2022年に発表された「プロジェクトGTPハイパーカー」からヒントを得たデザイン。縦型ライトやフローティングブレードなど、キャデラックの特徴的なデザイン要素が盛り込まれている

キャデラックはこのほど、6月に開催されるル・マン24時間レースに、新たに「キャデラックVシリーズ.R」と名付けられた3台の新型レーシングカーで復帰し、ハイパーカークラスの総合優勝を目指すことを発表した。

キャデラックのグローバル・バイスプレジデントであるローリー・ハーヴェイ氏は、「キャデラック・レーシングがチーム一丸となって、ル・マン24時間レースに復帰できることをとても喜んでいます。キャデラック・レーシングは、過去20年にわたり、サーキットでの勝利という伝説を築き上げてきました。そして、レーシングの電動化というこのエキサイティングな新時代にル・マンに復帰することができ、非常に光栄に思っています」と述べている。

3台の「キャデラックVシリーズ.R」は、1月28〜29日の「第61回ロレックス・デイトナ24時間レース」でデビューし、「Vシリーズ.R/01号車」は、見事表彰台を獲得した。「Vシリーズ.R/02号車」は4位、ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/31号車」は5位に入賞している。この3台は、ル・マン24時間レースではカーナンバーを変更して、ハイパーカークラスに参戦、競合たちと総合優勝を目指して闘う。

「Vシリーズ.R/2号車」は、FIA世界耐久選手権にフルシーズン参戦していることから、自動エントリーとなった。ドライバーは、アール・バンバー選手、アレックス・リン選手、リチャード・ウエストブルック選手。

「Vシリーズ.R/3号車」は、01号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にフル参戦する。ドライバーは、セバスチャン・ブルデー選手、レンジャー・ファン・デル・ザンデ選手、スコット・ディクソン選手が務める。

ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/311号車」は、31号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にシーズンを通して参戦する予定だ。ドライバーはピポ・デラーニ選手、アレクサンダー・シムズ選手、ジャック・エイトケン選手の3名。

GMスポーツカー・プログラムマネージャーのローラ・ウォントロップ・クラウザー氏は、このように述べている。
「キャデラックが世界で最も過酷なレースのひとつであるこのレースで、国際的に最も優れた選手たちと競い合い、そのレーシング・レガシーを築くことに、大きな喜びを感じています。私たちは米国を代表していること、そして『キャデラックVシリーズ.R』が私たちのレースの伝統を受け継ぐ素晴らしいマシンであることを誇りに思います」

2020年にキャデラックは、IMSAとWECの耐久レースのトップカテゴリーを収束させるための指針を発表した。これを受けて新型レーシングカーの設計・開発はすぐに開始された。

プロジェクトGTPハイパーカー

キャデラック・デザインとキャデラック・レーシング、シャシー・コンストラクターのダラーラ社が共同開発した「Vシリーズ.R」のデザインは、2022年6月に発表された「プロジェクトGTPハイパーカー」からヒントを得ている。このレースカーには、縦型ライトやフローティングブレードなど、キャデラックの特徴的なデザイン要素が盛り込まれている。

「Vシリーズ.R」は、ミシガン州ポンティアックを拠点とするGMのパフォーマンス&レーシング推進チームが開発した、新型のキャデラック5.5ℓV型8気筒DOHCエンジンを搭載しているのが特徴だ。また、ボッシュ、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(現WAE)、エクストラックが開発したエネルギーリカバリーシステムを採用している。

ル・マン24時間レースで2度の総合優勝経験を持つドライバー、アール・バンバー選手は、「キャデラックがル・マンに復帰し、総合優勝に挑戦することを私たちは楽しみにしています。米国の自動車メーカーが偉業を達成するのは数十年ぶりのことであり、目標達成に向けて強力に後押ししていきます」と語っている。

「Vシリーズ.R」は、2022年7月にサーキット走行での開発を開始し、2023年のロレックス・デイトナ24時間レースに向け、米国内のレーストラックで1万2400マイル(約2万km)以上を走破している。バンバー選手は、「このプロジェクトに最初から参加できたことは、特別な経験でした。2年ほど前のシミュレーターを使ったテストから、この旅が始まりました。素晴らしい旅で、冒険はまだ始まったばかりです。ル・マンまでの道のりは、きっと最高なものになるでしょう」と述べた。

ル・マンにおけるキャデラック

1950年、キャデラックはブリッグス・カニンガム選手とマイルズ&サム・コリアー選手がプライベーターとして、ル・マンに初参戦した。このときの「シリーズ61クーペ」は、いずれもキャデラックの5.4ℓV型8気筒OHVエンジンを搭載していた。

マイルズ選手とサム・コリアー選手は「プチ・パタオ/3号車」を駆り、総合10位でフィニッシュ。ブリッグス・カニンガム選手は「ル・モンストル/2号車」をフィル・ウォルターズ選手と組み、序盤にコースアウトするアクシデントがあったものの、総合11位となった。また同年、シドニー・アラード選手、トム・コールJr.選手は、キャデラックエンジン搭載の「アラードJ2」で総合3位を獲得している。

最近では、2000年、2001年、2002年のル・マン24時間レースに、キャデラックの4.0ℓV型8気筒ターボエンジン搭載の「ノーススターLMP」で参戦している。

2000年は、フランク・ラゴルス選手、ブッチ・ライツィンガー選手、アンディ・ウォレス選手のチーム・キャデラックの「キャデラック ノーススターLMP/1号車」が総合21位、ウェイン・テイラー選手、マックス・アンジェレッリ選手、エリック・ヴァン・デ・ポール選手が姉妹車の2号車を駆り、22位でフィニッシュしている。

2001年には、テイラー選手、アンジェレッリ選手、クリストフ・タンソー選手の「キャデラック・ノーススターLMP01」が、LMP900で15位に入った。一方、エリック・ベルナール選手、エマニュエル・コラール選手、マルク・ホーセンス選手のチームによる2台目の「LMP01」は、メカニカルトラブルでリタイアした。

そして2002年は「キャデラックLMP02」が2台参戦。アンジェレッリ選手、ティンソー選手、テイラー選手のチームは総合9位に入賞。ベルナール選手、コラール選手、J.J.レート選手によるもう1台のキャデラック「LMP02」は共同ドライブで、12位でフィニッシュした。

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