まさか最終モデル? 日産GT-R 2022年モデル 特別仕様車T-spec抽選申し込み、本日開始!

これはまさかの最終モデル?! 特別仕様車は100台限定!日産GT-R(R35)の2022年モデル発表 開発者にいろいろ訊いてみる

日産GT-R2022年特別仕様車を前に開発に関わった三名
日産GT-R(R35)2022年モデルの特別仕様車、NISSAN GT-R Premium edition T-spec(税込車両本体価格:1590万4900円)
14日に発表となったNISSAN GT-R2022年モデルと、ボディカラーにもこだわった特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」、「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」。その特別仕様車の2モデルの抽選申し込みが、本日(15日)より開始となる。申込期間は9月29日までの2週間なのでお忘れなきよう!

MY22モデル、発表です

日産ファン、GT-Rファン、35ファンが待ち焦がれた2022年モデルが、昨日(14日)横浜・日産グローバル本社ギャラリーにて発表された。左からGT-R(とフェアレディZ)のチーフ・プロダクトスペシャリストである田村宏志さん、そしてアドバンスドデザイン部担当部長・山口勉さん、車両開発主管である川口隆志さん。開発に携わった主要メンバーである3名が登壇した

GT-R NISMO2022年モデルは、オーダー受付がすでに終了していることを残念に思っていた皆さまにも朗報となったであろう今回の発表、時節を鑑みYouTubeにてリアルタイム配信がされたのでご覧になったかたも多いと思います。

「良いモノをより良くする」という理想を追い求め、モデルを重ねるごとに深化を続けるGT-R。

もちろん今回の開発でも、メカニズム面での改良はそこかしこに施されているが、特別仕様車T-specで一番に着目してもらいたいのは、その「色」の表現です、と開発主査であるチーフ・プロダクトスペシャリストの田村宏志さんは言う。

その色とは……。

MY22の発表の記事は既出の別記事でご覧いただくとして、今回は、発表会には初登場だという、カラーデザイン一筋であるアドバンスドデザイン部担当部長の山口 勉さん、そして車両開発主管である川口隆志さんからとても面白い開発時の話が聞かれたので、ボディカラー開発のオハナシです。

R33、R34のオマージュ色

今回のT-specを作るにあたって田村さんからボディカラーチームへリクエストされたことは、古いものをオマージュして「GT方向」と「R方向」の色を表現してほしいという、ふたつ。

GTはよりプレミアム感を追求したGRAN TURISMO、Rはより走りを追求したRACING TECHNOLOGYを意味する。縦方向の軸がGT、横方向の軸がRで、GT-Rはちょうど真ん中に位置するモデルであることがわかる。そしてGT-RのなかでもNISMOは横方向軸寄り(走り重視)、Premium editionは左方向軸寄り(乗り心地重視)となる

R方向となるNISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-specに採用された「ミッドナイトパープル」は、オーロラから着想を得たというカラー。GT-Rファンならば、そのカラー名に聞き覚えがあるだろう。そう、R34のローンチ時の300台限定特別車(ミッドナイトパープルⅡ)、そして後期(ミッドナイトパープルⅢ)で採用された、見る角度によって変化するアノ色。

そしてGT方向のNISSAN GT-R Premium edition T-specのカラー「ミレニアムジェイド」。こちらはR34のファイナルエディションであるM.specに採用されたオリジナルカラーを忠実に再現したものとなるが、まずはミッドナイトパープルの話から。

GT-Rは憧れられて、そして真似される存在

田村さんからのリクエストに山口さんが「じゃあミッドナイトパープル、いきますか」と提案して決まったR方向、Track edition(T-spec)のカラーだが、その変遷も興味深かった。

右の色板がR33で使用されていたオリジナルのミッドナイトパープル。マットカラーで、R34のミッドナイトパープル(Ⅱ・Ⅲ)そして今回のミッドナイトパープルとは異なる。左はミッドナイトパープルⅡの色板。曲げることで色が変化していることがわかる。ちなみに、オリジナルカラーも山口さんが作った張本人。さすが、GT-Rのカラー(と田村さん)に携わって30年近くなるというカラーのスペシャリスト!

R33に採用したオリジナルのミッドナイトパープルだが、すんなりと紫という色に決まったわけではなかった。そもそも紫はボディカラーとしてはタブー色と言われており、当初はグレーやブルーをベースに開発をしていたという。だが、その開発は困難を極めた。
「GT-Rは、第一世代のハコスカやケンメリのオバフェンのように特徴的なアイテムがある(憧れてそのパーツをつけ楽しんでもらえたように)ことからもわかるように、つねに憧れられて、そして真似される存在でなければならないのに、ブルーやグレーでは、どうしても “どこかで見た” 感が拭えなかったんです。そこで、“特別色というものも憧れられ、真似される存在”にしたい、という想いをもとにタブー色の紫にチャレンジすることにしました」(山口さん)

だが、紫はややもするとケバケバしくなったり、下品な感じになってしまう難しいカラー。そうならないよう、GT-Rの持つ本物の凄みを表現できるように、明度を下げ、暗い中にも紫を感じる紫色を作り上げた。存在感抜群のR33特別色、オリジナルミッドナイトパープルの完成である。

新開発の顔料採用

その後、R34の開発が終盤にさしかかる頃、アメリカで新顔料・マルチフレックス顔料というものが開発されたという記事を読み、これをR34で採用したい! と強く思った山口さん。情報を集めるとどうやら開発されたばかりで数量も限られており、値段もめちゃくちゃ高い。しかも、まとめて購入してくれ(金額が嵩む)というオマケ付きで、社内では不確定な材料に手を出すのはやめようという声が多数を占めていた。それにもかかわらず採用できたのは、当時商品企画の部署にいた田村さんが「買う! 買う!」と言ってくれたからなんだとか。

「当時はツートーンカラー、パールとかグレーとかが入っているツートンで5万円くらい(プラスでかかった)。そんな時代に15万円くらいの価格で成立するという(高価な)もので、台数もそんなに出ない。その台数がまとまるかどうか不安だったんだけど、300台、あっという間に売り切れたね」(田村さん)
「おかげで日本初のカラーリングとして販売することができた。300台限定、というのはもったいつけたわけではなくて、じつは材料が300台分しかなかったからなんですが……」(山口さん)

車体色の評価方法は、通常は午前中の紫外線が強いときに外で行なわれる。開発終盤になると、仕様地に合わせてアメリカならアメリカ、中国なら中国ともちろん現地へ持ち込んで評価をするのだが、それはアタリマエの評価方法。GT-Rにはそれに加えて、“夜の評価”というものが存在する。夜のサービスエリアの水銀灯の下、そして他車のヘッドライトが当たったときの評価(光源が小さくなるため、色の輝く範囲も当たり前に小さくなる。いかにきれいに魅せるかをチューニングする)の2点。「水銀灯の下でチェックしない色はGT-Rにはなれない!」(田村さん)というくらい重要な評価方法なのだ。ここからも、GT-Rの特別さがわかる。(写真はTrack edition engineered by NISMO T-spec。税込車両本体価格:1788万1600円)

同じ色? いいえ、違うんです。

カラー名は一緒でも、調合としてはまったくの新色となる今回のミッドナイトパープル。系統としてはR33からの流れを汲むが、角度によって色の変化が楽しめるR34特別色からの新色となる。今回は、R34で使用したパープル主体のものではなく、「イマ風の仕上がり」かつ「R35のボディに合った色、そして変化の仕方」を追求、オーロラの発光しているような、暗いなかでも紫を感じるカラーを表現。動画記事で少し伝わりましたか。

では、お次はPremium edition(T-spec)のカラー「ミレニアムジェイド」。前述したとおり、R34のファイナルエディション・M.specのカラー。スポーツカーとしては珍しい落ち着いた色合いのこのカラーは、「高品質な乗り心地を重視したM.specに合う、大人な色を作ってくれ」というリクエストのもと、生まれたと言います。

「日本の古い言葉に、四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)という言葉がありますが、日本の伝統色を研究するうちに、当初のスポーツカーって赤! とか青! でしょ? という考えかたから、日本人として繊細にわかる色を吟味して作り込んでいく方向を考えました。そしてたどり着いたのがグレイッシュグリーンのカラー。ニュルブルクリンクの森の中に持って行って、決めました。田村さんに『緑の中で緑に挑戦するんだな』って言われたことを憶えてます(笑)」(山口さん)
※四十八茶百鼠は暗い色や限られた色でも、繊細で絶妙なこだわりで多彩な色を作り上げたことからつけられた呼び方と言われています(諸説あり)。

田村さんの言うところ「森の緑の中でも “映える緑” 」、今回採用することが決まったときにミッドナイトパープルのように進化版カラーとすることも考えたが、完成度が高いオリジナルカラーを再現することに。
だが、同じカラーを再現と一口に言っても、当時とは素材も環境も、もちろんクルマの作り方もまったく違ったモノ。その行程は新色開発よりももっと厄介で苦労があった、と言うのは車両開発の主管である川口隆志さんだ。

「同じ色の再現、流用と言っても当時とは塗料もまったく変わっているんですよ。R34時代は揮発性のある油性塗料でしたが、いまは水性塗料。もちろん塗装工程である焼き付ける温度や時間も変わってきているなかで、『昔塗った色だからいいよね!』と提案をされたのですが、じつは新色開発と同じ、いやそれ以上の難しさなんです。『元と同じ色を再現』するのは条件が同じじゃない場合は非常に難しいんです。ミクロン単位での調合を施すことでなんとか同じ色にできました」(川口さん)
「R34でやったベイサイドブルー。これも塗料の問題でいまはもう塗れない。それで、ワンガンブルーを開発してもらったんだよね。色は年々難しくなる」(田村さん)

これはまさかの最終モデル?!

世界的に内燃機関のモデルがなくなっていく昨今、いつかはGT-Rもその姿を変えていくことになるだろう。MYが発表されるたびに「あぁ、よかった。まだ買える」(実際には買えないのですが、販売されているかいないかは重要)と思っている35大好き筆者ですが、今回の発表時に「特別仕様車2台のボディカラーは、R33やR34など歴代モデルに採用されてきたものの進化版です」と言われてゾワっとした。

そんな色使いをするなんて! まさか、コレが最終モデルなんてことは……ないですよね?

ドキドキしながらその疑問をにぶつけると、山口さんは「ドキドキしますよね。たしかに。いや~でも、ボクはまだまだ頑張りたいな。もう一色二色はやりたいな、せめて」と笑ってくださった。これは、大丈夫そう? と思ったら、田村さん即答「最後です!」

……え????????

と固まっていたら「いや、まだまったく未定ですよ」と悪~い顔して笑っている。くぅ。
R35ファンとしては、まだまだ頑張っていただきたいので、日産様、なにとぞ、よろしくお願いいたします。なにとぞ!!!
そして、ファンの皆さま、こちらのT-specは両モデル合わせて100台限定(の予定)です。もしかしたら、申し込みが殺到したら、100台といわずもっと作ってくださるかも(日産様、なにとぞ!)しれませんが、とりあえずは100台限定です。抽選販売となっているので、気になるかたは応募してくださいね。

申込期間は本日9月15日(水)~9月29日(水)の2週間です! 申し込み忘れなきよう!
詳しくは、日産自動車販売店、NHPC(日産ハイパフォーマンスセンター)までお問い合わせください。

開発話は、聞けば聞くほど面白いですね。発表会当日だったので、バタバタでの取材となってしまいましたが、次回はもっとゆっくりと皆さんのお話を聞かせていただきたく思いました。
おや? R35連載、復活のキザシ……?

著者プロフィール

生江 凪子 近影

生江 凪子

クルマ酔い防止で車外のクルマを見て育ち、気づいたときには取得した幼稚園免許/保育士資格を使うことな…