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「四駆って感じのワイルドさがカッコイイ!」90年代のネオクラSUV
早いもので令和5年です。つい先日まで平成で、ちょっと前が昭和だと思っていましたが、平成が始まった1989年は30年以上も前のこと…。 巷では、そんな“ひと昔前”の90年代ちょっと古い中古車が「ネオクラシック」と呼ばれ、静かなブームとなっています。
「GT-R」や「スープラ」「シビック タイプR」などのスポーツカーだけでなく、SUVのジャンルにもそのブームはやってきていて、特に、当時を知らない“Z世代”の若者にとって90年代ネオクラ(ネオクラシック)SUVは「自動車らしい形をしていて、今のクルマと違った魅力がある」「四駆って感じのワイルドなシルエットがカッコイイ」とジワジワ人気になっています。また、この年代のクルマだと、バリバリの旧車と違って現代のカーライフでも不便を感じない程度の快適装備を備えていたり、比較的コンデションの良い車両が中古車市場に流通しているので手を出しやすい。ということも人気の一因となっているようです。
ということで、大人にとっては「懐かしい」。若者にとっては「逆に新しい」という魅力をもつ90年代のネオクラSUVの代表車種をピックアップしていきましょう。ちなみに当時は「SUV」ではなく「四駆」や「RV」と呼ばれていましたね。CDチェンジャーも搭載されていたりして。
トヨタ・ランドクルーザー
当時から本格高級SUVとして憧れの車種として人気だったのがトヨタ「ランドクルーザー」です。通称ランクル。
ランクルは3車種(ステーションワゴン系、ヘビーデューティ系、プラド系)に系統が分類されていて、90年代に発売されていた7代目の80系は「ステーションワゴン」の系列となり、フラッグシップとして先進技術を刷新していく、現行300系に続く系統です。先代の60系と比べ、ボディサイズがひとまわり大きくなり、5mに迫る全長と1900mmを超える全幅、内外装の質感向上と装備の充実により高級SUVへと変化し、人気がいっそう高まりました。しかし、ながら高級路線を進みつつもラダーフレームと前後リジッドアクスルという構成は維持しオフロード高い走破性を保っています。
90年代には、7代目の80系(1989~1997)と、8代目の100系(1998~2007)が販売されています。過走行車でもビクともしないタフな車体が魅力で、現在でも中古市場では高値が続いています。また、2023年中にヘビーデューティ系のランドクルーザー70が復活するとの噂もあり盛り上がりをみせています。
三菱・パジェロ
ランドクルーザーと人気を二分する本格SUVの三菱「パジェロ」は、四駆といえばパジェロという程の高い知名度と人気を誇っていました。当時の人気TV番組TBSテレビの“東京フレンドパーク” の「パジェロ!パジェロ!」の掛け声でダーツを投げるシーンを懐かしいと思ってしまう世代も多いのでは…。
1991年に登場した2代目は、ラダーフレームや足回りなどを初代から受け継ぎつつ各部をリファイン。エンジンは3.0ℓV6ガソリンと2.5ℓディーゼルターボを搭載し、1993年のマイナーチェンジで3.5ℓV6ガソリンと2.8ℓディーゼルターボ、1996年には2.3ℓの直列4気筒ガソリンをそれぞれ追加。また、1997年の改良で3.5ℓV6エンジンに世界初となる直噴機構GDIを搭載してます。
90年代には、2代目(1991~1999)と、3代目(1999~2006)が販売されていた。日本での販売は2019年に惜しまれつつ終了しました。
トヨタ・ハイラックスサーフ
トヨタ「ハイラックスサーフ」は90年代RV(リクリエーショナル・ヴィークル:休暇を楽しむための車)を代表する一台です。ピックアップトラックの「ハイラックス」をベースとして、乗用車感覚で乗れるオシャレなデザインの5人乗りSUVとしたことで、夏は海に、冬はスキーにという当時のアクティブな若者たちに大人気となりました。V6エンジンを搭載しセンターデフ付パートタイム4WDを備えるなど、走りのポテンシャルが高いのも評価のポイントです。
90年代には、2代目のN130系(1989~1995)と、3代目のN180系(1995~2002)が販売されていた。日本では2009年にランドクルーザープラドに統合されるかたちで販売終了し、26年の歴史に幕を閉じます。海外では現在も「4Runner」という名称で販売が続いていて人気を集めています。実際に筆者(40代前半)の実家もハイラックサーフに乗っていたので愛着のあるクルマです。
日産・テラノ
日産「テラノ」はピックアップトラックである「ダットサントラック」をベースとするクルマで、スッキリとした直線基調なボディラインで、タフさとスタイリッシュさを兼ね備えたデザインが若者に大人気となった1台です。
走行条件に応じて前後輪のトルク配分を100:0から50:50の範囲で制御する4WDシステムを備え、オフロード走行性能に優れていた。90年代に発売されていたのは、初代のWD21型(1986~1995)と2代目のR50型(1995~2002)です。2代目は、95~96年の日本カーオブザイヤー特別賞を受賞しています。日本では2002年に販売終了となりましたが、北米を中心とした海外市場では「パスファインダー」の名前で後続車種が現在も販売されています。
スズキ・ジムニー
スズキを代表する軽SUV「ジムニー」は、軽自動車でありながらクロスカントリー車の伝統であるラダーフレームとパートタイム4WDを採用しています。小回りの効く車体を活かした高い悪路走破性をもつ本格オフローダーとして根強い人気を誇るモデルです。
90年代に主力だった2代目は81年〜98年までの17年間も発売されていたロングセラーモデルです。ラダーフレームにパートタイム4WDとリーフリジットという本格オフローダーの伝統を受け継ぎつつも、オンロード性能も向上させた設計となりました。2代目はエアコンやパワーステアリングが装着されたことで、格段に運転しやすくなっているのも特徴です。AT限定免許でも運転でき、64馬力のターボエンジン+軽量なボディ(910kg)で、オフロードの走破性能は現代でもかなり上位の実力を持っていると言ってもいいでしょう。
2代目のなかでも、第1期(SJ30)81年~86年モデルと、ターボエンジンが追加された第2期(JA71)86年~90年モデルまでは550ccエンジンを搭載。第3期(JA11)90年~95年モデルから、軽自動車の規格が拡大されエンジンが660ccへと変更されています。第4期(JA12/22)95年~98年モデルからはドアミラーが標準化されるなど乗用向けの快適性が高められています。