世界のユーザーを魅了したスタイリングの勝利 3代目日産ブルーバード

ブルーバード 3rd(510)1967 起死回生!コロナを逆転【週刊モーターファン ・アーカイブ】

車が二台
1969年の一部改良後のモデル。スタイリッシュさはいまでも色あせない。ちなみに後ろは1968年に追加された初代サニー2ドアクーペ
ブルーバードの、いや日本車の歴史で語らなければならないモデルが510型。
BC戦争激化のなか登場し日本国内のみならず、北米マーケットでも大成功を収めたモデルである。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●小林 敦志(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

初代、2代目は性能の高さと人気で、ライバルであるコロナを寄せ付けずクラストップセラーカーとなっていた。しかし3代目コロナ(バリカンコロナ)が、デザインクオリテイの高さと、新機軸に頼らず既存技術を煮詰めた信頼性の高さで初めてブルーバードを販売面で抜き去った。時代は「マイカー」という言業が急速に身近な存在となっていた。日産は1967年に510型ブルーバードを戦に送り、コロナとのお互いの頭文字をとった「BC戦争」も天王山を迎えることとなった。

オーソドックスなボックススタイルを基調とし、「スーパーソニックライン」と称された、直線的で彫りの深いデザインでまとめられたエクステリアを採用。搭載エンジンは旧型とは排気量は同じなのだが、新開発の1.3ℓOHCエンジン。510型はエンジンのみならず、メカニズム面でも一新されていた。とくに日産では初の4輪独立懸架を採用したのが「最も注目すべき点」として、当時のモーターファン誌でも紹介されていた。フロントはマクファーソンストラット、リヤはセミトレーリングアームを採用。

エアルーバーを採用し、三角窓を廃止にするなど、ライバルコロナに対し先進イメージを強調した。

1968年登場のクーペ。当初より2ドアは存在したが、そちらはあくまでもリーズナブルなセダン。クーペはCピラーの傾斜を強めたり、豪華装備を施すなどもっともラグジュアリーな性格が与えられた。
4ドアセダンSSSのインパネ。ウッドのステアリングとシフトレバーがスポーティだ。メーターパネルは丸4連メーターを装備する。写真は1967年モデル。
1967年のSSS用エンジン。L16型1.6ℓOHCエンジンはツインキャブとなる。シンプルでいろいろなパーツが分かりやすく、メンテナンスもしやすい。

1.3ℓのほかにこれをベースにした、1.6ℓツインキャブレターエンジンを搭載したスーパースポーッセダン(SSS)シリーズもラインナップ。先代にあったSS(スポーツセダン)は廃止された。翌年のマイナーチェンジでは、1.6ℓシングルキャブレターエンジンを搭載した「ダイナミックシリーズ」を追加。シリーズ全体ではワイパーをトラックやミニバンのような交差式から、同位相型に変更した。さらに同年には2ドアクーペをラインナップに追加。ピラーレスハードトップモデルを持つコロナに対抗した。

クーペのテールランプはウインカーランプがセンターから外側へ流れるように3段階に点滅するハミングランプが印象的だった。

とにかくよく売れたので、筆者のまわりでも勤務医のおじさんが白の1300DX、遠戚のお兄さんが赤のSSSに乗っていた。DXはコラムシフトとバーメーター採用、そして白いフルシートカバー。赤のSSSはかなり走り込んでいたようで、シフトブーツが破れていてガムテープで補修してあったことをいまも覚えている。

510型は日本国内での成功のみならず、北米マーケットヘ「ダットサン510」として輸出、そして成功を収めた功績も高く評価されている。

1967発表当初の1.3ℓモデルで、乗鞍高原界隈を走る。ベーシックなこのモデルでもスポーティな性格をいかんなく発揮した。

標準仕様のメーターまわり

こちらは1968年マイナーチェンジ後のデラックスのメーターパネル。中央に大きなバーメーターが配されるが、上のSSS写真と見比べると、この部分の付け替えで対応可能なことがわかる。バーメーターは見やすいわりに天地を細くすることができ、これに合わせて細いインパネを造形していたモデルもあった。現在こうしたデザインのスピードメーターは皆無で、ちょっと残念だ。

SPECIFICATIONS:Bluebird Sedan SSS(1967)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4120×1560×1400mm
ホイールベース:2420mm
トレッド前/後:1280/1280mm 
車両重量:915kg 
乗車定員:5人
〈エンジン〉
直列4気筒OHC
ボア×ストローク:83.0×73.7mm
総排気量:1595
最高出力:100ps/6000rpm 
最大トルク:13.5kgm/4000rpm
〈トランスミッション〉
4MT 
〈駆動方式〉
RWD 
〈サスペンション〉
前・ストラット式、後・セミトレーニングアーム式
〈ステアリング〉
ボールナット式
〈ブレーキ〉
前・ディスク、後・リーディングトレーニング式ドラム
〈タイヤサイズ〉
5.60-13-4P
〈最高速度〉
165km/h
〈価格・当時〉
75.5万円

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部