自分でメンテし続けて25年! 以前はプラモデルで作ったR-2を1/1で楽しむ! 【関東工大クラシックカーフェスティバル】

360cc時代の軽自動車をサブロクと称して愛する人には、同時にバイク趣味を進行させている人が多い。古いバイクを自分で修理してきた経験があれば、サブロクにも応用が効く。今回はバイク同様、自らメンテや修理を繰り返して25年間もスバルR-2に乗り続ける人を紹介しよう。
PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
1971年式スバルR-2スーパーデラックス。

サブロクと呼ばれ親しまれている360cc時代の軽自動車。限られた排気量でも精一杯のパワーを絞り出す感覚は、今の軽自動車には望み得ない楽しさがある。ましてサイズが小さく軽いうえ、構造もシンプルだからオーナー自ら手を加える楽しさまで与えてくれる。旧車という括りを超えて、見て乗ってイジる楽しさに溢れているのがサブロク軽自動車といえるだろう。

ボディ中央とサイドにストライプを追加している。

サブロクの代表格といえば1958年に発売され、その後長く軽自動車トップの販売台数を誇ったスバル360。長く作り続けられ販売された台数も多いから残存数も多く、今でも市場に流通している。ところが後継車に当たるスバルR-2はスバル360ほどの人気者になれなかった。ライバルであり軽自動車販売台数トップの座を奪ったホンダN360、さらにN360の後継車であるライフ系にも人気が集まったことでR-2は不運な歴史を辿る。人気を挽回しようと毎年のようにスタイルに変更が加わり、いつしか初期型とは似ても似つかぬデザインとなった。それゆえか、中古車となった後もスバル360のように人気がなく、相場価格も安いままだった。

純正ウインカーの位置にフォグランプをセット。ウインカーはバンパー下に移設。

そんな歴史も今では考えられないくらい、R-2の相場は高騰している。ところが20年以上も前だと相場は安いもので、サブロク入門に最適な車種だった。そんな時代に手に入れたのが、この赤いR-2オーナーである鈴木利弘さん。現在65歳になる鈴木さんがR-2を手に入れたのは今から25年前のこと。

当時40歳だった鈴木さんは長く自動車の整備士だった。メンテナンスや修理は自分でこなせるものの、それまでの趣味はバイク。特に希少なブリヂストン製モーターサイクルに夢中で、今も5台のBS90を所有されている。

リヤウインドーやエンジンフードに貼るステッカーはその時の気分で変更している。

熱心なBSマニアな鈴木さんがなぜR-2を手に入れたかといえば、以前にタミヤ製のプラモデルを作ったことがあったから。実は4輪趣味として最初に選んだのはアウトビアンキA112だったが、ある時からスバル360が欲しくなる。東京・町田市にある中古車店でスバル360の売り物を見つけると、価格の安さに惹かれて見にいくことに。

だが、現物のスバル360はプロの整備士の目から見ても「直せない」と思わせるほど傷んでいた。諦めかけたその時、過去に作ったプラモデルと同じカラーリングのスバルR-2があることを見つける。スバル360より安価な時代だったこともあり、その場で見初めてしまったのだ。

R-2よりワイドなサンバー用合わせホイールにしている。

手に入れてからは早速、本領発揮。自ら未整備だった個所を徹底的に手直ししつつ赤いボディカラーと黒いボンネットの組み合わせへ全塗装してもらう。塗装が仕上がる間に始めたのが部品集め。特に高性能バージョンであるR-2SS用の中古部品を集めて、出来上がったボディに組み付けることにしたのだ。

エンジンはハイチューンなR-2SS用を移植している。
SSには高性能なソレックス・ツインチョークキャブレターが組み合わされていた。
純正ポンプから電磁ポンプへ変更して燃圧を安定させた。

R-2SSの部品で絶対に使いたかったのがエンジン。手に入れたスーパーデラックスとではキャブレターや圧縮比が異なり、通常の最高出力である30psから36psへ増強されていた。SS用エンジンに載せ換えるとソレックスキャブレターは茶漉しファンネル仕様へ変更しつつ点火系をセミトラに、ダイナモをオルタネーターへそれぞれ変更。安心して乗れるコンディションへと仕上げた。

MOMOの小径ステアリングや追加メーターで室内を彩る。
運転席だけフルバケットシートに変更している。

エンジンだけでなくサスペンションもSS用のものを移植。さらにスバルR-2や360はトーションバー式サスペンションのため、ローダウンさせるのが簡単。下げた車高にR-2より少々太いサンバー用のホイールを組み合わせて、自分好みのスタイルへと仕上げた。室内も小径ステアリングやフルバケットシートなどを使ってスポーティに仕上げ、まさに1/1プラモデル感覚でカスタムを施した。ただ完成形がどこかは決めてなく、その時その時でボディにストライプを入れたりタイヤを変えるなどで楽しんでいる。その結果、25年もの月日が経っていたが、いまだに楽しめているのだ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…