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2023年6月の第3土曜日に、それまでの『トミカ』の『No.26 トヨタ クラウン』に代わって登場したのが『No.26 いすゞ エルフ 標識車』です。標識車とは、道路の清掃、工事、事故後の復旧作業などで車線規制をする際、荷台に取り付けた標識装置を使って通行車両に規制を知らせるための車両です。道路工事標識車や規制標識車、自走式標識車などと呼ばれる事もあります。車両の分類としては基本的には工事車両ですが、渋滞予告や前方の事故発生などを伝えるための後尾警戒車としても用いられます。このため走行中の一般車両が視認しやすいよう、車体は普通、警戒色の黄色で塗られていますが、町中の工事現場などで使われるものには白や青、あるいは赤などで塗られている車両もあります。また、標識車は、低速で走行するか、あるいは停止している事が多いので、荷台の後尾には追突された際のために衝撃吸収装置を装備しているのが普通です。赤白のゼブラ模様が描かれた、後尾の四角い“張り出し”が、その衝撃吸収装置になります。
標識車の最大の特徴である標識装置は、黄色警光灯や回転幕タイプの標識板、LED式の標識板などが組み込まれており、これらは電気で表示や点灯されます。万が一、作業中に表示が消えてしまうと大きな事故につながりかねないため、常に標識装置を点灯点滅させ続ける必要がありますが、一般に、標識装置の電源としては、車両のエンジンで発電した電力を使用します。
しかし、これは標識装置の点灯点滅のために車両のエンジンのアイドリング(一般に、エンジンは掛かっているがアクセルを踏まずにいる状態)を行なうことになります。長時間のアイドリングは、CO2排出や騒音の問題といった周辺環境への悪影響に加え、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF等)の詰まりや、エンジン負担による車両の短寿命化などの不具合を生じます。そこで近年では、標識に電力を供給する専用バッテリーと発電機を備え、それらの電源を自動制御するハイブリッド電源システムを搭載している環境配慮型多電源標識車が登場しています。また、多目的道路維持作業車と呼ばれるスノープラウや小型薬剤散布装置の着脱が可能なものやトイレを装備したダイバーシティ標識車、飛散防止収納付きの道路維持作業車といった様々なタイプの標識車があります。
なお、標識車は他の特殊車両などのように、トラック(生産車)に標識装置を架装することで作られますが、名古屋電機工業や森尾電機などが標識車の有力なメーカーとして知られています。また、いくつかの標識車は、中日本高速オートサービスや西日本高速道路エンジニアリング関西といった、高速道路の維持管理のための車両管理を行なう会社との共同開発車となっています。ベース車は様々で、軽トラックや軽ワゴンから4トン・トラックまで幅広い車両が使用されています。
『トミカ』の『No.26 いすゞ エルフ 標識車』は商品名の通り、いすゞを代表する小・中型トラック『エルフ』を車体に用いた標識車をモデル化しています。『エルフ』は日本を代表する小型キャブオーバー・トラックとして知られ、2023年6月現在は、同年1月にデビューした7代目モデルが最新型となっています。この7代目は従来同様のディーゼルエンジン車に加え、いすゞ初のBEV(電気自動車)である『エルフEV』も設定されたのが大きな話題です。また、新普通免許対応車の1t系車である『エルフミオ』も発売予定です。
『トミカ』の『No.26 いすゞ エルフ 標識車』はデザインから見て、最新の7代目モデルではなく、2006年にデビューして先ごろまで生産されていた6代目モデルを再現しているようです。いすゞはこの6代目から、小型トラックと中型トラックを一つのグループとして考え、「SEE GLOBAL(シー・グローバル)」をコンセプトに、世界市場を見て、世界に通用するトラックを目指して開発しています。具体的には、環境規制の強化、免許制度の改正、労働人口の減少、事故・盗難の頻発、運行管理の重要性など、日本国内における小型トラックを取り巻く大きな環境変化を踏まえたうえで、将来を見据えた“運ぶ道具”として、“新普通免許最適車”、“新排出ガス基準時代の省エネ車”、“セーフティ・セキュリティ”の新しい3 つの価値基準を提案しています。
デザインは無駄を省いた機能的なデザインとし、ハイキャブとワイドキャブは、フロントピラー、ボディサイドを直立化させることで、大きな室内空間を実現しています。さらに新普通免許最適車を目指し、従来型『エルフ』ハイキャブを拡大してクラス唯一の普通車(1ナンバー)専用1.8m 幅のハイキャブを開発、キャブ幅段差の縮小や、架装時のボディサイズのさらなる容積アップ(全幅拡大)を可能としました。これに加え、車両全体で徹底した軽量化を実施、新普通免許枠内でも充実した車型バリエーションの展開を可能にしています。
エンジンは『D-CORE(ディー・コア)』3.3 リッター、4JJ1‐TCS 型インタークーラーターボディーゼルエンジンを新開発し、主力エンジンとして搭載しています。排気量あたりのトルクが可能な限り高められ、軽量・コンパクト化を追求、燃費、重量、排出ガスといったエンジンに求められる諸性能が根底から引き上げられています。さらにアイドリングストップ&スタートシステムをクラスで初めて標準装備しています。
トランスミッションはマニュアルトランスミッションの進化形である『スムーサーE』シリーズを発展・改良させた、いすゞ独自のイージードライブシステム『スムーサーEx』がオートマチック車に搭載されています。さらに国産トラックとしては初めて、盗難防止のための電子施錠システム『イモビライザ-』が標準装備されています。
『トミカ』の『No.26 いすゞ エルフ 標識車』は特に「どこのメーカーの車両」と言うわけではなく、一般に高速道路や町中で見られる標識車の特徴をうまく捉えて再現しています。また、荷台に備えられた標識の昇降など、動きのある楽しいモデルにもなっています。
■いすゞ 6代目 エルフ 4トン ワイドキャブ ロングボディ フルフラットロー 2WDスムーサーEx(6速) アルミアオリ 主要諸元(『トミカ』の規格と同一ではありません)
全長×全幅×全高(mm):6140×2170×2265
ホイールベース(mm):3395
トレッド(前/後・mm) :1395/1425
車両重量(kg):2820
エンジン:4JZ1-TCS型直列4気筒DOHCディーゼル インタークーラー付き2ステージターボ
排気量(cc):2999
最高出力: 110kW(150ps)/2800rpm
最大トルク:375Nm(38.2kgm)/1400-2800rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション(前/後):インデペンデント/リーフリジッド
ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム
タイヤ:(前後)215/70R17.5
■毎月第3土曜日はトミカの日!
毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2023年6月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.26 トヨタ クラウン』に代わって『No.26 いすゞ エルフ 標識車』が登場します。また、それまでの『No.50 トヨタ GR ヤリス』に代わって『No.50 トヨタ ノア』が登場します。なお、『No.50 トヨタ ノア』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。