プジョー408のライバル車はコレだ!! サイズ感から検討したあんなクルマ、こんなクルマ

サイズ感で比較したプジョー408のライバル車はコレだ! 【新型プジョー408・ライバル車比較 / サイズ編】

「解き放たれた新種」をキーワードにデビューしたプジョーの新型408は、そのコンセプトゆえにライバル車の想定が難しい。そこでまずはクルマの使い勝手の基本となるサイズ感からライバル車を想定してみよう。

ボディサイズから探る408のライバル車とその比較

プジョー408とライバル車を比較しようとする際、「そもそもプジョー408のライバル車は何か?」という大問題(?)に突き当たることになる。乱暴に言うならば、新型プジョー408(P54型)はアヴァンギャルドなモデルや個性的なモデルを求める人のための、プジョー308(P51型)のヴァリアント・モデルだ。ゆえに簡単に「ライバル車はコレ!」と言えるものではない。同じステランティス・グループの車種でさえライバル車となり得るのだ。そこでまずはクルマの使い勝手を左右するサイズで比較検討してみたい。

■新型プジョー408とグループ内ライバル車とのサイズ比較

プジョー408 全長×全幅×全高(mm):4700×1850×1500 ホイールベース(mm):2790 最低地上高(mm):170
プジョー308 全長×全幅×全高(mm):4420×1850×1475 ホイールベース(mm):2680 最低地上高(mm):130
DS4 全長×全幅×全高(mm):4415×1830×1495 ホイールベース(mm):2680 最低地上高(mm):165

まずは同じステランティス・グループ内で考えてみると、308と同じプラットフォーム(EMP2 V3)を共有するのは408のほか、シトロエンC5X、DSオートモビルズDS4、オペル(ヴォクスホール)アストラLだが、オペル(ヴォクスホール)は日本上陸予定ではあるものの、2023年7月現在は未上陸、C5Xは明らかに車格が違うため除外とすると、まずはDS4が同一グループ内でのライバル車ということになるだろうか。

ベース・モデルとしての308をベンチマークに考えると、等しく個性的でありながらも、のびやかなスタイリングとデザインを持つ408に対し、DS4はギュッと凝縮したソリッドな方向性という正反対のベクトルにある。具体的には408の全長が308比で+280mmなのに対しDS4は-5mm、全幅が408は±0mmと同じなのに対してDS4は-20mm、全高は408が+25mmに対してDS4は+20mmというサイズとなって見て取れる。

なお、最低地上高は408の170㎜に対してDS4は165㎜なので大差はないが、308比では408もDS4も+35~40mmとSUVスタイリングを志向していることが、見た目だけでなく数値上でも再確認できよう。

ボディサイズの違いは当然ながら車内スペースにも影響を及ぼすが、この3車の荷室容量はプジョー308の412ℓに対し、408が536ℓ(PHEVは471ℓ)、DS4が430ℓ(PHEVは390ℓ)となっている。408の荷室容量が圧倒的なのは言うまでもないが、意外にも308より凝縮した感のあるスタイリングのDS4が、内燃機関版ならば308を18ℓ(PHEVでは-22ℓ)と僅かながら上回っている。

サイズやスタイリングのみでの比較からすれば、ゆったりとした室内空間や荷室を確保しつつ、他人とは違った個性を求め、なおかつSUVライクな走行感覚を求めるユーザーには408がオススメということになろう。

■欧州車におけるライバル車はいったい?

ルノー アルカナ 全長×全幅×全高(mm):4570×1820×1580 ホイールベース(mm):2720 最低地上高(mm):200
アウディ Q3 スポーツバック 全長×全幅×全高(mm):4490×1840×1610 ホイールベース(mm):2680 最低地上高(mm):185

それでは視野を欧州車全般に広げた場合のライバル車を考えてみよう。

まずプジョーの言によれば「408はCセグメントの上の方」であり、「CセグメントとDセグメントの間だがCセグメント寄り」とのことなので、ここでは408はあくまで「Cセグメント」と見ることにする。正直、408とドンピシャのサイズ感のクルマは難しいのだが、「SUVとクーペあるいはセダンとの中間的デザインのCセグメント車」ということで導き出されるのが、同じフランス車のルノー アルカナとドイツ車のアウディQ3スポーツバックになろうか。

全長は408の4700mmに対し、アルカナは4570mm、 Q3 スポーツバック(以下、Q3 SB)は4490mm。いずれも408比で-130mmと-210mmで短い。全幅は408の1850mmに対してアルカナが1820mm、Q3 SBが1840mm。一応、書いておくとアルカナが-30mm、Q3 SBが-10mmと狭いのだが、さしたる差は感じられない。全高は408の1500mmに対してアルカナが1580mm、Q3 SBが1610mmで、それぞれ+80mmと+110mm。アルカナは408と大差なく感じるが、Q3 SBは明らかにSUV指向が408より高めの感じだ。また最低地上高も408の170mmに対してアルカナが200mmと30mmも高く、Q3 SBは185mmとその半分の15mm高い。つまりアルカナは腰高にすることでSUV感を訴求しているのがわかる。

荷室容量を比較すると408の536ℓに対し、アルカナが513ℓ、Q3 SBが530ℓ。408の優位はゆるがないものの、凝縮されたソリッドなデザイン(そして実際に全体サイズも小さい)にもかかわらず、意外に荷室容量を確保しているQ3 SBの健闘が光る。

両車とも明らかに408よりサイズは小さいが、購入を考える際には十分に比較検討の俎上にあげるべき車種ではないかと思う。むしろこの2車はサイズ以外の部分、特に動力性能において408を凌駕する面さえ持っていることを考慮したいユーザーもいるだろう。

■“SUVではないクルマ”をライバル車として考えるなら?

BMW 2シリーズ グランクーペ 全長×全幅×全高(mm):4535×1800×1430 ホイールベース(mm):2670 最低地上高(mm):150

プジョー408は従来の枠にとらわれないスタイリングをひとつのセールスポイントとしているが、これまた乱暴に言ってしまえば「SUVとセダンの間」というスタイリングだ。では、これを「新種のセダン」と解釈し、セダンの方向性でのライバル車を探ってみると、408比で全長-165mm、全幅-50mm、全高-70mmとサイズ的にはやや小さいものの、BMW 2シリーズのグランクーペが妥当かもしれない。荷室容量も408の536ℓに対して430ℓと健闘しているのではないだろうか。それも独立したトランクであり、リヤシートスルーの機能も備えている。前掲のアウディQ3 SBを「SUJV寄り」とすれば、「やっぱりセダン」という方にとっては十分に魅力的なライバルとなるだろう。

■国産車のライバル車はあるのか?

マツダ MX-30 全長×全幅×全高(mm):4395×1795×1550 ホイールベース(mm):2655 最低地上高(mm):180
トヨタ クラウン 全長×全幅×全高(mm):4930×1840×1540 ホイールベース(mm):2850 最低地上高(mm):145 

それでは「国産車で408のライバルは?」と見渡すと、実は妥当な車種が見当たらない。強いてサイズ的に言えば全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm、ホイールベース2700mm、最低地上高210mmというマツダのCX-5あたりになるのだが、2022年にマイナーチェンジしたとは言え、もはやその登場は遡ること2017年。失礼は承知だが、現在の目からすればどう見ても変哲のない「正統的クロスオーバーSUV」だ。だとすると、デザインの先取性や将来的な電動化への目くばせといった点からすれば、同じマツダのMX-30の方が妥当ではないかと思う。

MX-30は408との比較においては全長で-305mm、全幅で-55mm、全高で+50mmと全長こそ最も短いものの、サイズ的には前掲のアウディQ3 SBあたりと同じようなところにある。しかしながら荷室容量は408の536ℓに対し400ℓと、いささか苦しい。デザインや電動化への目くばせという点では408と同時代的なところにあるが、やはりサイズ的にはいわゆるCセグメント車。結論を言えば408より「ちょっと下」と言わざるを得ない。

さて、デザイン的な面から最も読者諸兄からのライバル比較が望まれるのがトヨタ クラウンだろうことは百も承知だが、結論から言えばクラウンと408とでは明らかに車格が違う。そもそもがライバルではない。サイズ的には408比で全長+230mm、全幅-10mm、全高+40mm。ホイールベースは+60mm、最低地上高は-25mm。ついでに荷室容量は450ℓだがこれは個別のトランクの容量であり、立派な後席はそのまま機能する。クラウンはいわゆるEセグメントに属するクルマだが、408は「Cセグメントの上の方」なのだ。前掲のMX-30が408より小さめとは言え、同じCセグメント車なのとはわけが違う。クラウンが「ライバル」と言えそうなのは価格帯ぐらいだ。

国産車で考えた場合には、正直、408とのライバルに対比するクルマは現状では「無い」と言って良いかもしれない。あくまで国産車におけるライバル車設定は“参考”程度にしかなり得ないだろう。

■各車サイズ比較一覧

車名プジョー408プジョー308DS DS4ルノー アルカナアウディ Q3 SBBMW 2シリーズ GCマツダ MX-30トヨタ クラウン
全長×全幅×全高(mm)4700×1850×15004420×1850×14754415×1830×14954570×1820×15804490×1840×16104535×1800×14304395×1795×15504930×1840×1540
ホイールベース(mm)27902680268027202680267026552850
最低地上高(mm)170130165200185150180145
荷室容量(ℓ)536412430513530430(トランク容量)400450(トランク容量)

プジョー408 デザインが気に入ってi-Cockpitが合うなら、選んで後悔なし(でも、クラウンクロスオーバーも買える価格)

プジョーの新種、新型408は「セダンの品格とクーペの美しさにSUVの快適性を融合させたファストバックモデル」だ。このコンセプト、どこかで聞いたことがあるような……そうだ、クラウンクロスオーバーだ。時代の変化が生み出した新種の実力は?

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部