98万円のBMW Z4の中古車をついに購入! 前オーナーの愛と管理を証明する整備記録簿とスペアキーはあるのか? 【BMW Z4オーナーレポート vol.4】

BMWの直列6気筒エンジン「シルキーシックス」を味わう! お手頃価格で! そう決意したモータージャーナリストの大音安弘氏の中古車探しの旅は、無店舗ブローカーが紹介してきたノーマークのオープンカー・Z4に行き着いた。98万円という価格と、その価格の割に良さそうなコンディション、そしてモルディブブルーのボディカラーに惹かれる大音氏だが、冷静な判断を下すべく一旦保留。はたしてその決断や如何に……!?

ポリシーはあるか? 中古車選びに……

中古車としては手頃な98万円とはいえ、大金であることには変わりはない。私は、即決せずに、帰路に着いた。即決しなかった理由のひとつは、本命だった「3シリーズ」ではないこともあり、冷静な決断をしたかったことに加え、個人的な中古車購入時のポリシーにもあった。

長年の夢を叶え手に入れたBMW Z4は18年落ちの中古車だった……お手頃価格で直6エンジンを楽しむBMW選び【BMW Z4オーナーレポート vol.1】

モータージャーナリストの大音安弘氏が購入したBMW Z4は現行モデルではなく18年落ちの中古…

そのポリシーとは……
・整備記録簿
・付属キー
以上2点が揃っていること。
言うまでもなく、整備記録簿はクルマの履歴書のようなもの。大きな修理は記録が残されていることも多いので、今後のメンテナンスの参考にもなるからだ。以前、購入した中古車も、その後のリフレッシュには、大いに役立った経験がある。
もうひとつのキー。ほとんどの現代車はリモコンキーが当たり前。さらに盗難対策として、イモビライザーも装備されている。新たにキー作成しようとすると、かなり高価なのだ。また予備がないのは、故障や紛失の際に大問題となる。

しかし、その2点を重視する理由は、それだけではない。これは完全に感覚的なものだが、大切に乗られていたクルマはこの2点が揃っていることが多い。きちんとあるべき付属品が備わっていることは、前オーナーの几帳面さや真面目さの表れであると共に、次のオーナーにも元愛車を大切にして欲しいと想いが感じられるからだ。

しかし、その法則を打ち壊しつつあるのが、個人情報の保護だ。それ自体は大切なことだが、下取りや買い取った店舗がオークションに出品する際に、顧客の個人情報を守るべく、記録簿を破棄してしまうケースが少なくない。その一方で、所有者名をハンコで消したり、切り取ったりする几帳面な対応をする販売店もある。良い中古車が残るように、後者のような対応が増えていくことを願いたい。

革製純正車検証入れ、取扱説明書、スペアキー2個付き……記録簿はナシ

スペアキーは2個。純正レザーケースには取扱説明書が収められていた。

さてZ4だが、取扱説明書が収まった純正レザーケースとリモコンキー2個が付属。だから、キーについては問題なし。残るは記録簿についてだ。前回も触れたが、車検の継続を、街の整備工場で行なっているので、前オーナーがメンテナンスを軽視していたとは考えにくい。

記録簿こそなかったが、前オーナーの人柄や使い方、クルマへの愛を感じさせるインテリア。

そこで中古車検索サイトを見ていると、自宅近くの買取店が同年式のBMW Z4を掲載しているのを見つけた。走行距離は4万km以下で、さらに価格が安い。比較対象に最適と考え、見に行ってみることに。結果的には、固体の差に驚かされることになる。そのZ4も全体的に傷は少なかったが、屋外保管だったと見られ、塗装の艶も弱め。ゴムや樹脂パーツの状態もお疲れ気味。より手頃だが、モルディブブルーのZ4を見た後では、そのZ4を買うという選択はまったくなかった。

屋内保管を思わせる塗装と幌の状態は、比較した個体との差が歴然。この状態の良さが購入の決め手になった。

しかし、18年落ちの中古車ならば、その程度が普通だろう。結局、その18年落ちとは思えない状態の良さが決め手となり、今、購入できるベストな固体と決断を下した。

納車整備ナシの現状販売で商談成立

Z4の契約は、納車整備なしの現状販売。もちろん、希望すれば提携工場で整備を行なってくれるということだが、お手頃なネオヒストリックな中古車に完璧を求めても仕方ないので、メンテナンスはDIYと整備工場の併用と決めていた。
ただ個人的には、購入後、ルームミラーを始め、いくつか修理したい箇所があったため、その辺りを鑑みた価格交渉の末、商談成立。すでに劣化していたというタイヤも新品に交換済であったため、お買い得だったと自負している。

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名義変更を自分でやって費用を節約! ついに憧れの直6 BMWオーナーに!

一般的には販売店に依頼する名義変更についても、以前に経験があったので自身で行なった。一見、プロの仕事と思われる手続きだが、これが意外と簡単。
名義変更のためには、
・申請書
・新旧所有者の印鑑証明書
・譲渡証明書
・自動車保管場所証明書(車庫証明)
といった書類の準備が必要。そのために、在住の市町村役所、管轄の警察署、管轄の陸運支局に出向く必要があるが、書類の記入も難しくなく、不明な点については各所の担当者が教えてくれる。手続きの時間が取れるならば費用をぐっと抑えることができるのでオススメだ。

実費だと、交通費を除き約5000円で済む。これらの手続きを済ませると新しいナンバーが交付され、自身で装着。陸運支局の係の人が確認した後、封印をしてくれる。これでこのZ4が正式に私のものとなった。

名義変更費用概要
印鑑登録証明書:200円
移転登録申請手数料:500円
ナンバープレート代:1490円
車庫証明申請手数料:2100円
標章交付手数料:500円
合計:4790円
名義変更の手続きを済ませ、新たに交付されたナンバープレートを装着。左の「封印」は陸運支局の人が行う。

最後に忘れてならないのが任意保険の加入だ。まず、購入しても名義変更が済むまではクルマの所有者は自分ではないことを理解しておきたい。他に自動車を所有していて任意保険に加入していれば、その保険を他のクルマに適用する「他車運転特約」で対応できる。ただし、長期で他人の名義のクルマを使っていた場合は適用されないケースもあるし、そもそも所有者(この場合変更前の名義人)にも迷惑が掛かることをお忘れなく。
今回は自身が他にもクルマを所有していたため、インターネットで加入できるダイレクト系自動車保険に名義変更を済ませたその場で加入した。でも、オススメは事前に加入しておくことであることは間違いないので、まずは保険会社のコールセンターに相談してみて欲しい。

いよいよ次回から初期整備へと進む。お手頃価格のZ4は、どのくらいメンテナンスと費用が必要なのだろうか?

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