ソフトトップに回帰したピュアオープンスポーツ!「BMW Z4」【最新スポーツカー 車種別解説】

2シーターロードスターとして02年に誕生した「BMW Z4」。先代のハードトップボディから、三代目となる現モデルはソフトトップ式ルーフに原点回帰した。ピュアスポーツモデルとしてFRらしいスタイリングと、幌の開閉は10秒で完了するなど、機能も走りもストレスなく大きな満足感とオープンカーの醍醐味が得られる。
REPORT:河村康彦(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:井上 誠 

ロードスターのピュアさを満喫できるモデルに回帰

BMWきってのピュアスポーツモデルが、初代モデルが2002年にローンチをされた「Z4」。2シーターロードスターとして誕生の後クーペボディも追加された初代に対し、09年登場のニ代目ではリトラクタブル式のハードトップボディを採用。さらに、18年誕生の三代目になるとランニングコンポーネンツを共有するクーペ版をトヨタの新型スープラとして設定する一方で、Z4は改めて初代同様のソフトトップ式ルーフを備えるロードスターに回帰して現在に至っている。

エクステリア

FRらしいシルエットとソフトトップが最高の相性を見せる。幌の開閉は50km/h以下で操作でき、10秒という短時間で開閉する。前後軸重は前740kg、後750kgと好バランス。
4気筒でもターボ過給により出力は余裕たっぷりだが、さらに排気量2998ccの直列6気筒ターボであれば最高出力285kW(387ps)、 最大トルク500Nmと十分過ぎるスペックを楽しめる。

ラインナップは、『sドライブi』と『M40i』の2タイプ。前者が2.0l4気筒、後者が3.0l6気筒のいずれもターボ付き直噴ガソリンユニットを、8速ステップATとの組み合わせで搭載する。試乗したのは、BMW車ならではの特徴と捉える人も多そうな、直列6気筒のエンジンを搭載するM40i。その加速力は一級スポーツカーに相応しい水準。だが、それ以上の美点はサウンド面も含めたフィーリングの素晴らしさで、ターボ付きのネガを一切感じさせない低回転域の柔軟さはもとより、回転が高まるにつれてパワフルさが加速度的に増して行く感覚が最高だ。「しなやか」と表現するにはやや抵抗があるものの、ヒョコヒョコした動きを目立たせない予想を上回る乗り味には、BMW車でありつつランフラットではないタイヤを用いる点も貢献していそうだ。

インテリア

スポーツカーらしく、ローポジションに座るコクピットだが、ノーズはしっかりと視認でき車両感覚はつかみやすい。ステアリングは10時10分のグリップ部分が握りやすい形状だが、パドルシフトを操作するには9時15分の位置がベター、状況によって使い分けるようにしたい。
ショルダーサポートはスッキリとした形状となっているが、全体で身体を包み込むためホールド性は上々だ。サイドシルが前方に行くほど低くなっているためクローズド状態での乗降性にも不満はない。
スティックタイプのシフトレバー前方にQi規格のワイヤレス充電を備える。エコプロ、コンフォート、スポーツと三つのドライブモードを切り替えることも可能。
オルガン式のアクセルペダルはレイアウトが適切で気持ち良く操作できる。
Country     Germany
Debut       2019年3月
車両本体価格    713万円~893万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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