新型アルファード/ヴェルファイア 2列目シートの快適さは想像以上! Zとの価格差は230万円でもエグゼクティブラウンジを選ぶ価値あり

新型アルファード エグゼクティブラウンジの2列目シート
新型アルファード/ヴェルファイアの白眉は、やはり2列目シートの快適性だろう。新時代のショーファーカーとしての資質を磨き上げたアル/ヴェル。最上級グレード、Executive Lounge(エグゼクティブラウンジ)ともなれば、その極みだ。しかし、価格は同じパワートレーンを積むZ/Z Premierとの価格差はアルファードが230万円、ヴェルファイアが180万円だ。そこまでの価値があるか、試してみた。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

価格差230万円のエグゼクティブラウンジ

トヨタ・ヴェルファイア Executive Lounge(E-Four)車両価格:892万円
トヨタ・アルファード Executive Lounge(E-Four)車両価格:872万円

アルファードにもヴェルファイアにもExecutive Lounge(エグゼクティブラウンジ)という上級グレードが設定されている。アルファード(2WD、FF)は850万円、ヴェルファイア(2WD、FF)は870万円だ。パワートレーンは2.5L直列4気筒自然吸気エンジンとモーターを組み合わせたシリーズパラレルハイブリッドシステムである。同じパワートレーンを積むZ/Z Premierとの価格差はアルファードが230万円、ヴェルファイアが180万円だ。

価格差に見合うだけの価値があるのかと問われても、「ある!」と即答できる。エグゼクティブラウンジの良さを体験してしまうと、脳に刻み込まれた記憶から逃れることはできない。旅客機のファーストクラスやビジネスクラスに乗ってしまうと、「次もそれがいい」という気持ちになるのと同じだ。後席空間は「プライベートジェットのようなおもてなし空間」を意識して設計したというが、まさにそんな贅沢空間になっている。

新型ヴェルファイアの最上級グレード、エグゼクティブラウンジの2列目シート

アルファード/ヴェルファイア(通称アルヴェル)の2列目にはエグゼクティブラウンジシートが備わっている。これが絶品だ。見た目はそれこそ、ホテルのラウンジにでも置いてありそうな豪華さだ。俗っぽく表現すれば温浴施設の休憩室にでも置いてありそうとも言えるが、そうは見えないのは、室内の雰囲気が上質だからだろう。新型アルヴェルはスーパーロングオーバーヘッドコンソールを採用しており、サンシェードや照明のスイッチ類、エアコンの吹き出し口やイルミネーションを天井中央に集中配置している。これが豪華なムードの演出にひと役買っている。もちろん、実用性も高い。

シートに備わる機能は盛りだくさんだ。アームレストの内側に設置されたシート型のスイッチで直感的にシートバックの角度や前後スライド量を操作することも可能だし、スマホのような形をしたタッチ操作式のリモコン(リヤマルチオペレーションパネル)でも操作できる。このリモコンは所定の位置から取り外し、アームレスト内側のポケットに収納しておくことができる(リクライニングした際の使用に便利)。シートには伸縮可能なオットマンが付いており、全体重をシートに預けてリラックスすることができる。まさに、安楽だ。

シート調整はアームレストの内側に設置されたシート型のスイッチで行なう
スマホのような形をしたタッチ操作式のリモコン(リヤマルチオペレーションパネル)

シートベルトのアンカーはシートバックに内蔵しているので、シートを倒してもベルトは上体に密着している。ただし、安全性の観点から過度に倒すのは禁物。機能的にはトルソー(上体)を70度まで倒すことが可能だが、走行中に推奨している角度は37度までだという。角度を付けすぎると衝突時にサブマリン現象が起きて体が前方にもぐり込むように移動してしまい、体を守るはずのシートベルトが凶器になりかねないからだ。

リヤマルチオペレーションパネルには「スマートコンフォート」のメニューボタンがあり、My Original(好みで登録した設定を呼び出す)のほかに、Dream、Relax、Focus、Energizeのあらかじめ登録した設定を呼び出す機能がある。My Original以外の4つのモードを呼び出した際は、リクライニングの最大角度が37度になるように設定されている。それ以上倒すときは停車中に行なうものと心得ておきたい。

シートには伸縮可能なオットマンが付いている。

エグゼクティブラウンジシートにはエアコン(ベンチレーション/ヒーター)、リラクゼーション(マッサージ)機能が備わっている。クルマそのものの乗り味もいいが、エグゼクティブラウンジシートには車両側から入力される振動(10〜15Hzの低周波)を抑制する防振ゴムをシートレールとシートクッションフレームの間に挟んでいることもあり、振動面では前席以上に快適だ。

というか、比べものにならないくらい快適で、積極的にステアリングを握りたい派の筆者も、アルヴェルのエグゼクティブラウンジに関しては真っ先に後席に向かいたくなる。シートクッション部には座面分散性の高いウレタンを採用して腰の安定性を高め、上半身の揺れを低減。シートバックとアームレストには低反発ウレタンを採用して微振動(20Hz以上)を吸収する設計。道路上を移動するクルマのシートだからこそのこれらの配慮が高い快適性の実現に貢献している。実際、道路上を移動しているとは思えないほど振動はよく抑えられており、快適至極だ。

アルファード・エグゼクティブラウンジの3列目シート シート表皮はプレミアムナッパレザー

快適なのはシートだけではない

天井にはオーバーヘッドコンソールが。
左右独立ムーンルーフ(電動シェード&挟み込み防止機能付)のシェードを開けると、こうなる。
シェードを閉めるとこうだ。

天井のスイッチでも、リヤマルチオペレーションパネルでも操作できるが、後席で過ごす際、サンシェードは便利だ。日中に目を閉じて休みたいときは、2列目、3列目のシェードを全閉にすると、遮光カーテンを降ろしたかのように室内が暗くなるのがいい。と同時に、網目を通してそこはかとなく外の様子がわかるのもいい。シェードは上から下に降りる方式(新幹線のシェードと同様)で、任意の場所で止められるのが便利。明るさや、外と内とのつながり具合を調節できる。

これが2列目/3列目のシェード。

夜間のドライブを経験する機会はなかったが、ナイトドライブではオーバーヘッドコンソールに沿って配されたイルミネーションが効果を発揮しそうだと感じた。照明色は基本14色+カスタム50色の全64色に変更可能。質の高いしつらえはもはや車内レベルではなく、ラグジュアリーホテルの居室レベルだ。

アルヴェルのエグゼクティブラウンジは、安楽な姿勢でくつろぐことができるシートはもとより、乗員を囲む空間全体がエグゼクティブ(高級)にできている。セカンドシートの新たな基準を築いたといっていいだろう。

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…