新型アルファード/ヴェルファイア 2.5Lハイブリッドの走りがいい! 乗り心地は「上品」のひとこと

新型アルファード/ヴェルファイアは、FF/電気式AWD、2.5Lハイブリッド/2.0L直4ターボ/2.0L直4ガソリンの組み合わせで多彩なバリエーションを構成する。メインとなるのは、2.5Lハイブリッドと2.4Lターボだ。その乗り味を「運転席から」お届けしよう。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

「なにこれ。とてもいいんですけど」

トヨタ・アルファード Executive Lounge(E-Four) 車両価格:872万円
全長×全幅×全高:4995mm×1850mm×1935mm ホイールベース:3000mm

新型アルファード/ヴェルファイアは、運転する人だけでなく、後席で過ごす人も“快適”に過ごせるよう、プラットフォームを前型のMCからGA-Kに切り換えつつ、ボディ剛性の向上に徹底的に取り組んだ。さて、その効果はいかにと最初に乗り込んだのは、アルファードのExecutive Lounge(エグゼクティブラウンジ)E-Fourである。システム最高出力184kWを発生する2.5Lハイブリッドシステムを搭載。リヤにモーターを搭載した電気式4WDだ。

タイルが敷き詰めてある広場をソーッと走り出した途端、「なにこれ。とてもいいんですけど」とつぶやいてしまった。独り言を言ったわけではなく、2列目のエグゼクティブラウンジシートでくつろぐ(?)編集者に向かって、である。「後席もとてもいいです」と返事が返ってきた。

感覚的な表現をすれば、とても上品な乗り心地だ。バタバタ、ブルブル、ザラザラ、ザワザワといった品のない振動はまったく感じない。タイヤはレンガサイズのタイルを連続的に乗り越えて小さな上下動を繰り返しているはずなのに、慌ただしさは一切乗員には伝わってこない。平穏そのものだ。

タイヤサイズは225/65R17 ブリヂストンTURANZA

タイル敷の広場を出ると、ホテルのエントランス前を通過する。エントランスの正面はスピードを抑制するためにバンプが設けられている。このバンプに乗り上げ、降りるときのいなしかたもやはり、感覚的に表現すれば上品だ。角のあるショックは伝わってこない。225/65R17サイズのタイヤ(ブリヂストン・トランザT005A、指定内圧は前後230kPa)とのマッチングもいいのだろう。

エグゼクティブラウンジは路面からの入力周波数に応じて減衰力を(電子制御ではなく)機械的に可変する周波数感応型ショックアブソーバー(ダンパー)を標準で装備する。バルブの特性チューニングによって高周波(小振幅)では伸び側を低減衰(突っ張らずによく動く)にして追従性を高め、乗り心地の向上を狙う。

いっぽう、コーナーで踏ん張る際のような低周波(大振幅)の動きの際には高減衰にしてしっかり踏ん張るようにした。このショックアブソーバーの効果も大きいのだろう。大きな箱形のボディなのに、首都高速のタイトなコーナーが連続する区間でも、キビキビと向きを変え、安定した姿勢を保って走る。切り込んだらまくれ上がるのではないかといった、不安に陥れるような動きは一切見せず、狙ったラインを狙いどおりにトレースする。「重たくて背の高いミニバンだから、そのつもりで心して運転するように」と言い聞かせる必要などないほどに、意のままだ。走りが好印象だったのは、操舵入力時にリヤモーターを駆動するE-Fourの効果もあるかもしれない。

エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:A25A-FXS
排気量:2487cc
ボア×ストローク:87.5mm×100.4mm
圧縮比:ー
最高出力:190ps(140kW)/6000rpm
最大トルク:236Nm/4300-4500rpm
燃料供給:DI+PFI(D-4S)
燃料:無鉛レギュラー
燃料タンク:60ℓ
フロントモーター
5NM型交流同期モーター
 最高出力:182ps(134kW)
 最大トルク:270Nm
リヤモーター
4NM型交流同期モーター
 最高出力:54ps(40kW)
 最大トルク:121Nm
バッテリー:ニッケル水素電池
 電池容量:5Ah
トランスミッション:電気式無段変速機

2.5Lハイブリッドシステムで印象的だったのは、遮音が行き届いていることだ。低速走行時であってもエンジン音が気にならない程度に抑えられているため、EV走行からハイブリッド走行に転じた際にノイズが盛大に耳に届いてがっかり、といった思いをしないで済む。短い試乗ではあったが、シーンを問わず、音のレベルと変化にストレスを感じることはなかった。

2名乗車ではあったが、動力性能も充分。アクセルペダルをべた踏みしなくても、周囲の流れに乗るのはもちろん、リードすらできる実力を備えていることが確認できた。

19インチタイヤのヴェルファイアの乗り味は?

ダンロップSPスポーツマックス060 タイヤサイズは255/55R19

アルファードと同じ2.5Lハイブリッドシステムを積んだヴェルファイアのエグゼクティブラウンジに乗り換えた(E-Four)。アルファード版との大きな違いはタイヤで、225/55R19サイズ(ダンロップSPスポーツマックス005、指定内圧は前後260kPa)を装着する。車体構造も異なっており、ラジエーターコアサポートとフロントサイドメンバーを結ぶフロントパフォーマンスブレースが追加されている。フロントセクションの剛性を高め、高い操縦安定性と接地感を実現するためだ。

ヴェルファイア Executive Lounge(E-Four)車両価格:892万円ボディカラーはプラチナホワイトパールマイカ

タイル敷の広場を転がす程度の走りで、17インチ・アルファードとの違いがはっきりわかる。スピードバンプ乗り越え時の動きも違う。路面の凹凸をコツコツとインフォメーションとして乗り手に伝えるのがヴェルファイアの特徴。「この感覚、どこかで体験したことある」とヴェルファイアに乗った人は思うはずで、剛性の高いボディに引き締まった脚を組み合わせたスポーツカーの味に似ている。

2.4Lターボエンジンはどう?

ヴェルファイアZ Premier(FF)車両価格:655万円 ボディカラーはブラック 全長×全幅×全高:4995mm×1850mm×1945mm
ホイールベース:3000mm 車重:2180kg

そのヴェルフィアをもっとスポーティに走らせるのが、ガソリン仕様だ。アルファードのガソリン仕様が2AR-FE型の2.0L直列4気筒自然吸気エンジンとCVTの組み合わせなのに対し、ヴェルファイアのガソリン仕様はT24A-FTS型の2.4L直列4気筒ターボと8速ATとの組み合わせとなる。最高出力はアルファードの2AR-FEが134kWなのに対し、ヴェルファイアのT24A-FTSは205kWを発生。最大トルクは235Nm対430Nmだ。ヴェルファイアのガソリン仕様が走りに振っていることは数字の違いが物語っている。

T24A-FTS型2.4L直4ターボエンジン
エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
型式:T24A-FTS
排気量:2393cc
ボア×ストローク:87.5mm×99.5mm
圧縮比:ー
最高出力:279ps(205kW)/6000rpm
最大トルク:430Nm/1700-3600rpm
燃料供給:DI+PFI(D-4ST)
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:75ℓ
トランスミッション:8AT(Direct Shift-8AT)

走りは強烈のひと言と言いたいところだが、2.5Lハイブリッド車との対比では、辛さを示すマークがひとつ増えたくらいの刺激度のアップだ。物足りないかというとそんなことはなく、箱形のミニバンならぬ大空間高級サルーンであることを考えれば、よく走り、よく曲がる。「スポーツカーを運転しているのか?」と錯覚するほどだ。

刺激がいまひとつ感じられなかったのは、よく走る2.5Lハイブリッド車に乗った後だったからかもしれない。最大トルクが430Nmもあるエンジン車に乗って、よく言うよ、という話である。感覚がマヒしていたのかも。

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…