新型N-BOXの選択肢は「カスタムターボの一択!」といえるワケは?

威圧感から脱却、品格を表現しようというのが新型N-BOXカスタムの狙いだという。
2023年秋のフルモデルチェンジが予告されているN-BOX。軽自動車のみならず、国内ではもっとも新車が売れているビッグネームだけにフルモデルチェンジへの注目度は高い。N-BOXが属する軽スーパーハイトワゴン・カテゴリーでは最近増えているSUVテイストのグレードを置かず、標準系とカスタム系という2本柱で勝負。従来モデルに対して、シートバリエーションを絞るなどシンプルにユーザーが選びやすい構成となっているようだ。はたして、おすすめは標準系か、カスタム系か。自動車コラムニストが「自分が購入するなら」という視点で考えてみた。
REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:本田技研工業(Honda)

日本一売れているN-BOXのモデルチェンジは2023年秋

N-BOX
N-BOX標準系のおしゃれなパッケージが「ファッションスタイル」。3色に塗り分けられたホイールキャップがこだわりを示す。

ホンダN-BOXといえば、軽自動車の新車販売において8年連続トップ、登録車と合算したランキングでも2年連続で1位となるなど、売れに売れているクルマとして知られています。現行型の誕生は2017年なわけですから、軽自動車のモデルチェンジサイクルからいえば、モデル末期といえる時期です。それでも、販売の勢いを失っていないのはN-BOXが持つ強いブランド力を感じさせる部分でしょう。

そんなN-BOXが3代目へのフルモデルチェンジすることを発表、新型のスタイリングがティザーサイトなどで発表されています。正式な発売時期は2023年秋ということで、まだ価格帯も判明していませんし、グレード構成など不明な点もありますが、標準系とカスタム系の2タイプでの展開となることは確実といえます。従来通り、スロープタイプも用意されるということですから車椅子の家族と出かけたいというニーズには引き続き応えてくれるというわけです。

最近でいえば三菱デリカミニ、ほかスズキ・スペーシアギアやダイハツ・タントファンクロスといったSUVテイストの軽スーパーハイトワゴンをライバル各社は用意しています。一方、新型N-BOXは標準系とカスタム系で、むしろグレード構成をシンプルにしようという流れが感じられます。このあたりは人気ナンバーワンだからこその横綱相撲的な戦略といえるかもしれません。

キープコンセプトに見えるが、フォルムやインテリアは変わった

N-BOX meter
新型N-BOXのメーターはステアリングホイール越しに覗き込むオーソドックスな配置となった。メーター自体は7インチのフル液晶タイプで新鮮だ。

新型N-BOXのティザーサイトが公開された直後から、SNSなどで見かけるユーザーの反応から、あえてネガなものを抜き出すと「代わり映えがしない」、「あまりにもキープコンセプトで手堅過ぎる」といったところになるでしょうか。

たしかに典型的なキープコンセプトなフルモデルチェンジとはいえますが、スタイリングのアプローチは従来モデルとはかなり変わっているというのが筆者の印象です。

N-BOXのフォルムにおける進化を振り返ると、初代では名前の通り「箱」をイメージさせるスクエアを強調したものでしたが、2代目ではウエストラインあたりワイド感を出す「樽」型フォルムとしていました。新型は、ボトムラインを強調する「台」型となっているように見受けられます。

標準車では多孔タイプのフロントグリルを採用、カスタム系ではメッキグリルで圧倒する表現から一文字の光で高級感を表現するといった新提案もしています。全体としてはイメージを変えずに、しかしフォルムやディテールを一新しているというのはデザイナーの妙すぎるといえるかもしれません。

さらに新しくなった感が強いのはインテリアでしょう。

進化が目立って感じられるのはメーターです。ダッシュボード上に薄型配置したメーターを置くというのがN-BOXの伝統でしたが、新型N-BOXではステアリングホイールの間から覗き込むオーソドックスな位置に、7インチフル液晶メーターが置かれています。

7インチという画面サイズは、フィットと同じなのですが、グラフィックの表現力などはフィットを超えているといえ、さすがN-BOXと感心させられるところ。軽自動車というサイズに制限があるカテゴリーゆえに7インチが適切なサイズに感じられるという部分もありそうです。

ターボが設定されるのはカスタム系だけになりそう

N-BOX Custom
N-BOXカスタムはアルミホイールを標準装備とする模様。ターボエンジンの設定もカスタム系だけになりそうだ。

筆者が実車を確認した印象では、プラットフォームなど基本的なアーキテクチャーは従来モデルと共通になっているように感じました。ただし、今回のフルモデルチェンジは法規対応が要因だという声もあります。代表的なのが、サイドポール衝突と呼ばれる電柱などにボディ側面から当たったときの乗員保護性能に関する保安基準で、そのために新型N-BOXのBピラーは根元が太くなっているようです。

一般論として、ピラーを太くするとスライドドアを開けたときの乗降性にはマイナスとなるのですが、新型N-BOXでは乗降性への影響が最小となるようフロント側を伸ばすような形状としているのは実車で確認できるところ。サイドポール衝突の保安基準をクリアするためにはその他の工夫もしているでしょうが、使い勝手を犠牲にしないという強い意志が感じられたのは筆者だけでしょうか。

前述したように新しい提案を盛り込んだフロントマスクには従来モデルにあったミリ波レーダーが見当たりません。どうも、新型N-BOXでは単眼カメラだけで機能するホンダセンシング(先進運転支援システム)を採用しているようです。ホンダの最新モデルは同様のシステムとなっていますので、登録車と同じシステムを搭載していると理解してよさそうです。

パワートレインについての公式情報は、ほとんど出ていないのが現状ですが、従来モデルでは標準系とカスタム系の両方で選ぶことのできたターボエンジンはカスタム系だけの設定となりそう。ターボエンジン車ではパドルシフトが備わるというのは従来同様となる模様です。

カスタム系はファーストカーとしての満足度が高そうだ!

威圧感から脱却、品格を表現しようというのが新型N-BOXカスタムの狙いだという。

はっきりとした目力のある表情が印象的な標準系と、メッキグリルの威圧感から脱却して光による新しい表現を身に着けたカスタム系。メカニズムには大差ないはずなので、基本的には単純に好きなほうを選んでいいと思います。

ただし、本当にターボエンジンがカスタム系にしか設定されないとすれば、もし筆者が新型N-BOXを買うとなったらカスタム・ターボ一択となるでしょう。それは新型N-BOXの出来栄えがあまりにもハイレベルだから。昔ながらの感覚でいうと、軽自動車はセカンドカーとしての選択肢と思いがちですが、いまやファーストカーとして使っている方も多いことでしょう。

新型N-BOXはファーストカーとして使うにふさわしい風格を感じます。そうであれば、おそらくネガとなるのはパフォーマンスにおける”軽自動車感”となるはず。現行N-BOXから採用されたエンジンは、NAであっても不満のない走りっぷりですが、ターボとなれば軽自動車とは思えない余裕を感じさせるものです。

新型N-BOXのスタイリング完成度の高さを見るに、ターボエンジンとの組み合わせがファーストカーとしての満足度をいっそう高めてくれるのではないでしょうか。

メーカー希望小売価格や燃費性能が公にならないことには最終判断はできないかもしれませんが……。

ホンダ新型N-BOX。日本一売れているクルマの三代目デザインはどうだ!

ちょっと見で「なるほどキープコンセプトね」と思われるだけのN-BOXだが、新型になってまでホ…

キーワードで検索する

著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。2010年代から自動車コラムニストとして執筆活動をしています。過去と未来をつなぐ視点から…