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シート仕様で異なる格納方法 全方位バランス型の走りも◎
デビューから6年が経過しながら、2022年(暦年)の販売ランキングでは、ミニバンカテゴリNo.1に輝いたホンダ・フリード。人気の秘密は無駄のない大きさに加え、エイジ&ジェンダーフリーで押し付けがましくないデザインと、多彩な選択肢にあるのではないかと思う。
エクステリア
まずシートの仕様だけで3種類。3列シート車には、2列目キャプテンシートの6人乗りと、ベンチシートの7人乗りが用意される。加えて〝フリードプラス〞は、サードシートレスの5人乗りとなる。2列目シートの格納方法がそれぞれ異なるのも特徴。キャプテンシート仕様は、ラゲッジ容量より座り心地を重視しており、前後にスライドできるだけ。
ベンチシート仕様は背もたれを倒してから座面ごと前に転がす〝タンブル格納〞方式で、フラットな床面と高い天地寸法を確保。5人乗り仕様は、クッションを前側に跳ね上げて、空いたスペースに背もたれを倒しこむ。ラゲッジ床面とは大きめの段差ができるが、前後長は最大190㎝ぐらい確保できる。耐荷重200㎏のラゲッジボードを使えば段差は埋められるし、ボード下のスペースに荷物が置けるから、車中泊適性は非常に高い。
乗降性
3列目席は空間も座り心地もライバルを上回る。一方で、折り畳みは左右に跳ね上げる方式なので、畳んだ際にはラゲッジを侵食する。3列目席の使用頻度が高い人向けと言えるだろう。加えてバリエーションモデルとして、専用サスと空力パーツを装備した「モデューロX」と、SUV風の加飾を加えた「クロスター」を用意。特別仕様車「ブラックスタイル」も加えると、30種類の選択肢となる。
インストルメントパネル
パワーユニットは2種類。1.5ℓ直列4気筒ガソリン直噴エンジンと、ホンダ独自のハイブリッドシステム〝i-DCD〞が用意される。後者は7速デュアルクラッチ式トランスミッションと1モーターを組み合わせたパラレル式システム。モーター出力が小さく、電気依存度が少ないため、ライバルほど市街地での燃費は伸びないが、7速DCTの小気味良い変速感が味わえる。加えてオーバードライブギヤが使えるため、高速走行時に燃費が伸びるという特徴がある。
居住性
一般にガソリン車とHVがある場合、動力性能はHVが上回ることが多いが、フリードはガソリン車もなかなかよく走る。車重が60㎏軽いのに加え、最大トルクも400rpm低い回転数で21Nm多く出ており、同じパワーを得るには少し低い回転数で済むから、余裕があるように感じる。しかもHVは、22kWのモーター出力が上乗せされるとはいえ、長い上り坂などで電池を使い切ってしまうと、81kWのエンジンだけが頼りになるため「頑張ってる感」が出てしまう。
うれしい装備
月間販売台数 6970台(22年11月〜23年4月平均値) 現行型発表 16年9月(一部改良22年6月) WLTCモード燃費 20.9km/l ※「HYBRID」系のFF車
ラゲッジルーム
ドライブフィールは全方位バランス型といった印象。ライバル車が市街地に軸足を置き、軽めのハンドル操作力やソフトな乗り心地にしているのに対し、フリードはしっかり手応えのあるハンドル操作力と、適度に引き締まった乗り心地をもつ。だから、市街地の荒れた路面では少しヒョコヒョコした感じがする反面、峠道でもストレスなく走れる。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。