ランクル70が陸上自衛隊に制式採用される可能性は?ウワサのカギを握るはナローバン&MTモデルの追加販売か!?

復活が熱望されていた「ランドクルーザー70」は現代のニーズに応えて、3ナンバーワゴン化とディーゼルエンジン&6速ATを採用。より多くのユーザーが乗れるクルマに変貌した。しかしながら、ある業界筋から入ってきた話では、トヨタ側も将来的にナローボディの廉価モデルを発売したいと考えているというのだという。
そこで頭をよぎるのが、以前から噂に出ていた70系の自衛隊車両での採用の話である。

TEXT:山崎友貴(YAMASAKI Tomotaka) PHOTO:モーターファン.jp編集部/TOYOTA

ランクル70は多くのユーザーが乗れるクルマに変貌した

新登場の70系は3ナンバーワゴン化、ディーゼルエンジン&6速ATを採用したことで、一般ユーザーにとっては扱いやすく懐にも優しい仕様になっている。

2023年の夏は、ランドクルーザーファンにとって大いに盛り上がった夏となった。ご周知の通り、新型車「ランドクルーザー250」が発表されたのに加えて、かねてより復活が熱望されていた「ランドクルーザー70」が、装いも新たに再々販売となったからだ。

250系の好評ぶりもさることながら、NEW70系の評価は30周年記念限定モデルを大きく上回っている。ファンから要望の多かった丸目ヘッドライトが採用された他、やはり要望が多かったディーゼルエンジンが搭載されたからだ。しかも6速AT採用によって、より多くのユーザーが乗れるクルマに変貌したのである。

70系と言えば、初代は1or4ナンバーの商用車登録で、リヤは直角シート、車検は1年おきという、まさにいろんな意味で“実用車”であった。これまではMTのみで、そこがいかにも“男のクルマ”でいいとされてきた四輪駆動車だ。1度はNOx法の影響で国内絶版状態に陥ったものの、ミスターランドクルーザーこと小鑓貞嘉氏の尽力で、誕生30周年にバンとピックアップトラックを再販。しかし、施行が近づいていた安全基準改正の関連で、期間限定販売という手を使っての復活となった。

しかし、あれから9年。様々な安全基準の適合やユーザーからの声を反映させ、ついにカタログモデルという理想の形での復活となったのである。最も大きなのは、あの70系が3ナンバー登録になったことで、これによりユーザーは1年車検と高額な高速道路料金から解放されることになる。また、わずかではあるがリヤシートが後方にリクライニング可能になり、直角シートに比べると快適性が格段に向上していることも美点だ。

小鑓氏はこれで引退となるが、まさに最後の花道を飾ったカタチとなった。そして、おそらくこれが最後であろう70系の大規模な仕様変更も、このモデルを至高の四輪駆動車に昇華させたのではないだろうか。

新ランクル70系の予想価格は400万円台後半〜500万円台前半か?

ランドクルーザー70「30周年記念復刻モデル」

どこからも見ても魅力的に映る新型70系だが、入手した情報によると価格が400万円台後半から500万円台前半になるのではないかと予想される。30周年モデルが300万円台半ばで売られたことを考えれば、時勢とは言え大幅な値上げになる。ディーゼルエンジンにATの採用、エアバッグなどの充実、物価高騰を考えれば値上げもやむなしだが、世にはそう考えないコアなランクリストもいる。

「そもそも悪路走破には不利なオーバーフェンダーを付けて、ワイドタイヤを履かせるのはどういうことなんだ」というわけである。また、自分の意思で変速ができないATは、オフローディングには向いていないというユーザーもまだわずかだが存在するのである。

70系は中東やオーストラリアなど世界100カ国以上で販売されており、そのバリエーションは豊富だ。ボディバリエーションひとつ取っても、ショートバン、ショートソフトトップ、ロングバン、ロングシングルキャブトラック、ロングダブルキャブトラック、そして10人乗りのトゥループキャリーがある。これにワイドボディとナローボディ、そして数種類のパワーユニットが用意されており、仕向け地に合った仕様にされるのである。

ランクル70は世界各地で“働くクルマ”として、仕向地に合った仕様で展開されている。こちらはコスタリカのニンジン収穫風景。

日本には、タイヤが空転して人事不省になるというオフロードはもうほとんどなく、ユーザーが実際に使うシーンは“日常生活”に過ぎない。そういう点を鑑みて、トヨタもミドル・ワイド・ワゴンというモデルのみを日本に投入してきたのであろう。しかしある業界筋から入ってきた話では、トヨタ側も将来的にナローボディの廉価モデルを発売したいと考えているというのだ。

たしかに、高額なワゴンモデルとリーズナブルなバンモデルの2本立てであれば、カタログモデルとして70系の市場はより盤石なものになるかもしれない。多人数乗車をしなければリヤシートの快適性は重要ではないし、機材や工具などを車内に積む実用派にしてみれば、豪華な車内トリムは邪魔な存在でしかない。

しかし、それだけでナローのバンの市場は継続的にあるだろうかと考えるのは、筆者だけではないと思う。そこで頭をよぎるのが、以前から噂に出ていた70系の自衛隊車両での採用である。

ナローバン廉価モデルの追加で陸上自衛隊採用のウワサはありえるかも!?

1951年発売の “BJ”型がランドクルーザーの起源となる。3.4L直列6気筒のB型ガソリン・エンジンを搭載。

そもそもランドクルーザーは、その源流である「トヨタジープBJ型」が警察予備隊(現自衛隊)に採用されるために開発されたことで、ブランドストーリーが始まった。結果的には、三菱ジープに敗北。さらに名をランドクルーザーに変えて、40系にモデルチェンジした後も、73式小型トラックのディーゼル化トライアルに挑戦したが、またも三菱ジープに敗れるといういわくを持っている。そして、2代目73式小型トラック、現1/2tトラックもまたパジェロベースの三菱車なわけである。

それゆえ、80年代には「ランクルと三菱ジープはどちらが優れているか?」なんて論争が、それぞれのユーザーの間で始終繰り広げられていた。ランクリストの勝手な妄想かもしれないが、ランクルが陸上自衛隊に制式化されるのが悲願とも言えるのである。すでに100系や120系プラドは海上自衛隊、航空自衛隊の物資輸送車として使われているが、やはり戦闘車両としての採用をファンも見てみたいと思っているのかもしれない。

しかし、いくら70系が世界で活躍している実用4WDとは言え、いきなり戦闘車両としては使えないのではないかという声もある。ところが、日本ではあまり知られていないが、70系はすでに戦闘車両としての実績を持っているのだ。

フランス陸軍が2016年に採用した「マステックT4」が、それである。この車両は70系に戦闘用の改造を加えたもので、「プジョーP4」の後釜に座った。今回登場した新型70系とはマスクデザインなどが若干異なるが、基本的はほぼ同じだ。そして、このマステックT4はもちろんナローボディのミドルバンなのである。

フランス陸軍のマステック T4(Masstech T4)は、70系ランクルをベースに改造を加えた車両。(画像:フランス軍事省・フランス陸軍/Ministère des Armées / Armée de Terre)

つまり、さほど台数が望めないナローバンを民生用カタログモデルとして販売したとしても、陸上自衛隊に採用されるなら、ビジネスとして成り立つことになる。加えて、ほぼ同型のクルマを市販化することで、陸上自衛隊への安定した部品供給、アフターフォロー、コストダウンを防衛省に提案できるというメリットもあるのではないだろうか。

2021年には三菱が継続生産を表明しているものの、すでに多くの1/2tトラックは経年変化が進み、三菱も部品供給やアフターフォローの点で苦労しているという話も聞く。また、配備されている駐屯地でも、初期のモデルの稼働率が下がり、“ニコイチ”でようやく動かしているという話も聞いたことがある。火器運用の都合で全廃されないとしても、想定する戦闘の形態が変わりつつある昨今、新たな小型車両の検討も十分にあり得るだろう。

自衛隊が採用する三菱の1/2tトラック。

いずれにせよ、現時点ではすべて“夢物語”でしかないが、ナロー廉価モデルが追加販売される可能性は低くない。「70系はナロー&MTがいい」という辛口の貴方は、もう少し70系の動向を見てから購入を検討して方がいいかもしれない。

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著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…