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先進機能や操縦安定性が向上 オープンカーの設定も魅了
日本でも根強い人気を誇る「500」の次世代版は、見た目の雰囲気をそのままに、100%BEVとなって現れた。コンパクトな車体の床下に42kWhのバッテリーを搭載し、87kWと220mを発生するモーターを組み合わせる。航続距離は335㎞と長くはないが、このクルマに相応しい使い方を考えると十分だと思えてくる。
エクステリア
充電はAC200Vの普通充電と、開発にやや時間を要し、ようやく完成した専用のアダプターを用いて急速充電にも対応している。クローズドボディだけでなくカブリオレが選べるのもポイントだが、思えばBEVのオープンカーというのはあまり心当たりがない。後者は既存の「500」と同じで、一般的なカブリオレと異なりクローズドボディと同じ基本骨格を残したままルーフ前端からリヤウインドウまでをソフトトップとしているのが特徴だ。これによりクローズドボディと同等の車体剛性や横転時の安全性を確保している。
乗降性
ソフトトップをスライドさせると、リヤシートの頭上まで開いていったん止まり、さらにボタンを押すと全開になってソフトトップが後端のトランクフード上に畳まれるという仕組みとなっているが、途中まで開けた状態の方が風の巻き込みが少なく、後方視界にも優れる。歴代モデルの個性を随所に取り入れたという室内の雰囲気も「500」とはだいぶ異なり、よりオシャレになり質感も高められてる。BEVとしての情報を表示するためにメーターまわりも変わっている。
インストルメントパネル
また、「イタリアのクリエイティブスピリットが創造した」という、独特の500eサウンドを楽しめるのも特徴のひとつ。車両接近通報装置と、システム起動時と終了時に車内で1回ずつ聞けるサウンドで、どんな音なのかは公式HPでも再生して確認できるようになっている。装備については、空調への負荷を減らすべくシートヒーターが標準装備されるほか、カーナビも標準で付く。多くが日本語で表記されているので迷うこともない。先進運転支援装備も充実している。そのあたり、「500」があまり至っていなかったことを思うと隔世の感がある。
居住性
コンパクトなサイズゆえ実用性はそれなりではあるが、このサイズだからこそ機動性はバツグンだ。走りにおいて重要なトレッドはそれほど狭くなく、バッテリーを積んで重心が低くなったことで、操縦安定性は「500」とは別物だ。加速力も驚くほど強力ではないにせよ、モーター駆動ならではのリニアなレスポンスとそれなりに太い低速トルクにより街なかをキビキビと走れる。ドライブモードを三つの中から選ぶことができる。
うれしい装備
月間販売台数 NO DATA 現行型発表 22年4月 一充電走行距離 3358km
ラゲッジルーム
なによりシングルクラッチのデュアロジックでは発進時にもたついたりシフトチェンジのたびにひと呼吸置く感じだったりしたのが当たり前のことながら解消しているのがうれしい。だから「500」のデザインは好きでも走りが不満で購入を躊躇していたという人にも薦められる。1950年代に生まれた愛らしいユニークな容姿のクルマは、これからも人々を魅了してサスティナブルな世界を実現し続けていく。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。