ピレリの“EV向けタイヤ”に存在感! BEV&PHEVの採用例が2倍以上のペースで増加

モビリティの電化が進むなかで、自動車用タイヤに求められる性能も変わってきている。先日開催されたIAAモビリティショーでは、イタリアの老舗タイヤメーカーであるピレリの電動パワートレイン車用製品が存在感を示していた。

2023年9月5日~10日にドイツのミュンヘンで開催されたIAAモビリティショー。同展示会において、ピレリはプレミアムおよびプレステージ電気自動車(EV)用タイヤの世界的リーダーとしての地位を確認した。

同展示会で披露された新車のうち、バッテリーEV(BEV)の約25%、プラグインハイブリッド車(PHEV)の30%がピレリタイヤを装着。ハイパフォーマンスなP ZeroからSUVやクロスオーバー向けのScorpionまでさまざまなシリーズが採用されたが、いずれのタイヤにも『Elect(エレクト)』のマークが刻まれていた。

ElectはEV専用に開発されたモデル。EVやPHEVは車重が重く、トルクも瞬間的に発生する傾向がある。Electはこの特殊なニーズに対応する構造と素材を採用。必要とされる特性をクリアしながら、耐久性も向上させた。
また、航続距離も最大限に伸ばすために転がり抵抗も低減。ピレリが行ったテストでは、通常製品と比較して、フル充電後の走行距離が最大で10%伸びたことが示されたという。
加えて、電動パワートレイン車両の持ち味のひとつである静粛性の高さをスポイルしないよう、音響的な快適性も重視。同社のElectでないタイヤ比でキャビンノイズを20%低減している。

Pirelli P Zero E

Electは2019年の発売から今日に至るまで、すでに300を超えるホモロゲーションを獲得。同シリーズの需要は増しており、2023年上半期の新規ホモロゲーション数は昨年同期の2倍以上のスピードで伸びており(125%増)、これは電動モビリティにおけるピレリの存在感の高まりを裏付けている。

IAAモビリティショーに出展された唯一の水素自動車だったBMW iX5 Hydrogenもピレリタイヤを採用。このクルマは、FSC(森林管理協議会)の認証を受けた天然ゴムを使った、世界で唯一のP Zeroを履いていた。

Pirelli P Zero E

ピレリの研究開発部門・サイバー担当上級副社長を務めるピエロ・ミザーニは「私たちが電動モビリティで達成したリーダーシップは、私たちの研究開発部門の革新性を証明するものです」と語った。「ピレリは、電気自動車用のトランスバース技術を持つ唯一のメーカーであり、他のすべての製品ラインにも応用可能です。このアプローチによって、私たちは自動車メーカーに、それぞれのクルマの特性に最適なオーダーメイドのタイヤを提供できるようになりました。オーダーメイドのBEVとPHEV用タイヤの需要がますます高まっている中で、新しいP Zero Eのデビューにより、Electホモロゲーションの承認がさらに強化されるでしょう」

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