新型ホンダN-BOXカスタムターボに乗ってみた! パワフルなだけじゃなく乗り心地はしっとり上質!! 思わず付けたくなる純正アクセサリーも?

今、日本で一番売れているクルマがホンダN-BOX。2011年の初代デビュー以来、2世代に渡って人気を集めてきた軽スーパーハイトワゴンだ。その人気モデルが三代目へとフルモデルチェンジされた。NAエンジンのN-BOXに続き、N-BOXのターボエンジン搭載車を同じく山田弘樹氏が横浜の街と高速道路で試乗。カスタムターボは走り好きのドライバーの心に刺さるのか!?
REPORT:山田弘樹(YAMADA Kouki)/PHOTO:MotorFan.jp

カスタムターボはホンダアクセス純正アクセサリー装着車

丸目のLEDヘッドライトが愛らしいN-BOX(自然吸気・直列3気筒DOHC)から乗り換えたのは、ターボエンジンを搭載するN-BOX カスタム(FF)のホンダアクセス仕様だった。

N-BOXカスタムターボ。左はホンダアクセスの純正アクセサリー装着車。フロントまわりではグリルやバンパーのデザインが異なる。

先代でグリルの上半分とヘッドライトまでをメッキコートしたグリルで覆っていたフロントマスクは、横一線のLEDライトでシンプルに。とはいえ角形ヘッドライトの印象と合わせると、NAモデルよりはずっと精悍な印象で、品は良くなったが相変わらず可愛げはない。

先代N-BOXカスタムEXターボ スタイリング(プレミアムグラマラスブロンズ・パール)
新型N-BOXカスタムターボ(ミッドナイトブルービーム・メタリック)

しかしそれが、ホンダの考えるカスタムのキャラクターである。私は丸目が好きだから、こちらでもターボが選べれば良いのにと思う。

ターボ仕様はN-BOXカスタムのみにラインナップ。丸目のN-BOXにはターボエンジンの設定はない。

ターボエンジンと引き締められた足周りは上質感もある

そんなN-BOXカスタムの走りは、ひとこと盤石だ。N-BOXに搭載されるS07B型エンジンをターボ化したその出力は最大トルクが104Nm(10.6kgm)と、65Nm(6.6kgm)の自然吸気エンジンよりも一段分厚いから、アクセルひと踏み目からクルマの進み方が違う。

高速道路での合流に向けての加速も余裕がある。

筆者はN-BOXの試乗でエンジンを「ターボいらず」と評したがそれは自然吸気エンジンでも十分という意味で、十分以上の質感や余裕を望むなら、当然ターボが良いに決まっている。そしてその差額が、わずかに20万円しかないのがとても悩ましい。

新型ホンダN-BOXで横浜の街と高速道路を走ってみた! 街乗りならターボはいらない? “走り”好きから見たN-BOXのインプレッションは!?

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対するシャシーは、ターボの出力と15インチタイヤの採用に対してダンパー減衰力が変更されている。また電動パワステも、その足周りにトーンを合わせてチューニングされている。

N-BOXカスタムターボは15インチアルミホイールに165/55R15サイズのタイヤを装着する。

それは剛性感の中にもしっとりした滑らかさがある乗り心地で、まるきり別格とまでは言えないけれどN-BOXと比べれば、確実に上級志向。ハムとステーキとまでは言わないが、ラーメンとチャーシュー麺くらい食べ応えが違う。それって身近な選択としては、かなり大きな差だ。

N-BOXカスタムターボは上質な操舵フィールと優れたライントレース性を見せる。

ハンドルの切り始めでは電動パワステ(EPS)がまったりと、しかしリニアに反応し、操舵フィールに上質感を与えながら、狙ったラインをトレースしてくれる。然るにN-BOXのEPS制御は、軽めなフィールを好むユーザーを想定し、シティコミューターとしてのキャラクターを意識したものだろう。対してカスタムの操舵フィールには、上質感がある。とはいえそこは電動なのだから、モードでどちらも選べれば良いのにと思う。

全体的なハンドリングは14インチ仕様のN-BOXで感じた応答遅れがなく、やっぱり最低でもこれくらいのレスポンスが必要だと思えた。初期の反応が良くなる分だけ高速道路の大きなループや車線変更でも操作タイミングが自然になるし、直進安定性も高まっている。

アダプティブ・クルーズ・コントロールのセッティングは?

アダプティブ・クルーズ・コントロールに関しては、シャシーが安定した分だけN-BOXよりもカーブで姿勢が安定している。それでも横Gが高まった際や、曲率が高いコーナーでは途中で操舵支援を途中で打ち切り、放って置くと車線をはみ出てしまいそうになるから、ハンドルは普通に握っておく必要がある。

ここで無理に最後までハンドルを切り続けない理由こそが、スーパーハイトワゴンの重心の高さだと思う。与えられた車速に対して無理をすれば横転する可能性がある場合は、それもかなりのマージンを取っているように思えるが、操舵支援をオフにしてドライバーに操作や速度管理を委ねるわけだ。
最新式の制御ならコーナーの曲率に対して必要な速度まで減速するわけだが、N-BOXのコストだと今は、そこまではできないのだろう。

しかし曲率の浅いカーブや直進時は、軽く手を添えおくだけで走り続けることができ、うるさく注意してくることもないから、通常のACCによる高速巡航は快適だ。クルマ側でわざとソーイングを入れて注意喚起するようなあざとさもないから、筆者は最初静電容量センサーを使っているのかと思ったが、トルクセンシング式だと聞いて驚いた。小さな入力でもホンダセンシングは、ドライバーがハンドルを保持している状態をキャッチできているというわけだ。

ターボの足周りを標準にした方が良いかもしれない

後部座席の快適性は、まずまず。路面からの突き上げにやや硬さがあるものの、これこそが広い空間を持つN-BOXに相応しい乗り心地だと感じた。もちろんさらにストロークやダンパー容量、リアサスの取り付け剛性が高まればいうことはないけれど、現状の枠組みとしてはこちらをスタンダードに推したい。

N-BOXカスタムターボ(純正アクセサリー装着車)の後席。

試乗車はまさに新車下ろしたての状態だったから、ブッシュや摺動パーツが馴染んでくれば乗り味はさらに落ち着くはずだ。そういう意味では4WD車の方が、燃費は23.6km/Lから21.9km/Lと僅かに悪化するが、後部座席の乗り心地や全体的な走安性も良くなるかもしれない。

N-BOXカスタムターボ(純正アクセサリー装着車)

ということでやはりN-BOXに対しては、ターボ仕様のダンピングが標準になった方がよい気がする。タイヤ銘柄や径の違いが走安性に大きな差をもたらしているのだとしたら、これはミシュランの試乗記事でも書いたことだが、軽自動車はもう少しタイヤのクオリティを上げた方がいい。これはサプライヤーの問題というより、メーカーの姿勢の問題だと思う。

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最後は少々厳しいことを書いたが、それもこれもいまや国民車となった軽自動車で、スーパーハイトワゴンを成立させるためだ。
結論として言えばターボ仕様のN-BOXカスタムは盤石な一台に仕上がっていた。さすがは2年連続国内販売ナンバーワンとなるN-BOXの上級グレードだ。

機能性をさらにアップ! 充実したホンダアクセス純正アクセサリー

左が試乗した純正アクセサリー装着車(PTEMIUM STYLE)。右が標準のカスタムターボ。

N-BOXカスタムターボの試乗車は前述の通りホンダアクセスが用意する純正アクセサリーの装着車で、“PREMIUM STYLE“と銘打ったコーディネートの提案モデル。208万2300円の車両価格(カスタムターボ/FF/トワイライト・ミストブラックパール3万3000円高)に65万1090円分のアクセサリーを装着して277万3390円となっている。
試乗記の最後に、この試乗車のインテリアや装着されていた純正アクセサリーを少し紹介しよう(編集部)。

基本的なインテリアはN-BOXと同様の造型ながら、黒基調のカラーとすることでカスタムらしい精悍さを演出する。装着されている8インチディスプレイオーディオ(9万9000円)の他に、N-BOX専用9インチHonda CONNECTナビ(24万6400円)や8インチHonda CONNECTナビ(15万700円)の設定もあり。
前後シートに装着された合皮製のシートカバー(5万1700円/前後セット)。
リヤシート右側のサイドポケットに装着されたUSBチャージャーは5V/3Aの出力(1万3200円)。
こちらはN-BOXの試乗車で、同じ場所にUSBチャージャーは装着されていなかった。
サンシェード内蔵大型ルーフコンソール(3万4650円)。運転席頭上のデッドスペースを有効活用するアイテム。
奥行きがありボックスティッシュが悠々と収まる容量。耐荷重は左右それぞれ500gずつ。
ルーフコンソールに内蔵されるサンシェードを下ろしたところ。停車時に車内温度の上昇を防ぐのはもちろん、「車中泊の強い味方になりそう(山田)」
このレバーを引き下ろして、逆T字のフックをダッシュボード上のマウントに引っ掛けて固定する。サンシェードのロール張力が意外と強い。
フックを引っ掛けるダッシュボード上のマウント。フックを外す際に油断するとすごい勢いで巻き上がる。「あのバチン!がなければ良い装備ですよね(山田)」
車名N-BOX
グレードN-BOX CUSTOMターボ
全長×全幅×全高3395mm×1475mm×1790mm(FF)/1815mm(4WD)
ホイールベース2520mm
最低地上高145mm
車両重量FF:920kg
4WD:1000kg
室内長×室内幅×室内高2125mm×1350mm×1400mm
エンジンS07B型直列3気筒DOHC12バルブ i-VTECターボ
排気量658cc
ボア×ストローク60.0mm×77.6mm
圧縮比9.8:1
燃料タンクFF:27L
4WD:25L
(レギュラーガソリン)
最高出力64ps/6000rpm
最大トルク10.6kgm/2600rpm
燃費(WLTCモード)FF:20.3km/L
4WD:18.4km/L
トランスミッションCVT
最小回転半半径FF:4.7m
4WD:4.8m
ブレーキフロント:ベンチレーテッドディスク
リヤ:ドラム
サスペンション(前後)FF:マクファーソンストラット/リジッド
4WD:マクファーソンストラット/ド・ディオン
ホイール・タイヤ15インチアルミホイール(カラードフルホイールキャップ)
155/65R14
価格(税込)FF:204万 9300円
4WD:218万2400円

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著者プロフィール

山田弘樹 近影

山田弘樹

自動車雑誌の編集部員を経てフリーランスに。編集部在籍時代に「VW GTi CUP」でレースを経験し、その後は…