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R専用の独自メカニズムでGTIと明確に差別化
初めてゴルフに「R」と名のつくモデルがラインナップされたのは、ゴルフ4に3.2ℓの挟角V6エンジンを搭載した「R32」だ。4WDの4MOTIONを搭載するのもGTIとの大きな違いで、続くゴルフ5にも同様の組み合わせで設定された。
エクステリア
ゴルフ6以降はGTIと内容は異なるが同じ2.0ℓ直4ターボのスペックを差別化して搭載されるようになった。ゴルフ8では従来比で10㎰増、20Nm増となるゴルフ史上最強の2.0TSIエンジンが搭載された。GTIに対しては、75㎰と50Nmのアドバンテージとなる。すでに他モデルの「R」にも採用されている「Rパフォーマンスベクタリング」や、電子制御デファレンシャルロックの「XDS」とアダプティブシャシーコントロールの「DCC」を統合制御し、さらに4MOTIONと高度に連携した「ビークルダイナミクスマネージャー」が新たに採用されたのが現行型の特徴だ。
インテリア
発売時から車両価格が上昇し、執筆時点では670万円を超えるほどになった。VWらしく控えめな中にも、「R」の一員として専用に仕立てられた内外装からもタダモノではない雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。さらに、7月には出力が向上した専用チューニングのエンジンを搭載するほか、チタンエキゾーストシステムやナッパレザーシートをはじめ数々の専用装備が与えられた日本導入20周年を記念した特別仕様車が発売された。
4MOTIONだから可能な脅威の瞬発力とグリップ力
320㎰で420Nmを誇るエンジンと7速DCTに4MOTIONを組み合わせたゴルフRは、発進加速から抜群の瞬発力を誇り、踏み込むと刺激的な加速を味わうことができる。そこは前輪駆動ゆえ空転しないようにどうしても発進加速を抑えざるをえないGTIとは異なる部分に違いない。さらに、新たに採用したトルクベクタリングやビークルダイナミクスマネージャーも効いて、ハンドリングも楽しい。歴代ゴルフRはアンダーステアが強い傾向だったのに対し、新型は小さな舵角でターンインできて、それを維持したままアクセルオンでグイグイと曲がっていける。コーナリングの感覚がだいぶ違う。DCCでレースモードを選択すると、走りに特化した乗り味となり、アクセルオフ時にパンパンと音をたてるような演出とともに、メーターも気分を高揚させる専用の表示となる。
うれしい装備
20周年記念の特別仕様車では、出力向上とともにドリフトモードとニュルでタイムを出すのに適したスペシャルモードが追加されている。一方でコンフォートを選択すると高性能を味わえながらも乗りやすく、日常使いで不満のない快適な乗り心地を提供してくれるあたりも、あくまでVWの一員らしい。そうしたオールラウンドな性格の持ち主である点も、ゴルフRならではの側面といえそうだ。それなりに高い値付けではあるが、実車に触れるとその価値に納得できる。
Country Germany Debut 2022年10月 車両本体価格 677万円2000円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。