ついにデビューした新型スズキ・スペーシア/スペーシアカスタムを先代モデルと比べてみる! スタイルは?スペックは?価格は?

2023年11月9日、スズキの軽スーパーハイトワゴン「スペーシア/スペーシアカスタム」がモデルチェンジされた。すでに『ジャパンモビリティショー2023』の出展発表の時点て新型のコンセプトモデル展示を告知。同ショーではその実車をつぶさに見ることができた。しかし、それはあくまでコンセプトモデル。いよいよ正式発表となったスペーシア/スペーシアカスタムの市販モデルは、従来型からどのように変わったのだろうか? スタイルやスペック、価格などを比較していこう。
PHOTO:新型・中野孝次(NAKANO Koji)/先代・平野 陽(HIRANO Akio)

スズキ・スペーシア/スペーシアカスタムは、初代が2013年にデビュー。とてもよくできたクルマではあったが、カスタムも含めクリーンなデザインでライバルに対し個性ではやや遅れをとった。そのことから、モデルライフ後半にはさらに押し出しの強いデザインのスペーシアカスタムZを追加した。

初代スペーシア
初代スペーシアカスタム
初代スペーシアカスタムZ

スペーシアは2017年に二代目へとフルモデルチェンジ。スタイルをより個性的にするべくトランクケースをモチーフにしたデザインを採用するほか、ユーティリティでもかゆいところに手が届く作り込みがなされ、カスタムも当初から押し出しの強いデザインとなった。
さらに、SUVテイストをまとったスペーシア・ギアや商用車的道具感を備えたスペーシア・ベースなども展開された。

二代目スペーシア
二代目スペーシアカスタム
スペーシア・ギア
スペーシア・ベース

そして、2023年11月に三代目にモデルチェンジしたわけだが、新型の詳細は別ページに譲るとして、ここでは早速この先代モデル(二代目)と新型とを比較してみよう。

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エクステリア:スペーシア

先代スペーシア
新型スペーシア
先代スペーシア
新型スペーシア

先代では「トランクケース」をモチーフにしたというデザインは、さらなるユーティリティ性をイメージして「コンテナ」をモチーフにしているという。
そのため、新型は先代よりもボディサイドのリブ処理が増えているほか、ホイールアーチもスクエアなデザインになっているのがわかるだろう。

左:先代モデル/右:新型

先代スペーシアはマイナーチェンジの際にフロントグリルをメッキの細長4本のデザインに変更されたが、新型では、むしろデビュー時に近いデザインになっている。
ヘッドライトは先代よりもやや横長になり、ウインカーを外側から内側にしているのも違い。バンパー中央の横棒もフローティングデザインから「日」の字になり、全体的に先代よりもスクエアな印象を受ける。

上:新型/下:先代モデル

前述のとおりトランクからコンテナにモチーフが変わったことからリブ風のプレスラインが増え、ホイールハウスのプレスラインもスクエアに。もう一点大きな変化が、先代でトランクの把手をイメージしたドア上部のデザインがなくなった点だ。これもトランク→コンテナのモチーフ変化によるデザイン変更だ。

さらにリヤクォーターウインドウのピラーを先代のブラックアウトしたものからしっかりと見せるデザインとなり、先代のフローティングルーフ的な演出は継承されなかった。また、ウインドウの後端を跳ね上げることで躍動感のある雰囲気を出している。

また、ホイールキャップのデザインがスポークタイプに変化。ホイールとタイヤのサイズは155/65R14と変更はない。

左:先代モデル/右:新型

リヤコンビランプは先代より大型化され位置を下げたのが大きな違い。先代ではリヤゲートハンドルにあったバックランプもコンビランプ内に組み込まれ、より洗練されたリヤビューとなった。
ドアハンドルの位置も下がり、リヤゲート下端の角がスクエアになったため、積載性も高まったのではないだろうか?

エクステリア:スペーシアカスタム

先代スペーシアカスタム
新型スペーシアカスタム
先代スペーシアカスタム
新型スペーシアカスタム

上質感と華やかさを掲げるスペーシアカスタムは、先代の大面積メッキグリルから水平基調のグリルとなり、先代の押し出し感に対して、確かに上質感が高まっているように感じられる。

左:先代モデル/右:新型

二段の横長メッキグリルは上段がヘッドライトから連続しており、先代の縦長なフェイスに対し水平基調に改められている。先代では細かく敷き詰められたメッキの中に「S」のエンブレムが埋もれてしまっている印象だったが、新型ではしっかりと見えている。
また、先代では「コ」で囲まれたフォグランプは、新型では内向きの五角形になり、スポーティな印象だ。

上:新型/下:先代モデル

サイドビューは先代、新型ともにスペーシアと変わるところはなく、その変化も共通している。撮影車両はボディ同色だが、新型スペーシアカスタムにももちろんツートーンルーフ仕様も設定されている。
ホイールは新デザインとなったが、15インチホイールと165/55R15のタイヤサイズに変更はなかった。

左:先代モデル/右:新型

カスタムはリヤコンビランプがクリアである点は継承され、位置の変化やバックランプの内蔵はスペーシアと同様だ。コンビランプがクリアなせいか、リヤウインドウのラインがコンビランプと連続しており、フロントマスク同様の水平基調がリヤにも反映されている。
また、リヤバンパーのスポイラー形状がより顕著になり、スポーティな雰囲気になった。

インテリア

新型スペーシア
先代スペーシア

全体的にスクエアなデザインになり、センターディスプレイのベゼルが拡大したことでエアコンの操作パネルがシフトレバー左に移った。また先代の特徴であった円形のエアコン吹き出し口もスクエアな縦長のものに変わっている。
ステアリングとメーターのデザインも変更され、先代よりスポーティな雰囲気になっている。

新型スペーシアカスタム
先代スペーシアカスタム

スペーシアカスタムではダーク基調の内装になり上質感を演出するが、ドアトリムやダッシュボードに艶消しボルドーを配色することで、ダーク系一辺倒だった先代とはイメージを異にしている。
何より、先代のトランクモチーフのインパネアッパーボックスが無くなっているのが大きな変化と言えるだろう。

新型スペーシア
先代スペーシア
先代スペーシアカスタム

メーターナセルも先代の弧状デザインからインパネ同様スクエアになり、メーターもアナログからデジタルに変更された。そのため、先代のようにスペーシアとスペーシアカスタムでメーターの差別化はされていない。

シート

フロント、リヤ共にシート自体は特に変化していないように感じられるが、やはり最大の違いはリヤシートに設定される「マルチユースフラップ」だろう。この詳細については別ページを参照してほしい。

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リヤシート:新型スペーシア
フロントシート:新型スペーシア
リヤシート:先代スペーシア
フロントシート:先代スペーシア

地味なアップデートではあるが、センターピラー内側に設置されている乗降グリップが拡大され、大人から子供まで使いやすくなっているほか、リヤシートには左右席独立のセンターアムレストを用意。さらなるくつろぎ空間へのこだわりを感じる。

リヤシート:新型スペーシアカスタム
フロントシート:新型スペーシアカスタム
リヤシート:先代スペーシアカスタム
フロントシート:先代スペーシアカスタム

スペーシアカスタムでは、シート色の変化がスペーシアよりも大きく、先代のブラック基調からやや明るい色調になり、レッドのパイピングが入るなど、モダンなデザインになっている。
他にもパーソナルテーブルと付随するドリンクホルダーの形状変更、上部にもシートバックポケットを追加するなど、リヤシートのユーティリティをかなり高めている。

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また、形状に大きな変化は見られないが、スリムサーキュレーターの静粛性が向上しているのは嬉しいポイントだろう。くわえて、ルームランプがLEDになり、明るく低電力、長寿命になったほか、後席右側にUSB電源も用意している。

スリムサーキュレーター:新型スペーシア
スリムサーキュレーター:先代スペーシア

ラゲッジルーム

ラゲッジルームは後席格納時の床面が先代よりもフラットになり、それに伴い荷室高が拡大。大きな荷物を積みやすくなっている。

ラゲッジルーム(通常時):新型スペーシアカスタム
ラゲッジルーム(後席格納時):新型スペーシアカスタム
ラゲッジルーム(通常時):先代スペーシアカスタム
ラゲッジルーム(後席格納時):先代スペーシアカスタム

ドライブトレーン

エンジンは先代のR06A型から新型のR06D型に改められた。水冷直列3気筒DOHC12バルブという基本諸元はそのままながら圧縮比を高め(11.5→12.0)燃焼効率を向上させている。
ただしターボエンジンは先代同様R06A型を搭載する。

NAモデルに搭載されるR06D型エンジン。
ターボエンジンはR06A型を搭載。

トランスミッションは全車CVTなのは変わらないが、軽量・高効率の新型CVTとマイルハイブリッドを組み合わせ、燃費は最大で30.4km/L(JC08モード)を実現。先代の30.0km/L(JC08モード)から0.4km/L向上している。
※先代はWLTCモード値が無いためJC08モード値で比較

型式R06DR06A(先代)R06AターボR06Aターボ(先代)
エンジン直列3気筒DOHC12バルブ直列3気筒DOHC12バルブ直列3気筒DOHC12バルブ
インタークーラーターボ
直列3気筒DOHC12バルブ
インタークーラーターボ
ボア×ストローク61.5×73.8mm64.0×68.2mm64.0×68.2mm64.0×68.2mm
排気量657cc658cc658cc658cc
圧縮比12.011.59.19.1
最大出力49ps/6500rpm52ps/6500rpm64ps/6000rpm64ps/6000rpm
最大トルク5.9kgm/5000rpm6.1kgm/4000rpm10.0kgm/3000rpm10.0kgm/3000rpm
燃料27L(レギュラー)27L(レギュラー)27L(レギュラー)27L(レギュラー)
モーターWA04C
直流同期電動機
WA05C
直流同期電動機
WA05C
直流同期電動機
WA05C
直流同期電動機
最大出力2.6ps/1500rpm3.1ps/1000rpm3.1ps/1000rpm3.1ps/1000rpm
最大トルク4.1kgm/100rpm5.1kgm/100rpm5.1kgm/100rpm5.1kgm/100rpm
トランスミッションCVTCVTCVTCVT
エンジン+モーター諸元

主要諸元とグレード設定・価格

ボディサイズは軽自動車枠のスーパーハイトワゴンという制約上、デザインが変わってもそれほど大きな違いが出ることはない。スペーシアとスペーシアカスタムターボで新旧を比較してみよう。ドライブトレーンの比較については前述したとおりだ。

車名スペーシアスペーシア
(先代)
スペーシアカスタムターボスペーシアカスタムターボ
(先代)
全長3395mm3395mm3395mm3395mm
全幅1475mm1475mm1475mm1475mm
全高1785mm1785mm1785mm1785mm
ホイールベース2460mm2460mm2460mm2460mm
室内長2170mm2155mm2170mm2155mm
室内幅1345mm1345mm1345mm1345mm
室内高1415mm1410mm1415mm1410mm
最低地上高150mm150mm150mm150mm
車両重量FF:850-880kg
4WD:910-930kg
FF:850-870kg
4WD:900-920kg
FF:910kg
4WD:960kg
FF:900kg
4WD:950kg
太字は先代から変更のあった諸元

フロントにマクファーソンストラット、リヤにトーションビーム(4WDはITLリンク)というサスペンション形式、フロントにディスク(4WDはベンチレーテッドディスク)、リヤにドラムというブレーキ形式は先代から踏襲。ホイールとタイヤサイズも同様だ。

また、グレード展開もスペーシアに「HYBRID X」と「HYBRID G」、スペーシアカスタムに「HYBRID XSターボ」「HYBRID XS」「HYBRID GS」という内容は先代と同じになっている。全車にFFと4WDが設定されるのも変わらない。

車名・グレード価格価格(先代)
スペーシア・HYBRID G(FF)153万100円133万3800円
スペーシア・HYBRID G(4WD)165万6600円145万4760円
スペーシア・HYBRID X(FF)170万5000円146万8800円
スペーシア・HYBRID X(4WD)182万4900円158万9760円
スペーシアカスタム・HYBRID GS(FF)180万1800円157万6800円
スペーシアカスタム・HYBRID GS(4WD)192万5000円169万7760円
スペーシアカスタム・HYBRID XS(FF)199万5400円169万200円
スペーシアカスタム・HYBRID XS(4WD)211万5300円181万1160円
スペーシアカスタム・HYBRID XSターボ(FF)207万3500円178万7400円
スペーシアカスタム・HYBRID XSターボ(4WD)219万3400円190万8360円
先代価格は発表当時のもの

クルマの高機能化と物価の高騰から、2017年の先代モデル発表当時から概ね20万円の値上げとなっている。しかし、搭載される先進安全装備や快適装備を考えれば妥当な価格アップと言えるのではないだろうか。

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