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TOYOTA GAZOO Racing（TGR）が11月20日、プレスカンファレンスを実施。2023年の世界ラリー選手権（WRC）および世界耐久選手権（WEC）の活動を報告するとともに、2024年シーズンに向けた活動体制の発表を行った。
2023年のTGRは、WRCとWECというふたつの世界最高峰シリーズに参戦。WRCではドライバー、コ・ドライバー、マニュファクチャラーと、すべてのカテゴリーでチャンピオンを3年連続で獲得。また、WECでもドライバーとマニュファクチャラーのダブルタイトルを5シーズン連続で達成した。
そして2024年も両選手権へのエントリーを継続し、頂点を目指していく。
来季はロバンペラが活動を縮小、オジエとマシンをシェア
WRCでは、最年少連続チャンピオンとなったカッレ・ロバンペラをはじめとしたドライバーの顔ぶれは不変となった。しかし、ロバンペラはチームと複数年契約を結んだ一方、WRCへの参戦数を限定し、ドリフトなど別カテゴリーでの活動を進めていくという。
ロバンペラの参加イベント数が減少することにともない、8度のWRC王者であるセバスチャン・オジエがロバンペラとマシンをシェアするかたちとなる。
エルフィン・エバンスはチームとの2年契約を更新。また、日本人ドライバーである勝田貴元は2024年から全戦レギュラードライバーとして参戦する。
2024年FIA世界ラリー選手権 参戦体制 チーム名：TOYOTA GAZOO Racing WRT（World Rally Team） チームオーナー：豊田章男 チーム代表：ヤリ-マティ・ラトバラ 車両：GR YARIS Rally1 HYBRID ドライバー／コ・ドライバー： エルフィン・エバンス／スコット・マーティン セバスチャン・オジエ／ヴァンサン・ランデ カッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン 勝田貴元／アーロン・ジョンストン
2024年はWRCのフル参戦を休止するロバンペラは、チームを通じて「TGR-WRTと複数年契約を結び、引き続きチームと共に活動できることを嬉しく思っています」とコメントを発表。
「来年は参戦するラリーの数を絞ることにしました。私はすでに15年間という長い間ラリーを続けており、2022年、2023年は私にとって特に素晴らしい年となりましたが、同時に精神的にも体力的にも非常に過酷な生活が続いていました。そこで、来年一年間は心身の充電期間とし、再びフルアタックで選手権に挑むべく戻ってきたいと思っています。私は様々なモータースポーツが好きなので、来年はラリーだけでなく、ドリフトや、また別のクールなイベントに参加することを楽しみにしています」
また、世界で通用するラリードライバーの育成を目的としたWRCチャレンジプログラムも継続される。その2期生である小暮ひかる、山本雄紀は2024年、ラリー2車両で欧州のラリーに参戦。また、同プログラム3期生の選考も進行しており、12月に最終選考が実施される予定となっている。
2024年 TGR WRCチャレンジプログラム 体制 小暮ひかる／トピ・ルフティネン 山本雄紀／マルコ・サルミネン
WECにデ・フリースが復帰し7号車ドライバーに
WECでは2024年もハイパーカーカテゴリーに2台体制で参戦する。
ドライバーラインナップは若干変更され、7号車のレギュラードライバーとして、2023年シーズン途中までFIAフォーミュラ1世界選手権（F1）に参戦していたニック・デ・フリースが起用されることが決まった。デ・フリースは2020年から2022年にTGR WECチームにおいてテスト兼リザーブドライバーとして活動した経験があり、レースドライバーとして復帰したかたちだ。
今季7号車のドライバーとして参戦していたホセ・マリア・ロペスは、2024年に新設されるLMGT3クラスにアコーディスASPチームから参戦することが明かされた。
また、全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGTシリーズ GT500クラスという国内最高峰カテゴリーを制した宮田莉朋がリザーブドライバーに選ばれた。
2024年FIA世界耐久選手権 参戦体制 チーム名：TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー：豊田章男 チーム代表：小林可夢偉 車両：GR010 HYBRID 7号車ドライバー： マイク・コンウェイ／小林可夢偉／ニック・デ・フリース 8号車ドライバー： セバスチャン・ブエミ／ブレンドン・ハートレー／平川亮 リザーブドライバー： 宮田莉朋
宮田はELMSとFIA F2に参戦へ!!
WECで活躍できるドライバーの育成と輩出を目指すWECチャレンジプログラムも継続される。同プログラム下では宮田が活動しており、その一環として2024年はヨーロピアン・ル・マン・シリーズ（ELMS）にエントリーする。
宮田はさらに、F1直下の選手権であるFIAフォーミュラ2選手権（FIA F2）にも参戦することが発表された。どのチームからのエントリーになるかは、現時点では明かされていない。
宮田は発表に際し「まず、F2とELMSでドライブする機会を与えてくださったモリゾウ（豊田章男会長）さんはじめ、TGRの皆さんには感謝の言葉しかありません」と、チームを通じてコメント。
「2023年からWECチャレンジプログラムの育成ドライバーに選出されて、チームに帯同して欧州へ行く機会が増えたり、TGR-E（TOYOTA GAZOO Racing Europe）でハイパーカーのシミュレーターテストに参加したり、世界で活躍したいという僕の思いに、多くの皆さんがサポートしてくださいました。そういった意味でも皆さんの期待に応えたいですし、これからも感謝の気持ちを持って活動していきたいと改めて感じています。また、今回TGR WECチームのリザーブドライバーにも選んでもらえたことはすごく光栄ですし、自分にもそういうチャンスが生まれてきたことを嬉しく思います。この機会を与えてくださったモリゾウさん、佐藤（恒治）社長をはじめ、TGRの皆さんはもちろんのこと、ヨーロッパのチームの皆さんにも感謝しています。いつ、どんなときでも、レースに出てと言われたら自分がチームに貢献できるようにしっかり準備していきたいです」
また、TGR-Eの副会長を務めている中嶋一貴は、以下のように述べている。
「昨年からWECチャレンジプログラムとして宮田を育成ドライバーに選出し、彼の2024年の活動をプランニングしてきた立場として、F2そしてELMS、この二つの活動機会を実現できることを嬉しく思いますし、関係者の皆さんに感謝したいです。特に今回のF2参戦は、モリゾウさんが平川のマクラーレンF1リザーブドライバーというチャンスを後押しし、応援してくださったからこそ、切り開くことができたものですし、そこに宮田自身の23年の活動成果も相まって実現できたものと思います。宮田にとっては、フォーミュラと耐久、どちらの経験も積みながら、彼の頑張り次第ではその先の様々な可能性が開ける素晴らしい機会となります。そんなプログラムを2024年に実現できることは僕自身も非常に嬉しいですし、気の引き締まる思いです」
「今後もグローバルに、様々なチャンスを切り開いていくためのプログラムにしていかなければならないと思いますし、ホセがWEC GT3でドライブするように、経験あるドライバーから若手にフィードバックしていけるような仕組みも作っていきたいです。世界中の拠点間で連携をして、日本人に限らず、様々なドライバーがチャレンジできる環境を作っていく、そんなプログラムにしていきたいです」