目次
第1戦 ラリー・モンテカルロ
2023年シーズンのFIAラリー選手権(WRC)は、例年通り伝統の一戦、ラリー・モンテカルロで幕を開けた。1月19~22日に行われたこのラリーでは、8度の世界王者であるセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス ラリー1ハイブリッド)が強さを発揮。初日から一度もトップを譲ることなく逃げ切って、ラリー・モンテカルロ最多記録となる9勝目を挙げた。
第2戦 ラリー・スウェーデン
シーズン第2戦の舞台はスウェーデン。2月9~12日に行われたラリー・スウェーデンは、カレンダー唯一のフルスノーイベントだ。本格的にスタートするデイ2でトップに立ったのはクレイグ・ブリーン(ヒョンデi20N ラリー1ハイブリッド)だったが、ブリーンと激しいトップ争いが展開していた2019年の王者オィット・タナック(フォード・プーマ ラリー1ハイブリッド)が3日目にトップに浮上。タナックは最終日も速さを見せて、シーズン初勝利を手にした。
第3戦 ラリー・メキシコ
第3戦ラリー・メキシコは3月16~19日に開催。シーズン最初のグラベルラリーとなったこの大会では、デイ2でエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20N ラリー1ハイブリッド)がトップに立った。ラッピはしかし、3日目最初のステージでアクシデントにより戦線離脱。これでラッピのすぐ後ろにつけていたオジエがラリーをリードすると、そのまま逃げ切って2勝目を手にした。
第4戦 クロアチア・ラリー
4月21~23日、第4戦クロアチア・ラリーが開催された。ラリー初日はヒョンデのエースであるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20N ラリー1ハイブリッド)がリードする展開となったが、デイ2の3本目でヌービルがリタイア。2番手につけていたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス ラリー1ハイブリッド)がトップに浮上すると、最終的には2位に30秒近い差をつけてフィニッシュし、シーズン初勝利を飾った。
また、このイベントの開催一週間前に、テスト中のアクシデントによりブリーンが逝去したことを受け、ヒョンデ陣営はマシンに追悼カラーリングを施してラリーを戦った。
第5戦 ラリー・ポルトガル
第5戦ラリー・ポルトガルは5月12~14日に開催された。このラリーでは、カッレ・ロバンペラ(ヒョンデi20N ラリー1ハイブリッド)が初日でトップに立つと、2日目に5つのステージで最速タイムをマークするなど躍動。ここまで未勝利に終わっていた2022年の王者だったが、最終日にもパワーステージを制するなど、終始ライバルを上回る速さを見せてシーズン初勝利を手にした。
第6戦 ラリー・イタリア サルディニア
6月1~4日、第6戦ラリー・イタリア サルディニアが開催。雨絡みとなったこのラリーでは、デイ3で一時リードしていたオジエがリタイアするなど波乱含みの展開に。そんななか、この日5ステージで最速タイムを刻んだヌービルがトップに浮上すると、そのまま逃げ切り勝利を果たした。
第7戦 サファリ・ラリー・ケニア
第7戦サファリ・ラリー・ケニアは6月22~25日の日程で実施された。開催70周年を迎えた記念すべきこのラリーではトヨタ勢が強さを見せた。デイ2最初のステージでオジエがトップに立つと、トップを譲ることなくシーズン3勝目をマーク。また、2位にロバンペラ、3位にエバンス、4位に勝田貴元(トヨタGRヤリス ラリー1ハイブリッド)が入り、脅威の1-2-3-4フィニッシュを達成した。
第8戦 ラリー・エストニア
7月20~23日、第8戦ラリー・エストニアが開催された。スムースな路面の高速グラベルラリーであるこのラウンドでは、デイ2終了時点でロバンペラがトップに。ロバンペラは続くデイ3とデイ4のすべてのステージで勝利するという圧倒的な速さを披露し、シーズン2勝目を手にした。
第9戦 ラリー・フィンランド
第9戦ラリー・フィンランドは8月3~6日に開催された。フィンランドにチームの拠点を置くトヨタにとってはホームイベントとなるこのラリーでは、同国出身のロバンペラがデイ2でリタイアするアクシデントに見舞われたものの、エバンスがしっかりと優勝。また、勝田も3位表彰台を獲得して、いいかたちでホームイベントを終えた。また、このラリーにはトヨタのヤリ-マティ・ラトバラ監督もドライバーとして参戦。見事に5位でフィニッシュした。
第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ
伝統のアクロポリス・ラリーは、WRCの2023年シーズン第10戦として9月7~10日に開催された。荒れた路面が特徴でもあるこのラリーだが、2023年はイベント前の雨の影響もあり様々なコンディションのステージが入り乱れるトリッキーなラリーとなった。デイ2からオジエとヌービルが激しい首位争いを展開するも、デイ3で両者とも戦線離脱。これでロバンペラがトップとなり、シーズン3勝目を挙げた。
第11戦 ラリー・チリ・ビオビオ
9月28~10月1日の日程となったラリー・チリは、WRCのイベントとしては4年ぶりの開催。このラウンドではタナックが強さを発揮。デイ2でトップに立つと、デイ3では6本中4本のステージで最速となりリードを広げ、そのまま逃げ切りでシーズン2勝目を手にした。また、3位にエバンス、4位にロバンペラが入ったことで、トヨタがマニュファクチャラーズ選手権3連覇を確定させた。
第12戦 セントラル・ヨーロピアン・ラリー
10月26~29日のセントラル・ヨーロピアン・ラリーはWRC初開催のイベント。ドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国が舞台となった。デイ2終了時点で、トップのロバンペラは2番手ヌービルに30秒以上の大差をつけてリード。しかし、ドライバーズタイトルを唯一争っていたエバンスがデイ3で戦線離脱すると、ロバンペラは意図的にペースダウン。優勝をヌービルに譲った一方、自身は手堅く2位でフィニッシュし、WRC連覇を果たした。
第13戦 ラリー・ジャパン
第13戦ラリー・ジャパンは11月16~19日、愛知県と岐阜県を舞台に開催された。本格的にラリーが開始されたデイ2は大雨に見舞われたことで複数のドライバーがアクシデントに見舞われた。そんななか、トップにエバンス、2番手にロバンペラ、3番手にオジエとトヨタ勢が上位を独占した状態でラリーをリード。そのままのポジションでフィニッシュした。また、勝田もアクシデントに見舞われながらも多くのステージで最速タイムを記録して追い上げ、5位入賞という結果で一年を締めくくった。
2023年 世界ラリー選手権 ドライバーズランキング(Top10)
Rank. | No. | Driver | マニュファクチャラー | Pts. |
1 | 69 | K.ロバンペラ | トヨタ | 250 |
2 | 33 | E.エバンス | トヨタ | 216 |
3 | 11 | T.ヌービル | ヒョンデ | 189 |
4 | 8 | O.タナック | Mスポーツ・フォード | 174 |
5 | 17 | S.オジエ | トヨタ | 133 |
6 | 4 | E.ラッピ | ヒョンデ | 113 |
7 | 18 | 勝田貴元 | トヨタ | 101 |
8 | 6 | D.ソルド | ヒョンデ | 63 |
9 | 3 | T.スニネン | ヒョンデ | 42 |
10 | 22 | O.ソルベルグ | ― | 33 |
2023年 世界ラリー選手権 マニュファクチャラーズランキング
Rank. | マニュファクチャラー | Pts. |
1 | トヨタ | 548 |
2 | ヒョンデ | 432 |
3 | フォード | 287 |