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バイクで身につけた金属加工が役立った
昭和51年(1976年)に軽自動車規格が変更され、軽自動車のエンジン排気量が360ccから550 ccへと拡大された。排ガス規制が厳しくなったことを受けての処置で、これ以降360 ccのエンジンを搭載する軽自動車は激減する。新車として買えなくなると、自然にサブロクたちは中古での価値も低くなった。
サブロクが見直されたのは旧車ブームが盛り上がった20年ほど前のことだろう。それまで見向きもされなかったサブロクが再注目されると、可愛らしいスバル360や4ストで扱いやすいホンダ車が再び人気を博する。だからスバルとホンダはサブロク残存率が高いのだ。
同時にバイクを趣味とする人にも4輪趣味としてサブロクが人気だ。バイクの延長のようなメカなので、素人でも自分で手を加えられる。今回紹介するオーナーのkenboさんもそのひとり。長くバイクをカスタムし続け、金属加工なら何でもやるくらい腕を磨いた。だからサブロクに乗り始めても、同じように自分でカスタムを進めてきたのだ。
ホンダN360の後継車で水冷エンジンに切り替わったライフは1971年発売。30psを発生するエンジンは9000回転以上までスムーズに回る。その秘訣はバランサーシャフトが組み込まれていたこと。72年6月にツインキャブレターを装備するツーリングシリーズが追加され、同GSには5速MTを採用。同年9月に4ドア版も新設定。73年のマイナーで車種整理され、ツーリング系はGFLになる。
SUSPENSION
FRONT/REAR 4J-10+145SR10 前後ともコスミックのアルミとGY・GT80の組み合わせ。英コスミックは輸出仕様N600用だった。
ENGINE
排気量はそのままでヘッドだけ開けてチューニングした。なにやらキャブでないような光景。
CB400X純正スロットルボディにCBR600RR純正インジェクターを組み合わせたインジェクション仕様なのだ!
ハーネスは純正を使いつつインジェクション用のものを追加。純正レギュレーターも併用。
誰もやらないからインジェクション化
旧ミニで通勤していたが会社からNGが出た。そこで選んだのがライフ。どうせならキャブの旧車に乗りたかったからで、今はなきオートスポットで手に入れた。当初から全塗装され普通に動く状態だったが、バイクで身につけたカスタムをライフにも施したくなるのは自然な流れ。
勤務地が異動になりクルマ通勤ができなくなると、ライフのカスタムも一気に進む。エンジンは調子良いのでヘッドだけ開けて定番チューンを施す。キャブはCVKからFCR 35と経てインジェクション仕様に挑戦した。
バイク趣味の延長で選んだのは紙ヒコーキというブランドで売っているインジェクション。ECUとコントローラー、フルトラ点火がセットになり、バキュームは吸気圧のみ。スマホと連動させてセッティングが可能でデータロガーとしても使用可能。
肝心のインジェクターは2輪用スロットルボディとインジェクターを組み合わせ、デリバリーパイプやピックアップ回路は自作。何度かのセッティングにより見事に乗りやすく速いライフが出来上がったのだ。
室内
ダッシュボードこそ純正だがパネルを自作して速度計以外は社外メーターを追加。警告灯は自作したものだ。
グローブボックス内にECUやコントローラーなどをギッチリ詰めた。
このホンダ・ライフの記事は10/20発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年12月号に掲載されています。