日本市場の爪痕を──初出展のヒョンデがチューンドEVコンセプト「NPX1」を世界初公開【東京オートサロン2024】

幕張メッセで1月12日から開催されている「東京オートサロン2024」では、ヒョンデが同イベントに初出展。12日にプレスカンファレンスを実施し、コンセプトカーを世界初公開した。


ヒョンデは2022年に日本のマーケットに再上陸を果たした。日本では現在、バッテリーEV(BEV)のIONIQ(アイオニック)5とKONA、そして水素燃料電池車(FCEV)のNEXO(ネッソ)を展開しているが、次なる一手として同社のスポーツブランドである「N」の導入を目指している。

ヒョンデブースに展示されているIONIQ 5 N。奥に置かれているのがNPX1。

ヒョンデのNブランドは2015年、フランクフルト・モーターショーにおいて立ち上げが発表された。Nは研究開発の拠点である韓国・ナムヤンと、開発テストを行うドイツのニュルブルクリンクに由来する。
ヒョンデは近年、Nブランドの名の下にモータースポーツ活動を展開している。FIA世界ラリー選手権(WRC)やツーリングカーカテゴリーに参戦し、そこで培った技術を市販車にフィードバック。i30 Nなどこれまでに数々のスポーツモデルを発売してきた。
そして、Nブランド初のBEVモデルがIONIQ 5 N。2024年上半期中に日本導入が見込まれている。

この日、プレスカンファレンスに登壇したヒョンデNブランドマネジメントグループ常務のジューン・パーク氏は、まず日本語で挨拶すると、続けて「日本でNブランドの革新的な将来について紹介でき、大変光栄です」と、喜びを語った。

「ヒョンデラインアップとモータースポーツの間に位置するNモデルは、最先端のテクノロジーを具現化した商品です。私たちのパフォーマンスビジョンは、Nブランドの3つの柱に反映されています。コーナーラスカル(コーナリングを楽しむ者)、レーストラック・ケイパビリティ(サーキットを全力で楽しめる能力)、そしてエブリデイ・スポーツカーです。すべてのNモデルは、この3つの柱に基づいて開発されています。2024年、私たちはこのパフォーマンスビジョンを日本に導入し、エキサイティングなドライビング体験を日本のエンスージアストたちにお届けします」

IONIQ 5 NはIONIQ 5の高性能モデルで、最高出力650PS、最高速260km/h、0-100km/h加速は3.4秒を誇る。ストレートの速さはもちろん、“3つの柱”に基づいた開発によりコーナリング性能も向上されている。また、BEVではあるが、エンジン車のようなサウンドとシフトチェンジフィールを楽しめるのも特徴だ。

「EVの時代になっても、日本の根強い自動車文化は決して衰えることはないと信じています。成長過程の日本のEVマーケットに早期に参入することで、パフォーマンスEVのスタンダードを確立したいと考えています」

その一方でパーク氏は「日本の自動車文化は特別でユニーク。そんな日本のマーケットに足跡を残すには、極めて特別なプロダクトを提供することが必要です」と話すと、続けて世界初公開となるコンセプトカー「NPX1」を披露した。

NPX1は、IONIQ 5 Nをベースとしたパフォーマンスコンセプトマシンで、Nブランド初の電気自動車専用のNパフォーマンスパーツのプロトタイプを採用。カーボン製のフロントスプリッターやリアウィングなどの空力パーツのほか、高性能ブレーキパッド、ダウンスプリングなどにより、走行性能が高められている。

「この極めて特別なプロダクトで、将来のクルマのチューニングカルチャーをどのようにエンジョイするかを、パフォーマンスEVで具現化しました。NPX1は近い将来市販されるNパフォーマンスパーツのプレビューモデルです。このクルマで将来のさらなる可能性について話しましょう。私たちはドライビングの喜びをさらに高めることを追求し続けます。特に新しいテクノロジーを備えていて、たとえばOTA通信によるプログラムのアップデートしたり、エンジンサウンドなどを新たにダウンロードしたり、ドライビングのセッティングさえも仲間とシェアできたりします。これらは一例にすぎず、私たちカーエンスージアストは将来、楽しささえも共有できるかもしれません」

「私たちは単にクルマを売るだけではなく、Nカルチャーを日本のエンスージアストたちに提供します。Nファンを作る、それが私たちの目標です」

ヒョンデブースは幕張メッセ北ホール10に設けられている。また、13日(土)と14日(日)の11時から11時30分には幕張メッセ屋外展示場にて、谷口信輝、チョ・ソング、加藤正将のレーシングドライバー3名によるデモランとトークショーも行われる。

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