今年ロータリーエンジン開発チーム発足をマツダ社長が明言!ロードスターとマツダ3のコンプリートカーを初披露!【東京オートサロン2024】

マツダスピリットレーシングRSコンセプト(手前)、マツダスピリットレーシング3コンセプト(奥)とマツダの毛籠勝弘社長(手前)、前田育男マツダスピリットレーシングチーム代表(奥)
クルマ好き&自動車業界関係者の新年会的存在となりつつある、本日1月12日より14日まで千葉県の幕張メッセで開催中の「東京オートサロン2024」。中ホール6のマツダブースで行われたプレスカンファレンスでは、マツダの毛籠勝弘(もろまさひろ)社長がロータリーエンジン開発チーム発足を明言。さらにワークスレーシングチーム「マツダスピリットレーシング」の名を冠したコンプリートカーのコンセプトモデル2台を世界初公開した!

REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、マツダ

「マツダスピリットレーシング」の名を冠するコンプリートカーの開発を発表

マツダスピリットレーシングRSコンセプト

マツダは2023年、富士スピードウェイや岡山国際サーキットで「マツダファンフェスタ」を開催するとともに、11月1日付でブランド体験推進本部を新設。「マツダスピリットレーシング」を含むすべてのモータースポーツおよびブランド体験に関連する機能を集約している。

また、同年10月24日〜11月5日に開催された「ジャパンモビリティショー2023」では、2ローターのロータリーエンジンを発電機として搭載し、「ポルシェ911相当のパフォーマンスを秘めている」(毛籠社長)ハイブリッドスポーツカーのコンセプトモデル「アイコニックSP」を世界初公開した。

この「アイコニックSP」に関し、毛籠社長は「大変多くの賛同、そして激励をいただきました。大変嬉しく、とても感激しています」と謝意を述べるとともに、「皆様に背中を押されてこの夢に近づくべく、2月1日にロータリーエンジンの開発グループを立ち上げます」と明言。

「カーボンニュートラル時代に向けた課題をブレイクスルーするため、エンジン方式の垣根を越えた広い技術的視座と最先端の内燃機関技術、そしてマツダ得意のモデルベース開発の使い手として鍛錬を積んだエンジニアが再結集」するという。

「超えるべき技術課題はそう甘くはないですが、飽くなき挑戦の新しいチャプターへの一歩を進められると思う」と、新たなロータリーエンジンとその搭載スポーツカーの実現に向けた決意を、力強い言葉で表明している。

ジャパンモビリティショー2023で世界初公開された「アイコニックSP」と毛籠勝弘社長

さらに、「『マツダスピード』以来25年ぶりにファクトリーモータースポーツ推進部を、ブランド体験推進本部内に設立した」ことにも触れ、その活動の一環として、2021年よりスーパー耐久シリーズ(S耐)参戦を通じたカーボンニュートラル技術開発などを行う「マツダスピリットレーシング」ブランドの名を冠するコンプリートカーを開発することが発表された!

毛籠社長からプレゼンテーションのバトンを渡され登壇した、前田育男マツダスピリットレーシングチーム代表は、マツダブース内のメインステージ前に展示された2台のコンセプトカーについて解説。

市販化第一弾として開発中の、「ロードスター」ソフトトップ車をベースとした「マツダスピリットレーシングRSコンセプト」は、日本仕様のソフトトップ車としては初めて2Lエンジンを搭載。またS耐参戦を通じて培ったノウハウを活かし、「そのままサーキットでも楽しめるクルマを目指し、エンジンと足回りに手を加えたうえで、このモデルのようなレーシーなアピアランスに仕立てる。現ロードスターオーナーはもちろんのこと、もう少し速さにこだわる方々も魅了できるクルマを目指す」としている。

マツダスピリットレーシングRSコンセプト

市販化第二弾として検討中の、「マツダ3ファストバック」をベースとした「マツダスピリットレーシング3コンセプト」は、「基本的な考え方はマツダスピリットレーシングRSコンセプトと同じ」。「スペックなどの詳細は現在検討中だが、こちらもS耐で戦っている55号車のイメージとつながる、モータースポーツ直系(のテイスト)を感じていただける内容にしたい」と、こちらも実現の可能性は高そうだ。

マツダスピリットレーシング3コンセプト

そして、2024年シーズンのS耐ST-Qクラス参戦計画について発表した。

「マツダスピリットレーシング・マツダ3バイオコンセプト」は、昨2023年シーズンに次世代バイオ燃料の開発エンジン車として熟成が進められ、2.2Lディーゼルエンジンは「最終戦では300psに到達し、相当速さも身につけることができた」。今シーズンは技術の限界を目指すとともに、燃料以外のカーボンニュートラル技術、新たなドライブトレインの採用にも挑戦したい」と、新たな技術の開発も進められるという。

マツダスピリットレーシング・マツダ3バイオコンセプト

「マツダスピリットレーシング・ロードスターCNFコンセプト」は、「2Lエンジンにカーボンニュートラル燃料を使用し、出力・レスポンスの改善や軽量化によって、究極のコーナリングマシンとして戦闘力の向上を図りたい」計画。燃料はトヨタ・スバルとの共同開発メンバーに加わり、「業界の垣根を越えて未来に向けての開発に取り組んでいる」。

 最後に前田代表は、「ファクトリーチームによるこの究極の実証実験の場への参戦は、技術を鍛え、人を育てることが目標です。技術もそうですが、その人材は、将来のクルマ作りにおいて大きな財産になると考えています。現在そこで得られた知見、技術、経験を将来のマツダらしいクルマ作りに活かす取り組みを行っておりますので、こちらも期待していただければと思います」と述べ、レース活動を通じた技術開発・人材育成がファン・トゥ・ドライブな市販車の開発へ密接に結びつくことを強く訴えていた。

 レース活動を通じたカーボンニュートラル技術と市販車の開発、そして新たなロータリーエンジンの開発。今後登場するマツダ車に対し、クルマ好きが大いに期待できる発表内容が盛りだくさんの、新年最初の記者会見となった。

マツダスピリットレーシング・ロードスターCNFコンセプト

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…