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「車両盗難事情」昔と今の違いとは!?
自動車にまつわる盗難被害は、実のところピークは2002年で、そこから大幅に減少しているそうだ。車体そのものも、そして部品狙いの盗難認知もその傾向は変わらず、 2022年の実績から言えば、ピークの時と比べその割合は1割ほどにまで減少しているという。
それでも、実感としては逆の印象を持つ人も多いに違いない。振り返れば、ピークとされる 2002年頃は、カーメーカー純正の盗難防止装置が今ほど普及していなかった。その普及に合わせて盗難発生率は減少していったものの、装置の仕組みを逆手にとったリレーアタックやCANインベーターなどの手口が生み出され、今再び新たな脅威になっているとも言える。
また、脅威が身近になっていることは、被害に遭いやすい車種名からも窺える。統計データごとに多少の変動はあるものの、こぞって名があがるのはトヨタ車ばかり。20年前と変わらず、最もハイリスクなのはランドクルーザーで変わりないものの、プリウスやアルファード、そしてハイエースといったファミリーカーも散見される。
そこに見えてくるのは専門的な窃盗集団の存在と、盗難車を換金しやすい市場の存在だ。単なる窃盗というよりも、仕入れとして任務遂行されるケースも容易に想像がつく。よく名前が挙がる代表車種は、国内のみならず、海外でも引き合いがあるのだろう。
防犯施策として今こそ求められるもの
では、そんなリスクから愛車を守るにはどうするべきか? 自動車盗難にまつわる背景が異なる以上、やり方も変わって当然だ。
それこそ被害認知件数がピークとされる2000年代初頭は、異常検知に重きが置かれていた。駐車中の車体に揺れや衝撃が加わった時点でアラームを鳴らすシステムが一般的で、とにかく車内への侵入を防ぐことが第一義。その時点で誰かが気付けば、それ以上の被害を防ぐことができるという考え方だろう。
ただ前述のように、専門的な窃盗集団が跋扈している昨今の現状を考えると、犯行に気付いたとて、うかつに近寄ることも難しい。返り討ちにあって人的被害にまで及ぶケースも少なくないし、アラームをものともせずに犯行を続ける強引さもそこにはある。
だからこそ、対抗する方法として有効なのは、プロによる犯行を前提に置くことだろう。計画的に行われる犯行では、解除に要する手間がシビアに計算される。職業的に行うからこそ、掛かる手間数、そしてリスクに見合うかどうかもプロとして判断されることは言うまでもない。
たとえ車内に侵入されても、そのまま乗り逃げができないようプラスαの施策があれば、結果的に二重の策となる。解除に時間を要するターゲットは、プロだからこそ嫌うとも言えるのだ。
導入障壁をグッと下げるちょうどよい選択
原始的なハンドルロックやホイールロックが、今再び日の目を見ているのには、こういう背景がある。ローテクながらもシンプルな機構ゆえに解除には物理的に手間を要し、また視覚による抑止効果も大きければ、それでいてシステム構築ほどのコストを必要としない。
ただ、手間を要するのはオーナー側も同様で、物理ロックは使用時以外の置き場所の問題もつきまとう。ネックは主にここだろう。
これまで後付けのセキュリティ用品は、センサー検知による通報主体のハイテク電子デバイスと、走行操作を制限するローテク物理ロックの両極に分かれていた。それぞれに一長一短があり、その中間は手薄だったとも言える。
けれどここに来て、新たな選択肢が登場した。オートバックスにて先行発売される、データシステムが手掛けた『カースティールブロッカー』がそれだ。
車載用電子機器に精通するデータシステムだけに、採用されたのは電子デバイスの手法。物理ロックのネックを減らしつつ、エンジン始動制御だけにターゲットを絞った機構でハードルを下げている。本体価格も手頃なら、割り切りの機構ゆえに、装着にあたっての取り付け工賃も抑えられるわけだ。切った貼ったの大幅な改造も必要としない点も、ユーザーには嬉しい点だろう。
とはいえ、メーカー自らが謳っている通り、この製品によって車両盗難を完全に防止できるわけではない。主な目的は、セキュリティ解除に掛かる時間を稼いで盗難を断念させることであり、それこそ現代の防犯事情に有効なのは前述の通りだ。
現状での適合を見ても分かる通り、対象車種はいずれも盗難被害が多い名うてのハイリスク車となる。策を講じている間に被害に遭ってしまっては元も子もない。ピンときた今こそが導入にあたっての絶好のタイミングだ。