まさに溜飲が下がる「フィアット・デュカト」国産キャンピングカー!最安798万円はお買い得!?

昨年のジャパンキャンピングカーショー以降、国内でフィアット「デュカト」をベースにしたバンコンモデルが増えてきていて、今年のショーでも多くの新モデルが登場するなど、市場の動向が変化していること感じ取ることができる。その中でも岡モータースが製造した「GRAN BOX TP」が注目を集めている。いったいどんなモデルなのだろうか?

TEXT&PHOTO:山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)

身近な存在となりつつある「デュカト」の国内架装バンコンモデルに注目

昨年のジャパンキャンピングカーショーあたりから、フィアット「デュカト」をベースにして国内で架装したバンコンモデルが出始めた。今年のショーでも、ニューモデルが各ビルダーから精力的にリリースされたが、それらは昨年までとは毛色がかなり変わっていた。

デュカトベースのキャンピングカーでは、スロベニアのキャンピングカーブランド「アドリア」が手掛ける「ツイン」シリーズなどが有名。(画像:Adria)

デュカトベースのキャンピングカーは欧州が主流であり、「アドリア」ブランドなどが有名だ。ビルダー、モデルによって特徴はあるのだが、デュカトベースのキャンパーには室内にある一定の法則がある。まず運転席と助手席が回転する機構が付いており、これを後ろ向きにしてセカンドベンチシートと共にダイネットにする。その後ろにはキッチン、そして並行してマルチルームもしくはシャワー&トイレ、そして車内最後部にベッドというレイアウトが一般的となる。

デュカトの特徴である運転席と助手席の回転対座機構。

運転席と助手席の回転対座機構をすべての基にするために、どうしても同じ様な居住空間になってしまうのだ。これはかつて、「ハイエース」をベースにした国産バンコンモデルがほぼ同じような車内レイアウトになってしまった状況に似ている。

アドリア・ツインの室内イメージ。(画像:Adria)

さて、このレイアウトが使いにくいわけではないが、デュカトという大きなベースモデルから考えると、さほど広くない気がしてしまうのだ。国産のデュカトキャンパーが出始めた昨年初頭には、こうした輸入モデルを参考にして車内を架装しているものが多かった。もちろん日本人ならでは知恵がちりばめられていたが、やはりどうしても運転席と助手席の回転対座機構の呪縛から逃れられなかったのである。

もちろんこうしたモデルにも魅力がある。まず、デュカトという高級車に乗れるわけだし、並行輸入モデルにはない保証と修理体制が得られる。だが、1000万円オーバーという価格を考えれば、日本人には国産キャブコンの方が使いやすい部分もあるし、汎用性を考えればバンコンでいいのでは…と思うユーザーも少なくなかったと思う。

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岡モータース製作の「GRAN BOX TP」

そんな市場の動向に、当然ながらビルダーに気がつかないわけがない。今年登場した国産デュカトキャンパーの中には、「これだよ、これ!」と合点が来るモデルがいくつかあった。その代表が、岡モータースが製造した「GRAN BOX TP」だ。

壁面の穴にベッドマットのフックを掛けることで、左右ベッドそれぞれの高さ調整が可能。

TPとは“トランスポーター”の略で、デュカト本来の積載スペースに仮眠スペースを付けたモデルと考えればいいだろう。仮眠スペースとは言ってもこれが秀逸で、壁面にある特許の穴にベッドマットのフックを掛けることで、左右ベッドそれぞれの高さ調整ができるようになっている。もちろん、両ベッドの高さを合わせて、その間にオプションマットを入れれば、広大な就寝スペースを確保することも可能だ。

両ベッドの高さを合わせれば、ベンチとして使用することもできる。

ベッドの高さを左右で違えたり、片方を外すことで、空いた空間にバイクや自転車、キャンプグッズを積むことが可能となり、アクティブなキャンパーには実に使い勝手がいいモデルなのである。これまでのデュカトキャンパーは移動と車中泊だけが用途であったが、これなら様々なライススタイルに応えてくれるだろう。

両ベッドの間にオプションマットを入れれば、広大な就寝スペースが出現する。
ベッドを壁側に固定すれば、デュカト本来の積載スペースを活かしたトランスポーターとしての使い方もできる。

ちなみにこのモデルには「GRAN BOX VL(バンライフ)」という別バージョンも用意されており、こちらはコンパクトキッチンと中間のベッドマットなどが標準装備となる。ちなみに、写真はGRAN BOX VLの仕様だ。

なお、TPは1ナンバー登録、VLは8ナンバーで登録することができる。

さて、福音はその中身だけではない。TPはベース価格で、なんと798万円。これまで1000万円前後の価格が当たり前だったデュカトキャンパーが、ようやく身近な存在になったわけだ。もちろん電装系や照明、駐車用冷暖房は付いていない価格だが、それは自分の使い方に合わせて付ければいいし、ポータブル電源を活用する方法もあるので問題ないだろう。

このモデルの他にも、ホワイトハウスからこれぞというデュカトキャンパーが登場していたが、こちらの紹介はまた機会を改めたい。

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著者プロフィール

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山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…