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航空機エンジンから2輪、4輪車へと成長したBMW
BMWの起源は、1916(大正5)年3月7日にグスタフ・オットーが航空機エンジンを製造するBFW社を設立したことに始まる。翌1917年にBMWに改称して、1923年に2輪車、1932年には4輪車の製造に着手してドイツを代表する自動車メーカーへと成長した。
航空機エンジンから2輪車製造へ
BMWの起源は、1916年グスタフ・オットーが航空機エンジンを製造するBFW(バイエルン航空機製造)社を設立したことに始まる。ちなみにグスタフ・オットーは、“オットー・サイクル”で有名な4ストロークエンジンの発明者ニコラウス・オットーの息子。翌1917年に、BMW(バイエルン発動機製造)に社名を変更した。
BMWの技術力は高く評価され、第一次世界大戦中は航空機の需要増で急成長。ところが、1918年にドイツは敗戦したため、軍用航空機エンジンの製造は禁止され、BMWは苦境に立たされることになった。それでもエンジンの開発は続け、2輪車用の500cc水平対向2気筒エンジンが英国のバイクメーカー・ビクトリアなどに採用されて人気を獲得した。
1923年には、500cc水平対向2気筒空冷エンジンを搭載し、出力をドライブシャフトで後輪に伝えるという、今日のモデルにも受け継がれる特徴を備えた初のBMWブランドモデル「R32」が大ヒット。この頃から、BMWは2輪車メーカーとして頭角を現し始めた。
2輪車の成功を基盤に大型高級車市場に参入
BMW初の4輪車は、1933年に誕生した1.2L直6エンジンを搭載した「303」だ。フロントフェイスには、独特の長円形のグリルを備え、今に至るまでBMWのデザインアイコンとなっている“キドニーグリル”は、このモデルから始まった。
1936年に流行の流線形デザインを取り入れ、2.0L直6エンジンを搭載した大型ボディの「326」がデビューし、BMWは念願だった大型高級車市場に参入。第二次世界大戦後の1961年に、愛称“ノイエクラッセ”と呼ばれた高性能スポーティセダン「1500(後の5シリーズ)」が大成功し、1966年に「1600-2(後の3シリーズ)」が登場。現在の3、5、7シリーズにつながる基本ラインナップが完成し、BMWの高級車ブランドが確立されたのだ。
1980年代に入り、1982年登場した2代目「3シリーズ」は、実用的な4ドアを追加して世界中で大ヒット。その後も、BMWはスポーティな高級セダンを次々と投入し、さらに2000年以降はSUVの「X5」、「X3」とプレミアムSUVでもその存在感をアピールしている。
“シルキーシックス“と呼ばれるBMWが誇る直6エンジン
航空機エンジンから始まったBMWは、伝統的にエンジンに強いこだわりを持っている。創業当初から今に至るまで、その滑らかな回転から“シルキーシックス”と称される直6エンジンをラインナップの中核に位置付け、衝突規制や搭載性の問題から、他社がコンパクトなV6エンジンに切り替えた際にも頑なに直6エンジンを採用し続けた。また、ターボを欧州の量産車で初めて採用したのもBMWだった。
一方で、2007年には水素自動車「Hydrogen7」を市販化し、2010年以降は欧州車の中でEVやPHEVの電動車をもっとも積極的に展開し、先進パワートレインでも業界をリードしているのだ。
高級感とスポーティさを合わせ持つ伝統的なデザインとアウトバーンで鍛えられた走行性能がBMWの人気の理由だが、特にこの10年の間に街中でBMWをよく見かけるようになった。高級国産車でなく、いつかはBMWに乗ってみたいという人が多いようだ。
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