104年前の今日、「スズキ」が誕生。織機製造から、2輪&4輪メーカーへと成長【今日は何の日?3月15日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月15日は、軽自動車界のトップの座に君臨するスズキの前身である鈴木式織株式会社が創業した日だ。始まりはトヨタと同じ織機製造だが、トヨタが普通乗用車製造、スズキは軽自動車製造と異なる道を選んだのだ。

スズキの源流は、1920年に創業した鈴木式織機株式会社

スズキの起源は、1920(大正9)年3月15日に鈴木道雄氏が創業した鈴木式織機株式会社だ。同社は1930年代に入って織機事業から、将来性のある自動車事業に進出することを決断。2輪車に始まり、日本初の量産軽自動車「スズライト」を発売以降、数々の軽自動車や小型車のヒットモデルを投入して、現在は軽自動車のトップメーカーに君臨している。

織機メーカーから2輪車&4輪車メーカーへと成長した鈴木自動車

トヨタ自動車と同じく、織機メーカーを起源としているスズキ。鈴木式織機株式会社は織機事業で成功を収めるが、将来を見越して自動車事業への転進を計画。しかし、第二次世界大戦が始まることで軍需産業への協力を強いられ、計画はいったん中断を余儀なくされた。

1953年登場したヒットしたダイヤモンドフリー号

戦後になってスズキの自動車への挑戦は、まず2輪車から着手された。
1952年にエンジン補助自転車「パワーフリー号」、翌年には「ダイヤモンドフリー号」を発売し、ダイヤモンドフリーは6000台/月を販売する大ヒットを記録した。

この2輪車の成功を受け、1954年には社名を「鈴木自動車工業株式会社」と改め、本格的な自動車事業への参入を公に宣言。最初に手掛けたのが、翌1955年に発売した日本初の本格的な量産軽乗用車「スズライト」で、最高出力15.1PSを発生する360cc空冷2気筒2ストロークエンジンを、横置き搭載した日本初のFFレイアウトの歴史的なクルマだった。

1955年に登場した日本初の軽乗用車、日本初のFF車であるスズライト

スズキを飛躍させた3つのヒットモデル

スズライトの後も「フロンテ」などの軽のヒットモデルを投入したが、スズキを飛躍させたのは次の3モデルと言える。

・軽初となる本格4WDのジムニー(1970年~)
ジムニーは、頑強なラダーフレームにリジットアクスル、高低2速を備えたトランスファー、大径タイヤを装備し、軽の本格4WD車という新しいジャンルを開拓、現在も唯一無二の軽4WDとして絶大な人気を誇る。

・廉価なボンネットバンの市場を開拓したアルト(1979年~)
アルトは、物品税がかからず価格が安くできる商用車でありながら乗用車のようなスタイル“軽ボンネットバン”市場を開拓、47万円という低価格で発売とともに月販台数1.8万台を受注する空前の大ヒットを記録した。

・ハイトワゴンの市場を開拓したワゴンR(1993年~)
ワゴンRは、従来の軽自動車の常識を覆す車高の高さによって圧倒的な居住空間を持つ“ハイトワゴン”というジャンルを開拓、現在も軽の主流となっているハイトワゴンとスーパーハイトワゴンのパイオニアだ。

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1970年にデビューした軽の本格4WD「ジムニー」。現在も唯一無二の存在として人気を誇る。

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1979年にデビューした”ボンネットバン”「アルト」

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1993年にデビューした”ハイトワゴン”「ワゴンR」

以上の3つのモデルは、現在も進化しながら人気を誇っているが、その他にも「スペーシア」、「スイフト」、「ハスラー」などヒットモデルを投入している。

紆余曲折を経て現在はトヨタと資本提携

スズキは、1981年にGMと資本提携して以来、カルタスなど小型車の開発や米国進出のサポートなどで長く協力してきたが、2008年にGMの経営不振により提携関係を解消。その後、2009年にVWと資本提携を締結したものの成果なく2016年に提携を解消した。

VW提携の解消直後2016年10月にはトヨタと業務提携に向けた検討を開始し、電動化技術で先行するトヨタからスズキにハイブリッド(HV)システムを提供するほか、スズキが強みとするインド市場ではEVで協力するなど、連携を深めている。

そして、2019年8月には資本提携に関する合意書に締結。自動運転分野など今後の技術開発において、トヨタとの長期的な関係構築が必要との考えから資本提携まで踏み込んだのだ。

2013年にデビューした軽のクロスオーバーSUV「ハスラー」

CASE(コネクティッド技術、自動運転、シェア/サービス、電動化)の大きな波は、制約の多い軽自動車にも押し寄せている。トヨタとの提携の狙いは、その分野の強化にあり、一方でトヨタは小型車開発およびアジア(特にインド)市場でのスズキの強さとそのネットワークに期待しているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…