踏めば踏むほど曲がっていく〜!?  新型アウトランダーPHEVはサーキット走行が断然楽しかった!

10月28日に正式発表された三菱アウトランダーPHEV。それに先立って行われた試乗会で実車をドライブすることができたので、見て触って乗ってみた印象をお届けしたい。正直、こんなに走りが楽しいとは思いませんでした!
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新型アウトランダーPHEVはデザイン、質感、装備のすべてがレベルアップ

先代モデルと見比べると、新型は高級感も存在感も大幅にレベルアップしているのが一目瞭然。新型のボディサイズは全長4710mm×全幅1860mm×全高1740〜1745mmなので、先代よりも全長は15mm、全幅は60mm、全高は30〜35mmサイズアップしている。が、実車を前にすると、新型はそうしたスペックの差以上に堂々としているように見える。

三菱アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEVは全長4710mm×全幅1860mm×全高1745mm、ホイールベース2705mm。
三菱アウトランダーPHEV
先代は全長4695mm×全幅1800mm×全高1710mm、ホイールベース2670mm。

そう感じさせる理由の一つは、一新されたフロントデザインだ。フロントフードが高くて厚みのあるものになったおかげで、顔つきの迫力が倍増している。人間だと小顔の方がうれしいが、SUVの場合は顔がデカい方が力強くていい。そして上側にデイタイムライト、下側にヘッドライトを配置する「だまし絵」的ライトによって先進さも感じさせる。

エクリプスクロスのマイナーチェンジモデルでも同様の手法が見られるが、新型アウトランダーPHEVはニューモデルとして一からデザインされたこともあり、より完成度の高いフロントフェイスになっているような気がする。

三菱アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEVのフロントマスク。堂々とした存在感と先進感を両立している。
三菱アウトランダーPHEV
2015年のマイナーチェンジで「ダイナミック・シールド」を採用した先代。新型と比べると控えめな顔つき。

もう一つが20インチ・ホイールだ。先代は18インチだったので、なんと2インチアップである。人間も、上半身だけ一生懸命筋トレして下半身が貧弱だと「見せ筋」「チキンレッグ」などと揶揄される。新型アウトランダーPHEVは、上半身と下半身がバランス良く鍛え上げられた感がある。

三菱アウトランダーPHEV
水平基調のサイドボディの足元を20インチホイールが支える。2トーンカラーの採用も新型の特徴。
三菱アウトランダーPHEV
上の新型と比べると、18インチホイールが物足りなく見える先代。
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テールゲート上の六角形のエッジと横長のテールランプが新型のリヤビューのポイント。
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新型よりも腰高感が感じられる先代のリヤビュー。

ドアを開けて乗り込むと、エクステリア以上に新型の進化が感じられた。なにせ、先代が登場したのは2012年のこと(2012年の総理大臣は民主党の野田さんだった…懐かしい)。それ以降、世の中は急速にデジタル化が進んだこともあり、先代のインパネを見るとさすがに時代を感じさせられた。

新型のインパネは9年間の時の流れを感じさせるもの。ダッシュ中央上部には9インチのセンターディスプレイ、メーターには12.3インチのフル液晶ディスプレイを全車に標準装備。さらに最上級グレードにはヘッドアップディスプレイまで標準装備する。3つのディスプレイはいずれも見やすく、走行中でも素早く情報を確認することができた。

また、インパネやドアトリムには触感のいいソフトパッドを配置するほか、要所にステッチをあしらうなど上質感も大幅にレベルアップ。センターコンソールの加飾に本物のアルミを使っているというのも驚き。サドルタン(明るいブラウン)のアクセントカラーを採用する最上級グレードに至っては、「う〜ん、プレミアム」とつぶやきたくなるくらい良い雰囲気だ。

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新型は水平基調のインパネを採用。Aピラーとドアミラーの間の視界も向上しており、見晴らし良好だ。
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新型は12.3インチのフル液晶メーターを採用。
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センターコンソール上のリアルアルミが目を引く。電気式シフトレバーの手前は、7つの走行モードの切り替え用ダイヤル。
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先代のインパネ。
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先代は左右にアナログメーター、中央に4.2インチディスプレイを配置。
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先代のシフトレバーも電気式。ジョイスティックのようなユニークな形状。

新型アウトランダーPHEVは、3列シート・7人仕様がラインナップに加わったこともトピックだ。実際に身長180cmの編集長が3列目に座ってみると、ご覧の通り。頭上スペースも膝前スペースも余裕はない。が、そもそも3列目に180cmの人間が座ろうというのが間違いでした。シートには1ヶ所に体重が集中しないようクッション内にお尻型のサポート材を設定するなど快適性への配慮もあり、背が低い子どもや女性なら長時間のドライブでも無理なく過ごせそうだ。

三菱アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEVの1列目シート。最上級グレードはセミアリニンレザーのシート表皮が標準となる。
三菱アウトランダーPHEV
新型は2列目シートも快適。背もたれの高さが増えたことで、肩口までしっかりと支えてくれる。
三菱アウトランダーPHEV
3列目シートは180cmの人間が座るとご覧の通り。ちょっと無理がある。
三菱アウトランダーPHEV
先代の上級グレードのシートは、センター部にスエード調の生地を採用していた。
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こちらは先代の2列目シート。新型のほうがサポート性がいかにもよさそうだ。

踏めば踏むほど曲がっていく!? 俊敏コーナリングが誰でも楽しめる

前置きが長くなったが、いよいよ新型アウトランダーPHEVの試乗スタート。まず印象的なのは、ツインモーター4WDらしい力強い加速だ。エンジンのようにだんだんと盛り上がっていくのではなく、カタパルト発進のように鋭くダッシュする。新型はフロントモーターが60kWから85kWに、リヤモーターが70kWから100kWへとそれぞれ出力が向上したこともあり、先代よりも加速性能は大幅に向上した。

三菱アウトランダーPHEV
新型のエンジンルーム。
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先代のエンジンルーム。
三菱アウトランダーPHEV
新旧のパワートレーンのスペックの比較。新型はモーター、バッテリーの出力が向上している。

そんなパワー感以上に印象的だったのが、ハンドリングだ。コーナーで調子に乗ってアクセルを踏んでいくと、普通はどんどん外側に膨らんでいくものだ。車重が重く、重心も高いSUVならその傾向はますます強くなる。それなのに新型アウトランダーPHEVときたら、踏めば踏むほどグイグイと曲がっていくではないか。自分のような下手っぴなドライバーでも、まるで運転が上手くなったかのようにスムーズにコーナーをクリアできる。これは楽しいぞ!

三菱アウトランダーPHEV
堂々とした見た目なのに、サーキットでは俊敏なフットワークを披露した新型。車重が2トンもあるのに!

新型のご機嫌なコーナリングの源となっているのは、日産・ルノーと共同開発した新プラットフォームの剛性の高さ、一新されたサスペンション、そして三菱の伝家の宝刀「スーパーオールホイールコントロール(S-AWC)」だ。

S-AWCは、ハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などをセンサーで検知して、四輪を細かく制御する。新型アウトランダーPHEVでは前輪だけでなく後輪でもブレーキ制御されるようになり、滑りやすい路面でより安定して走れるようになったという。

もう一つ、コーナーが楽しい要因として挙げたいのがステアリングフィールだ。新型は2ピニオン式のパワーステアリングを採用する。アシストモーターをステアリング軸から離れた位置に搭載することで、センサーが操舵トルクをより正確に検知できるのがメリットだ。ロック・トゥ・ロックが先代の3.3回転から2.6回転へとクイック化されたこともあり、リニアな操舵感が実に気持ち良い。

三菱アウトランダーPHEV
滑らかなステアリングフィールも新型のいいところ。

ブレーキもゴリゴリ効いて頼もしい。新型は20インチの大径ホイールを履くおかげで、ブレーキディスクの大型化を実現。フロントφ350mm(先代はφ296mm)、リヤφ330mm(同302mm)となり、制動力がアップした。回生協調ブレーキにありがちな不自然さがないのも美点である。

今回試乗を行ったのはサーキット。SUVを試乗するには不向きな場所だと最初は思ったけれど、じつは新型アウトランダーPHEVの進化した走りを堪能するには最適だったというわけ。堂々たる存在感や室内の上質さ、優れた環境性能、そして走りの楽しさを兼ね備えた、まさに三菱のフラッグシップSUVと呼ぶにふさわしい1台である。

三菱アウトランダーPHEV P・主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
ホイールベース:2705mm
車両重量:2110kg
乗車定員:7名
最小回転半径:5.5m
燃料タンク容量:56L(無鉛レギュラー)
■エンジン
型式:4B12 MIVEC
形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:2359cc
ボア×ストローク:88.0×97.0mm
圧縮比:11.7
最高出力:98kW/5000rpm
最大トルク:195Nm/4300rpm
燃料供給方式:ECI-MULTI(電子制御燃料噴射)
■フロントモーター
型式:S91
定格出力:40kW
最高出力:85kW
最大トルク:255Nm
■リヤモーター
型式:YA1
定格出力:40kW
最高出力:100kW
最大トルク:195Nm
■動力用主電池
種類:リチウムイオン電池
総電圧:350V
総電力量:20kWh
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rマルチリンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:255/45R20
■燃費・性能
【ハイブリッド燃料消費率】
WLTCモード:16.2km/L
 市街地モード:17.3km/L
 郊外モード:15.4km/L
 高速道路モード:16.4km/L
EV走行換算距離(等価EVレンジ):83km
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ):85km
【交流電力量消費率】
WLTCモード:239Wh/km
 市街地モード:220Wh/km
 郊外モード:221Wh/km
 高速道路モード:262Wh/km
一充電消費電力量:19.90kWh/回
■価格
532万700円

著者プロフィール

長野 達郎 近影

長野 達郎

1975年生まれ。小学生の頃、兄が購入していた『カーグラフィック』誌の影響により、クルマへの興味が芽生…