ゲームチェンジャー!新型アウディQ6 e-tron登場。 PPEプラットフォーム採用で革新的な進歩を果たした

新型アウディQ6 e-tronクワトロ
アウディのミッドサイズSUVであるQ6 e-tronが正式デビューした。フルエレクトリックで、まったく新しいBEV用プラットフォームであるPPE(Premium Platform Electric)を使うモデルとなる。新世代アウディ、Q6 e-tronは、まずはクワトロ(前後モーターによるAWD)からリリースされ、追ってRWDモデルも追加される見込みだ。日本導入は2025年になる。

アウディ期待のSUV、Q6 e-tronはPPEプラットフォームを使う

Audi Q6 e-tron quattro
Audi Q6 e-tron quattro ボディカラーはプラズマブルーメタリック

BEV100%を目指すアウディは、現在、e-tron GTとQ4 e-tron、Q8 e-tronというBEVラインアップを持つ。

プラットフォームでいうと
e-tron GT:J1 Performance Platform
Q8 e-tron:MLB evo Platform
Q4 e-tron:MEB Platform

ということになる。

今回新登場するQ6 e-tronは、コンパクトSUVのQ4 e-tronとラージSUVのQ8 e-tronの間を埋める役割を担う。アウディにとっても重要なモデルである。また、アウディ本社のあるインゴルシュタット工場が製造する初めてのフルBEVでもある。新しいデザイン言語によるデザイン(refined e-tron design language)によるエクステリア/インテリアデザインにも注目だ。

まずはQ6 e-tron quattroとハイパフォーマンスモデルのS6 e-tron quattroが3月から欧州で受注開始。価格は74,700~93,800ユーロ(1ユーロ=162円換算で約1210万円~約1520万円)。日本導入は2025年になる模様だ。

プラットフォームは、ポルシェの新型マカンと同じPPE(Premium Platform Electric)を使う。800Vシステムを採用。
PPEはアウディとポルシェが共同開発したBEV専用プラットフォームだ。ミッドサイズ用プラットフォームで、今後A6もこのPPEで登場するはずだ。

PPE(Premium Platform Electric)は、ポルシェの新型マカンも使うまったく新しい電動車用のプラットフォームである。

アウディはこの新世代BEVの技術を「Audi Q6 e-tron Experience: TechDay PPE/E3 & Sneak Preview」で披露した。

個々の技術(バッテリーやパワーエレクトロニクス、デザイン、インフォメインメントなど、興味深い技術が目白押しだった)については、また稿をあらためてお伝えするとして、まずは、Q6 e-tronの概要をお伝えしよう。

アウディQ6 e-tronクワトロ 全長×全幅×全高:4771mm×1939mm×1648mm ホイールベース:2899mm
フロントヘッドライトも新世代に進化している
リヤのランプもまったく新しい

まずはボディサイズ。
Q6 e-tron quattro
全長×全幅×全高:4771mm×1939mm×1648mm ホイールベース:2899mmである。

Q4 e-tron
全長×全幅×全高:4590mm×1865mm×1630mm ホイールベース:2765mm

Q8 e-tron
全長×全幅×全高:4915mm×1935mm×1635mm ホイールベース:2930mm

だから、その中間のサイズとなる。日本の路上でも使いやすくなおかつ充分な居住性が確保できるボディサイズとなる。

バッテリーの製造はドイツ・インゴルシュタット工場。セルの供給はCATLだ。15セル直結×12モジュール構成(3×4列)で出力は270kWだ。

搭載するバッテリー(もちろんリチウムイオン電池だ。セルの供給元は当初はCATL。いずれマルチサプライヤー戦略なので別のサプライヤーからも供給を受けるはず)は

100kWh(ネット94.9kWh)でWLTP航続距離は625km
83kWh版も設定される。バッテリー出力は270kWだ。

駆動方式はもちろん、クワトロ(AWD)である。

Q6 e-tron quattroのシステム出力は285kW(392ps)
SQ6 e-tron quattroのシステム出力は380kW(385ps)
となる。

最高速度は210km/h(SQ6 e-tronは230km/h)
0-100km/h加速は5.9秒(SQ6 e-tronは4.3秒)
だ。

リヤモーターはPSM(永久磁石同期モーター)を使う。これも新開発で、生産はハンガリー工場。
フロントモーターはASM(非同期モーター)を搭載する。

搭載するモーターはリヤがPSM(永久磁石同期モーター)、フロントがASM(非同期モーター)となる。モーターはアウディのハンガリー・ジェール(Gyor)工場で生産される。新開発のモーターは出力・NVH性能も含めて大きく進化している。

Q6 e-tronの電動システムは、800Vシステムを使う。これにより充電性能が格段にアップ。SOC10%→80%充電はわずか21分でこなす。

充電性能の大幅進化もQ6 e-tronの特長。左リヤ側にDC270kW/AC11kWの充電口を備える。右リヤには11kWのAC充電口がある。
インテリアもQ6から新しくなる。

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E³ 1.2 電子アーキテクチャー

ワークショップで展示されたもの。

Q6 e-tronは、新開発の電子アーキテクチャー(electronic architecture)を採用する。「E³ 1.2 」だ。このE³ 1.2 は、Q6 e-tronが初採用になるend to end architectureで、5つのHCP(High-Performance Computing Platform)がそれぞれの領域を制御する新しいEアーキテクチャーだ。

HCP1:駆動システムとサスペンション
HCP2:ドライバー支援システム
HCP3:インフォメインメント
HCP4:ライト、AC、シート調整など快適機能
HCP5:ドメイン間のネットワーク、車両と外部のデジタル世界への接続
を担う。

ネットワークにはギガビットEthernetを使い、もちろんOTA(Over The Air)にも対応する。すべてが一新された新世代アウディ、それがQ6 e-tronだ。格段に進化してBEVとして日本導入が待ち遠しい。

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…