GRカローラを選んだ理由は?
今回、縁があり「GRカローラ」が愛車になった。過去に「インプレッサS203」や「ランエボⅥ」に乗っていたこともあり、「GRヤリス」に続いて2022年4月1日に初披露されたGRカローラには興味津々であった。
でも、いわゆる“カルト的スポーツカー”が好きだから選んできたのではない。メーカー各社が技術の粋を集めて開発した上限2.0Lのハイパワーターボエンジンと、独自の哲学に基づいた4輪駆動システムの性能を納得するまで味わってみたかった、これが最大の理由である。トヨタ「セリカGT-FOUR」にも強く惹かれたが、当時の経済状況では手に入れることができなかった……。
今回、満を持してGRカローラを迎え入れたことで、SUBARU、三菱、そしてトヨタとWRCで大活躍したブランド直系モデルを相棒にする幸運に恵まれた。さらにこれらの理由に加え、GRカローラでは最新の運転支援技術との組み合わせにも注目していた。
2014年11月26日、トヨタ自動車は複数の運転支援技術を組み合わせた予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense CおよびP」を発表。普及を目指した価格帯で2015年4月1日に発売された「カローラ」に「Toyota Safety Sense C」として初めて実装された。その後、搭載センサーを統合するなどしながら普及を図りつつ、名称を「Toyota Safety Sense」に一本化。さらに、解析技術の向上により対応シーンや制御機能が拡充し、第2、第3世代へと進化した。
GRカローラは生粋のスポーツモデルだ。3ペダルの6速マニュアルトランスミッション車でありながら、最新のToyota Safety Senseを搭載している。まさしく、スポーツカーと運転支援技術の組み合わせが成立しているわけだが、ここに最大の関心事があったのだ。
もっとも、2015年当時のカローラでも5速マニュアルトランスミッション車にToyota Safety Sense Cの搭載が可能だったが、いわゆる大衆車として親しまれてきた“乗用車カローラ”への搭載であり、スポーツカーとの組み合わせではなかった。
スポーツカーにこだわる理由のひとつが、身体にフィットした走りが楽しめることだ。サーキットでぶっ飛ばす醍醐味にハマり、実際、ライセンスを取得して何度も足を運んびレースにも参戦した。もっとも楽しさと引き換えに経済的負担が大きくなったが、得られた運転技術は得がたい財産になった。
しかし、所有している時間の大半は公道での走行に費やす。そこでは身体にフィットする走行特性が、サーキットでのダイナミックな走りとは違った「安全な運転環境」という異なる恩恵を与えてくれる。
具体的にはドライバーが危険を感じた際、無意識に行なっている運転操作を正確にクルマが捉え、回避動作に結びつけるという発想だ。言い換えれば、事故を遠ざけて安全な運転環境を引き寄せてくれるのが、公道におけるスポーツカーのありがたみのひとつであると考えている。
実際、過去に所有したインプやランエボではその制動性能を活かし、難なく危険を回避することができたし、雨天や雪道など滑りやすい路面ではドキドキせず安全に目的地まで辿り着けた。
とはいえ、GRブランドのスポーツカーと運転支援技術の組み合わせであればGRヤリスが先輩だ。しかし、実用車としての使い勝手も求めていたことからGRヤリスは見送っていた。GRスープラでもMT&運転支援技術の条件は揃うが、うんと高価だし、そもそも運転支援技術はBMWの手によるもの。私はあくまでToyota Safety Senseにこだわりたかった。
そこにGRカローラが発表された。「なんとか手に入れて使い倒そう!」と即決したのは言うまでもない。とはいえ、簡単には購入できそうもないことが判明したのだ。(第二話につづく)