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個性的な表情で姉妹車と差別化 高速走行の直進安定性が良好
ミニバンは国産車に多く設定され、輸入車は少ない。後者の貴重な選択肢のひとつがシトロエン・ベルランゴだ。今のシトロエンはステランティスに属するため、ベルランゴの姉妹車として、プジョー・リフターとフィアット・ドブロもある。基本部分を共通化しながら、ブランドに応じて個性化されている。
エクステリア
外観を見るとボンネットは短く、全高は1800㎜を上回り、後席側のドアはスライド式だ。フロントマスクのデザインは、シトロエンの個性が濃厚で、姉妹車のリフターやドブロとは表情が大きく異なる。注目度の高い3列シートのロングは、全長が4770㎜と長く、全幅も1850㎜とワイドだ。最小回転半径も5.8mで少し大回りになる。車内に入ると、インパネの周辺はシンプルなデザインだ。ATはダイヤル式のスイッチで切り替える。シートの座り心地は、ほかのシトロエンと基本的に同じだ。1列目は腰の近辺をしっかりと支えて、長距離移動するときでも疲れにくい。2列目は、3名分にキッチリと区分され、2名で座ると中央が空席になるが3名で座るときは快適だ。2列目のシートに、リクライニングやスライド機能は装着されないが、着座姿勢はちょうど良い。
乗降性
2列目
3列目は床と座面の間隔が不足気味で、座ると膝が持ち上がるが、座面は適度に柔軟で座り心地に不満はない。身長170㎝の大人6名が乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間は握りコブシふたつ分で、3列目にもひとつ半の余裕がある。外観はワゴン風だが、多人数で乗車しても快適。2/3列目の背もたれを前側に倒すと、平らな広い荷室に変更できる。収納設備は国産ミニバンに比べて少ないが荷室は使いやすい。
インストルメントパネル
クリーンディーゼルターボは、排気量が1.5ℓだから突出して力強い印象はないが、実用回転域で3.0ℓのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を発揮する。1400rpm付近からターボの過給効果が感じられ、4000rpmを超える領域まで滑らかに吹け上がる。エンジンノイズも小さく、ガソリンエンジンに近い感覚で運転できる。その一方でWLTCWモード燃費は18.1㎞/ℓだ。軽油の価格はレギュラーガソリンよりも1ℓあたり約20円安いため、燃料代はセレナe-POWERと同程度。ディーゼルエンジンを搭載する国産ミニバンは、デリカD:5とグランエースだけだから、ベルランゴは数少ない選択肢だ。
居住性
カーブを曲がるときはボディが少し大きく傾くが、挙動の変化は穏やかに進む。しかもロングボディはホイールベースが2975㎜と長いこともあり、高速道路で横風にあおられたときの直進安定性も良い。乗り心地は街なかでは少し硬いが、速度が70㎞/h以上に高まると快適になる。
うれしい装備
月間販売台数 NO DATA 現行型発表 19年10月(「LONG」系追加 23年1月) WLTCモード燃費 18.1 ㎞/ℓ
ラゲッジルーム
このあたりは日常的に高速走行の機会が多い欧州メーカーのミニバンであることを実感させる。3名分に分かれた2列目シートなども含めて、国産車とは違う価値観が新鮮だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。