絶妙なサイズ感と快適性が魅力の人気のモデル「トヨタ・シエンタ」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA SIENTA】

3代目となりその人気はさらに盤石といえる「トヨタ・シエンタ」。ボディのプロテクションモールや全高を高め乗降性が向上などハード面でも大きくアップグレードし、納得のパッケージ。インテリアもシックで質感も上級車並みのセンスが満載だ。先進安全装備もきっちり揃え、誰もが安心できるファミリーカーの定番だ。
REPORT:青山尚暉(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:新 唯

小型ボディでも安心感は抜群 操縦安定性や乗り心地も良好

シエンタはこの3代目でプラットフォームをTNGA GA-Bに一新。扱いやすい5ナンバーサイズを維持し、ホイールベースは先代と同じながら、全高を先代比で20㎜(室内高も20㎜高い)高めたことで乗降性が向上。室内頭上空間のゆとりも増している。エクステリアはぶつけやすい前後バンパーの側面とボディサイドに黒い未塗装のプロテクションモールを大胆に配することでクロスオーバー感を強調。万が一、そこをぶつけても、パーツ交換だけで済むメリットまで生まれている。

エクステリア

「Z 」系はBi – Be amLED ヘッドランプとLEDライン発光テールランプを備え、他グレードとは違った見た目を実現。撮影車はオプションのアルミホイールを装着している。
最大のライバルであるホンダ・フリードと比べると、全長が5㎜短いだけで、全幅は同じ。それでも最小回転半径はフリードの5.2mに対してシエンタは5.0mと、驚くほどの小回り性能を備えている。全高はシエンタの方が低いため、縦横比の関係からぱっと見はシエンタの方がワイド(というか偏平)に見える。リヤゲートを開けたときの地上高も女性でも手が届きやすい。

インテリアは先代からすれば、一気に大人っぽく、上質になった。インパネ、ドア内張りの一部を布張りとして、質感の高いシート地と合わせ、かなりシックで上級感あるリビング感覚が演出されているのだ。パッケージングで特筆すべきは2列目席。先代より膝まわり空間が80㎜も増して足元広々。逆に、3列目席の膝まわり空間は減少。しかし3列目席を畳んで使うユーザーも多いことから、見識ある進化と受け取れる。また、先代同様、大容量ワゴンとも呼べる2列シート仕様も揃う。

乗降性

ノア/ヴォクシーなどとは違い、後席エアコン吹き出し口をもたないが、オプションで天井サーキュレーターを用意。2/3列目席にも快適な空調環境が与えられている。プラットフォーム、パワートレインはともにヤリス譲り。すなわち1.5ℓ3気筒エンジンを基本に、ニッケル水素電池を用いるハイブリッドではモーターを加えたシリーズパラレル式ハイブリッドとし、エンジン91㎰、12.2㎏m、モーター80㎰、14.4㎏mというスペックで、WLTCモード燃費最高28.8㎞/ℓを誇っている。

インストルメントパネル

「Z」系はファブリック巻きのインパネでカジュアルな空間を演出。一部を除き8インチディスプレイオーディオが標準装備で、写真の大画面10.5 インチ仕様は「Z 」系と「G 」系にオプション設定。

現行シエンタの真打ちとなるハイブリッドの最上級グレード「Z」の3列シートモデルに乗り込めば、まずは先代で違和感のあったドライビングポジションがグッと自然になったことがわかる。ただし、電子パーキングブレーキは依然未搭載で、足踏み式サイドブレーキのため、足元広々とは言えないのが残念。が、電制シフトを奢るハイブリッドのZグレードのみ、全車速対応のACCに渋滞時にうれしい停止保持機能が付く。高速走行の機会が多いならZグレードだろう。

居住性

走り出せば、もちろん出足はモーター走行。モータートルクによるスムーズで静かな加速感が気持ちいい。車重はガソリン車に対して70㎏重くなるものの、ドライブモードがノーマル以上なら、2〜4人乗車での加速力に不満はない。パワーステアリングは軽く扱いやすいのだが、乗り心地は先代までのフワリとしたタッチとは別物。TNGAらしいボディ剛性の高さを実感できるしっかり感と快適感を両立した乗り味になる。

うれしい装備

駐車をアシストするアドバンストパークを「ハイブリッドZ」にオプション設定。前進と後退の切り替え、アクセルとブレーキの操作も全自動だ。画面で駐車位置を決定する操作もわかりやすい。
月間販売台数    10875台(23年5月~10月平均値)
現行型発表     22年8月
WLTCモード燃費   28.8 ㎞/ℓ※「HYBRID X」の5人乗り/FF車

ラゲッジルーム

操縦安定性もなかなかで、カーブでの車体の傾きは意外にも最小限。四輪のタイヤが路面に張りつくような安定感・安心感あるコーナリングを披露し、カーブが苦手なドライバーでも安心だ。先進運転支援機能のセーフティセンスとともに標準装備される、先行車との接近時やカーブ手前で自動減速してくれるプロアクティブドライビングアシストの好制御と合わせ、運転の安心感が極めて高い一台となる。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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