幅広いライフスタイルに適したユーティリティ「ダイハツ・トール」【最新ミニバン 車種別解説 DAIHATSU THOR】

軽自動車のスーパーハイトワゴンの仕様をそのままに5ナンバーサイズのワイド版という存在の「ダイハツ・トール」。5ナンバーとしては小柄なボディだからこその取り回しと使い勝手の良さは抜群だ。インテリアもわかりやすいメーター配置やシートの移動なくできるウォークスルー機能など、運転ビギナーや年齢問わず幅広いライフステージに対応しているのは魅力。
REPORT:竹岡 圭(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:佐々木萌香

全高が高く余裕のある室内 多彩なシートアレンジも出色

立ち位置としては、軽スーパーハイトワゴンの5ナンバーサイズ版というところだが、もちろん5人乗れるという以外にもたくさんの魅力が詰まっている。現行モデルがデビューしたのは2016年。20年にマイナーチェンジが行なわれたり、その他の小変更などで、常に進化が図られている。中でも最新の運転支援&安全装備などは、きちんとブラッシュアップされているので、その点は安心してもらっていい。

エクステリア

カスタム系のグレードはフロントに大型バンパーやメッキのグリル、リヤにはメッキのドアガーニッシュや専用デザインのリヤランプを組み合わせて個性を主張。
トヨタブランドで販売しているルーミーは外観の一部デザインを除き設計を共用する兄弟車。室内の広さなど実用性に関してはまったく同じだ。一方でライバルであるスズキ・ソリオに比べると全長が短い分だけトールの方が車庫入れなどはしやすいが、後席を最後端までスライドした際の荷室の広さではソリオが勝る。どちらも一長一短なのだ。

さて、このクルマのいちばんの使いどころは、ボディのサイズ感。全長の短さと5ナンバーサイズの中でも控えめな全幅、高い全高が特長で、市街地等の狭いところでの取り回しはメチャクチャ便利。さらに、26インチの自転車が2台も積める等々、オールマイティ性も高いのだ。オマケに最小回転半径も4.6m(カスタムは4.7m)と、とにかく小回りも利く。そういったクルマなので、免許取り立て組に始まり、子育て組、子離れ組と、幅広いライフステージの方に使われることが想定され、運転席まわりはオーソドックスで、瞬間的に誰もがわかりやすいレイアウトが採用されている。つまり、とってもフレンドリーなのだ。そして、その優しさはユーティリティ性能にもあふれている。

乗降性

5ナンバーサイズだからできることとしては、前後席のウォークスルーが挙げられる。軽の場合、運転席か助手席をロングスライドさせないと実現できないが、トールはそのままでOK。雨の日などは、運転席からクルマの中を移動して、子どもが座る後部座席アクセスすることも可能と、とっても便利だ。しかも、室内高が1355㎜もあるので移動しやすいし、子どもを立たせたまま着替えさせることもできる。そしてさらなる美点は、シートアレンジにある。まず、後席は240㎜スライドが可能なので、いちばん後ろに下げれば大人が窮屈なく座れる。ちなみに、ゆったりとはいかないが、大人3名が乗り込める。

インストルメントパネ

ダッシュボード上面をできるだけフラットにして広い視界と開放感を得るために、メーターは低い位置に埋めたレイアウト。パーキングブレーキは電動もしくは足踏み式だ。

逆にシートスライドをいちばん前に出せば、後席のチャイルドシートに座らせた赤ちゃんにもラクに手が届くようになる。後席の背もたれは70度まで倒すことができるので、前後席をつなげてのほぼフルフラットに近いアレンジも可能だ。今度は荷室ベースで見ていくと、後席はダイブダウンでフラットに畳めるため、1540㎜までの長尺物を積むことができる。荷物の大きさによっては、後席を片側だけ倒して計3人の乗車も可能だ。

居住性

そして、荷室にはデッキボードが装着されている。もちろんそのままでも荷室を広く使えるのだが、このデッキボードを跳ね上げると、跳ね上げた面がワイパブル仕様になっているので、より高さのあるものを、汚れを気にせず積むことができる。例えば、ベビーカー等を載せるときに便利だ。

うれしい装備

ドリンクホルダー付きのシートバックテーブル(飛行機や新幹線のような折り畳み式テーブル)に加え、スライドドアの窓にはロール式シェードを備えるなど後席を快適にしてくれる装備が充実。
月間販売台数    695台(23年5月~10月平均値)
現行型発表     16年11月(マイナーチェンジ 20年9月)
WLTCモード燃費   18.4 ㎞/ℓ ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

さらに、このデッキボードは反転させることができ、ビルトインで引き出し式の防汚シートが内蔵されているので、自転車を積むときなども汚れを気にせず使えると至れり尽くせり。使い方を考えるのも楽しいと思う。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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