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■超低床のキャブオーバー商用/乗用車として一世を風靡したボンゴ
1966年(昭和41)年5月9日、マツダ(当時は、東洋工業)は超低床の「ボンゴ」シリーズを発売。キャブオーバーのRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトのボンゴシリーズは、トラックとワンボックス商用バン、8人乗りの乗用ワゴンの3モデルを設定し、その利便性の高さから大ヒットした。
●ワンボックスカーのパイオニアとなった乗用コーチ
ボンゴシリーズは、超低床のRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトで、商用のトラックとワンボックス型バン、乗用ワゴン「コーチ」の3つのモデルが設定された。コーチは、バンのボディに3列シートを搭載した8人乗りのワンボックスで、大人の膝程度の高さの超低床が特徴だった。
パワートレインは、最高出力37psのファミリア用アルミ製800cc(その後1.0Lに拡大)直4 OHVエンジンと4速フロア式MTの組み合わせ。エンジンは、最高出力を下げ低中速トルクを上げるチューニングとしたため、実用域で力強い走りができた。
ボンゴシリーズは、利便性の高さから人気を獲得したが、特に超低床の多目的車として登場したコーチは大ヒット! ワンボックスカーのパイオニアとなった。その後、同様のコンセプトのトヨタ「ミニエース(1967年~)」や三菱自動車「デリカ(1968年~)」が登場したが、コーチはそれらの草分け的存在になったのだ。
●2代目はさらに進化してマツダの中核モデルに
初めてのモデルチェンジを迎えた2代目ボンゴシリーズは、1977年にトラック、1978年にワンボックスの商用マルチバンと乗用マルチワゴンの、初代同様3モデルが設定された。ワゴンは、スタイリッシュなワンボックスタイプとなり、小型ダブルタイヤと低床荷室にフルフラットシートが装備された。
エンジンは、最高出力77PSの1.3L/82PSの1.6L直4 OHV、ワゴンには95psの1.8L直4 OHVを搭載し、初代にも増して力強い走りを実現。駆動方式は、初代のRRから前席下にエンジンを置いたFR方式に一新され、静粛性が向上した。
その後も様々な改良を加えながら、初代と2代目ボンゴは1970年代に堅調な販売を続け、1980年に大ヒットした5代目「ファミリア」が登場するまで、マツダの屋台骨を支えたのだ。
●マツダは商用車の自社生産から撤退、ボンゴはOEM車に
ボンゴシリーズは、その後3代目、4代目とやや販売は落ちたものの堅調な販売を付け、2020年まで生産された。
しかし、マツダは1998年の軽自動車や2018年の自社生産撤退に続いて、商用車についても自社生産から完全撤退し、開発リソースを乗用車とSUVに集中することを決断。2020年から、商用車ボンゴバン、ボンゴトラックをダイハツからのOEM供給による新型車に切り替えた。
ボンゴは、トヨタの「タウンエースバン」や日産自動車「NV200バネット」などと同クラスの長寿商用バンだが、自社生産撤退により実質的には54年の歴史の幕を下ろしたことになった。
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かつては、ワンボックスの代名詞とも言われたボンゴだが、競争の激しい商用車のなかで徐々に台数を減らした。“選択と集中”をしなければ生き残れない、リソースが限られたマツダのような中堅メーカーにとっては、OEM対応も致し方ないのだ。
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