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前後の駆動力配分が自在なEVならではの爽快な走り
レクサスはトヨタの上級ブランドで、海外市場でも積極的に販売されるため、SUVも豊富に揃えている。日本国内で売られるレクサスの約半数がSUVだ。その中でRZは、SUVであり、なおかつレクサスでは最初のエンジンを搭載しない純粋な電気自動車でもある。プラットフォームなどは、基本的にはホイールベースの数値も含めてトヨタブランドのbZ4Xと共通だが、相違点が多く注目ポイントも豊富だ。
エクステリア
RZのボディサイズは、全長が4805㎜、全幅は1895㎜と大柄で、bZ4Xに比べると115㎜長く35㎜ワイドだ。フロントマスクはスピンドルグリルを発展させた形状で、独特の迫力が伴う。ボディサイドは、空気抵抗を軽減させながら、走行安定性を向上するダイナミックな形状となっている。内装はインパネからドアパネルに掛けて、ドライバーを包み込むようなデザインだ。運転席に座ると正面に備わるTFT液晶式メーターとカラーヘッドアップディスプレイが目に入る。その左側には大きな14インチのタッチディスプレイオーディオが装着される。インパネの上面などには柔らかいパッドも使われ、装飾類もレクサスらしく上質だ。
乗降性
運転姿勢はというと、座面と床の間隔が少なめのため、手足を少し伸ばす感じになる。床下に駆動用リチウムイオン電池を搭載するため、床が少し持ち上げられているからだ。後席も同様だが、足元空間が広いため窮屈には感じない。身長170㎝の大人が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握り拳3つが入り、ハリアーなどを上回る余裕がある。リヤゲートを寝かせたため、荷室高はあまり高くないが、荷室床面積は広い。また、リヤゲートのヒンジが前寄りに装着されているため開閉時に後方へ張り出しにくく、狭い場所でも荷物を出し入れしやすいのはメリットだ。
インストルメントパネル
パワーユニットは2種類を用意する。2023年3月の発売時は、前後にモーターを搭載する4WDの「RZ450e」のみだったが、同年11月には改良を実施するとともに、前輪駆動の「RZ300e」も追加した。フロントモーターのスペックは共通で、最高出力は203.9㎰、最大トルクは266Nmを発揮。モーターは瞬発力も高いから動力性能に不足はない。それが「RZ450e」になると、109㎰/169Nmのリヤモーターも加わる。動力性能が一層高まり、前後のモーターの駆動力も電子制御で自由自在に調節可能。前輪に40%、後輪には60%といった駆動力も設定できるので、車両の挙動を積極的に安定させられるのだ。
居住性
アクセルペダルを深く踏み込んだ際、駆動力が唐突に高まる設定にはしていないが、電気自動車らしく加速感は滑らかで力強い。直線的に速度は高まっていく。特に4WD車で峠道を走ると、車両の進行方向が適度な機敏さで変わり、曲がりながら速度を高めても旋回軌跡が拡大しにくい。乗り心地も快適だ。「RZ450e」は20インチタイヤを装着しながら硬さや粗さをほとんど意識させない。
うれしい装備
新規デビュー 23年3月30日 月間販売台数 167台(23年6月~11月平均) WLTCモード燃費 599km ※RZ300e
ラゲッジルーム
快適性はbZ4Xよりも優れている。エンジンを搭載せずにモーターだけで走る電気自動車においても、レクサスならではの走りの上質さが存分に感じられるというわけだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。