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家電メーカーが作ったタイカンそっくりBEV
ご存知のとおり、シャオミは2010年創立の中国の総合家電メーカーだ。主力商品はスマートフォンである。
2021年に自動車業界への参入を発表。今春、ついにその最初のモデルであるSU7を発表した。高性能を予感させるデザインと低価格(21万5900元=約460万円)で話題をさらった。ポルシェ似のデザインもSNSで話題となっていた。「ポルシェみたいなデザインと性能が約4分の1の値段で手に入る」とあって、発表直後から大人気を博してモーターショー開幕前の段階で7万5723台を受注した。
ラインアップは以下の3グレード構成だ。
ベースグレード(RWD):400Vシステム バッテリー容量73.6kWh(BYD製LFP) 航続距離(CLTCモード)700km、モーター295kW/400Nm 価格約460万円
Pro(RWD):800Vシステム バッテリー容量94.3kWh(CATL製) 航続距離(CLTCモード)830km、モーター295kW/400Nm 価格約524万円
Max(AWD):800Vシステム バッテリー容量101kWh(CATL製) 航続距離(CLTCモード)810km、モーター495kW/838Nm 価格約639万円
Xiaomi SU7 MAX AWD Specifications 全長×全幅×全高:4997mm×1963mm×1455mm ホイールベース:3000mm モーター出力:495kW/838Nm バッテリー容量:101kWh(Li-NMC) 871V SiCプラットフォーム 航続距離:810km 最高速度:265km/h 価格:299900RMB(1RMB=21円換算で約630万円)
シャオミのギガキャスト
ボディ後半はギガキャストを採用、パワー半導体はSiC、CD値は0.195、XiaomiOS(スマホ)との連携……まずは、ベースグレードとProからのデリバリーとなるようだが、投入されたテクノロジーを考えると、どう考えても割安だ。それもそのはずで、テスラModel3よりも3万元も安いこの販売価格で利益は出ない。一説では、SU7を売れば売るほど赤字が出るという。現在、年産15万台の能力を持つ工場を30万台へと増強する計画を持つシャオミは出血覚悟で数年後に自動車業界でのポジションを獲りに来ている。闘いはなかなかに壮絶だ。
シャオミSU7のリヤは、アルミ一体鋳造成形した部材が使われている。いわゆる「ギガキャスト(あるいはメガキャスト)」である。
シャオミによれば、自社開発した「Xiaomi Hyper Die-Casting T9100クラスター」で実現するギガキャストは、中国メーカーで唯一大型ダイカストと材料を同時に自社開発したものだという。Xiaomi Titans Metalを9100トンでプレスし、従来なら72個の部品を1部品に統合。溶接箇所を840箇所減らし、車両重量を17%削減する。また、生産時間を45%短縮するという。耐久性は200万km以上。
ギガキャストの課題であるリペアビリティについては、どう克服したのかいまのところ不明だ。シャオミだけでなく、ZEEKR(吉利汽車ジーリー傘下の高級BEVブランド)などもギガキャストを採用していた。
ブースには、V6(ベースグレード用)220kW/400Nm、V6s(Pro用)275kW/500Nm、V8s(MAX用)425kW/600Nmの3つのモーター(自社開発のHyperEngine)を展示していた。V8sは2025年に市場投入予定。双方向フルオイル冷却技術、S字型オイル回路設計、千鳥配置のケイ素鋼板積層設計などの革新的技術を採用しているという。さらにはカーボンスリーブローターを採用する3万5000 rpmのモーターも研究開発中だという。
闘いはなかなかに壮絶だ。