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■ライトウエイトスポーツの原点回帰を果たしたND型ロードスター
2015(平成27)年5月21日、マツダから4代目「ND型ロードスター」がデビューした。1989年に誕生した初代NA型ロードスターは、ライトウェイトスポーツ旋風を巻き起こして大ヒット。その後、衝突安全対応で大きくなった3代目NC型に続いた4代目ND型は、本来のライトウェイトスポーツへの原点回帰を果たした。
●人馬一体を具現化した初代NA型の誕生
初代NA型ロードスター「ユーノスロードスター」がデビューしたのは、1989年のこと。“ユーノス”は、同年に新設された高級車などのスペシャルティカーを扱うマツダの販売チャンネルの名称である。
NA型は、現在もマツダで継承されている開発コンセプト“人馬一体”をベースに開発された最初のクルマであり、目指したのはスポーツカーらしい俊敏な走りを実現する軽量コンパクトな“ライトウェイトスポーツ”。エクステリアとインテリアのデザインは、能面をモチーフにした和のテイストを生かし新時代のスポーツカーであることをアピールした。
パワートレインは、最高出力120psを発揮する1.6L直4 DOHCエンジンを縦置きにしたフロントミッドシップFR。重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分により、レスポンスに優れたハンドリング性能と操縦安定性を実現した。
標準グレードが170万円(5速MT)と安価な価格設定もあり、たちまち世界中にロードスター旋風を巻き起こし、翌年1990年の販売台数は2万5000台を超える大ヒットとなった。
●キープコンセプトで正常進化した2代目NB型
1998年に初めてのモデルチェンジで2代目NB型へと移行。ユーノスブランドが終了したことから、ロードスターの単独ネームになった。
基本的には、NA型のキープコンセプトだが、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトに変更。パワートレインには、1.8L直4 DOHCと6速MTが追加された。最高出力は160psに、さらにターボエンジンの追加によって最高出力は172psまで向上した。
NB型も人気を獲得し、2000年には“2人乗り小型オープンスポーツカー”生産累計台数53万1890台が世界一として、ギネスブックにも認定された。
●新プラットフォームで3ナンバーとなった3代目NC型
2005年に登場した3代目NC型のスタイリングは、ロードスターらしさを継承しながら洗練されたオーバルフォルムを採用。最大の特徴は、新プラットフォームが採用され、5ナンバーから3ナンバーボディになったこと。
しかし、高張力鋼板やアルミ材を多用し車重増加は10kg程度に抑え、前後重量配分は従来通り50:50を実現。パワートレインは、排気量を1.8Lから2.0L直4 DOHCエンジンに、5速&6速MTおよび6速ATの3種が組み合わされた。
ボディは大きくなったものの、エンジンのパワーアップと軽量化により、ロードスターらしい走りは変わることなく、NC型も発売から1ヵ月で約1900台を受注し、引き続き好調な販売を継続した。
●原点回帰で100kgの軽量化に成功した4代目ND型
徐々に大きくなったロードスターだが、2015年に登場したND型の基本コンセプトは、“原点回帰”であり、本来のコンセプトであるライトウェイトスポーツを、先進技術「SKYACTIV」シリーズを適用し仕立てるというもの。
SKYACTIV技術の高効率直噴エンジン「SKYACTIV-G(1.5L直4 DOHC)」、小型軽量の新世代「SKYACTIV-MT」、高剛性と軽量化の「SKYACTIV-BODY」、操安性と乗り心地を高めた「SKYACTIV-CHASSI」などを採用。スタイリングは、マツダの新しいデザインテーマ“魂動”を基本に、低く短いフロントオーバーハングとコンパクトなキャビンによって躍動感が演出された。
従来通り前後重量配分50:50をキープしつつ、先代に対して全長を短縮し車両重量を100kg以上軽量化することで、より軽快で安定した走りを実現させた。車両価格は、249.5万/270万/303.5万円(6速MT)、280.8万/314.3万円(6速AT)で発売され、1ヵ月で5000台を超える好調な受注を記録した。
ロードスターは発売から39年を迎え、ギネス認定以降も2007年に累計80万台、2017年に100万台を超え、現在もギネス記録を更新中で、ライトウェイトスポーツとして唯一無二の存在となっている。
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次期5代目ロードスターの登場は、2025年~2026年頃と予想されており、電動化は避けられないであろう。電動化されたとしても、ライトウェイトスポーツのけん引役としてマツダが推進する“人馬一体の走り”は、追求し続けて欲しいものだ。
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