新世代レクサスのアイデンティティを表現「レクサスRX」【最新国産新型車 車種別解説 LEXUS RX】

22年11月、レクサスブランドの存在の体現とも言える「RX」がフルモデルチェンジ。進化とともに大型化されているが、ボディの大きさを感じさせない小回りのきく操作性は日本でもフィットする。新世代の方向性を示すエクステリアも魅力的だが、シートの座り心地を含めて、居住空間の快適性はラグジュアリーブランドの真骨頂と言える。
REPORT:河村康彦(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:新 唯

大型化されたボディと力強い加速感で魅了

日本ではまだレクサスのブランドが展開されていなかった1998年に、まずトヨタ・ブランドの「ハリアー」として販売をスタート。2003年デビューの2代目でも同名を語った後、09年登場の3代目以降はレクサスの「RX」と名を変えて現在に至るのが、今や世界でブランドきってのコアモデルと紹介できる売れ行きを誇るこのモデルだ。

エクステリア

撮影車は「version L」のためリヤバンパーにアンダーガード的なデザイン処理が施されているが、「F SPORT 」系はオンロード志向のスタイリングとなる。両者はアルミホイールの意匠もまったく異なる。最小回転半径は5.5〜5.9m。

最大マーケットである北米での販売に軸足を置くために世代交代のたびに大型化を繰り返したこともあり、13年には日本のマーケットに照準を合わせて新規開発されたトヨタ・ブランドのハリアーが再登場。以降、日本のRXはハリアーとは別モデルとして展開されている。ここに紹介する最新型は22年末の登場。初代から数えると五世代目となるが、前述のような経緯で日本では3代目のRXとなる。こうして、コンパクトさを重視する日本の一部ユーザーへの配慮から解放されたこともあり、最新モデルの2850㎜というホイールベースは従来型比でさらに60㎜の延長。全長は従来型と同等に収められたものの全幅は25㎜拡大され、1920㎜にまで成長を遂げた。

乗降性

一方、かくもサイズは大型化してもスタイリッシュなクロスオーバーSUVというRXならではの見た目の雰囲気は今回も踏襲。これまではブランドの象徴でもあった〝スピンドルグリル〞からメッキ枠が外され、塊感を強調する新採用された〝スピンドルボディ〞が、新世代レクサスのアイデンティティを表現しているという。

インストルメントパネル

情報表示と操作系をバランスよく配したコクピットは一体感を味わえるが、ノーズ位置など車両感覚は少々つかみづらい。インパネ中央の14インチ大画面はコネクティッド機能を備えるディスプレイオーディオ。

新型RXが日本きってのプレミアム・ブランドであるレクサスの作品であることを実感させるのが、クリーンでシンプルな造形ながら細部まで入念につくり込まれたインテリアの仕上がり。ドアオープン時のアンラッチ機構が一般的なメカ式から電気式へと置き換えられたことで、静かでスムーズなドアオープン動作が行なわれる点にも、日本の高級車ならではとい〝おもてなし感覚〞が表現されている。

居住性

テストドライブを行なったグレードは、ターボ付き2.4ℓエンジンと6速ATを用いたハイブリッド・システムを採用し、後輪も〝eアクスル〞によって駆動される4WDシャシーを備えるフラッグシップモデルの500h Fスポーツパフォーマンス。2.1tという重量級ではありながらも、その加速感はなるほど十分に納得のできる力強さが感じられた。21インチと見た目にも強い存在感を放つ大径のシューズはさすがに路面によってはやや重々しい印象を意識させられる場面もあるものの、基本的な乗り味は滑らかでフラット。フットワーク関係にさまざまな電子デバイスを備えることもあり、自在なハンドリング感覚を実現しながらも、その動作を意識させられることなくそれぞれが見事に〝黒子〞に徹していた点も好印象だ。

うれしい装備

このクラスでは当たり前といえるハンズフリー機能付き電動テールゲートは全車に標準装備となっている。停止位置メモリー機能も備える。
フルモデルチェンジ   22年11月18日 
月間販売台数       1956台(23年6月~11月平均)
WLTCモード燃費      20.2km/ℓ※「RX350h“version L”」のFF車

ラゲッジルーム

シリーズ中でこのモデルのみリヤステアリングを採用することで最小回転半径が5.5mに留まるのも、大柄ボディだからこそうれしく思えたポイント。見ても乗っても「さすがはレクサス」と納得のできる1台である。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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