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■250は大谷翔平! その意味とは?
「これはいいね。売れる人気車種だってわかる!」(清水)
300、70、そして250が登場したことで3種出揃ったクロカンを代表するトヨタ・ランドクルーザー。
300は高級感も兼ね備えるステーションワゴン(には私には見えないのだが…)。70はクロカンの使命を一番に実現できるハード派。そして250は「大谷翔平のような二刀流」という国際モータージャーナリスト・清水和夫さん。さてその真相とは? さっそくインプレッションを聞いてみよう。
【ランドクルーザー250/70 グレード別カンタン比較 [価格(税込)]】 250ZX=2.8Lディーゼル/7人乗り/本革シート/265/60R20タイヤ/7,350,000円 250VX=2.8Lディーゼル/7人乗り/本革シート/265/65R18タイヤ/6,300,000円 250VX=2.7Lガソリン/7人乗り/本革シート/245/70R18タイヤ/5,450,000円 250GX=2.8Lディーゼル/5人乗り/ファブリックシート/265/65R18タイヤ/5,200,000円 70AX=2.8Lディーゼル/5人乗り/合成皮革+ファブリックシート/265/70R16タイヤ/4,800,000円(※70は潔くグレードはAX1択!)
■さなげアドベンチャーフィールドで新型ランクル250に乗る
70と大きく違うのは、四駆システムがフルタイム四駆。センターデフのトルセンが付いてる時は4:6のトルク配分。今はセンターデフロック。トルコン8速ATだから乗用車感覚。70と同じ2.8Lターボディーゼルだが、全然ディーゼルエンジンの音、振動が車内に入ってこない。
70は初期の設計から40年。この40年の時間の流れというのは感じる。しかし、この250はランクルというか乗用車感覚で乗れる。
まず、ハンドルが70と全然違う。250は電動パワステなので。ロックtoロックも意外と少ない。ギヤ比が違うのだろう。油圧の70と違ってハンドルも軽いし、キックバックもそんなにない。だから乗用車っぽく走れちゃうし、こんな荒地なんか走れるの?っていう感じ。
タイヤが滑ってもトラクションコントロールでどんどん前に行く。普通、トラコンというと滑っちゃいけないからエンジンのスロットルは戻し気味だが、これはしっかりトルクを出して駆動力を確保するというような、オフロードならではのトラクションコントロールだ。
なんか大谷翔平の二刀流みたいだ。乗用車感覚と、コテコテのクロスカントリー四駆みたいな二面性を一台のクルマで持っているからだ。
だから変な話、今、災害とか大雨、ドカ雪が多いから、こういうクルマだったらどこでも避難できるし、水深も700mmまで保証されているからゲリラ豪雨でできた川渡りだってできる。
■最新システムも搭載、乗用車感覚の250最大のライバルはクラウンスポーツ!
このマルチインフォメーションディスプレイもいい。前輪の舵角やデフロックのオン/オフ、走行モードなどが表示され、カメラで見えないところをちゃんと映してくれる。
クラウンスポーツもいいかなぁと思ったけど、250に乗っちゃうと! コイツはクラウンスポーツの最大のライバルだ。まぁクラウンスポーツはオフロードに行くような感じじゃないから。フェラーリが出した四駆のSUV、プロサングエも気になるけど250も気にはなっていたしな。
70と比べえると乗り心地の違いがよくわかる。サスペンションストロークは250の方が長い。なおかつSDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)というフロントのスタビライザーが付いているので(ZXのみ)、外輪を引っ張り上げないようにしている。これはアクチュエーターで電気的に断切しているそうだ。
70はガツガツ登りましたけど、250はどうだろう? 8速だから1速のギヤは低いのか。
【250=Direct Shift-8AT(電子制御8速オートマチック)】 1速 4.413 2速 2.808 3速 1.950 4速 1.511 5速 1.274 6速 1.000 7速 0.793 8速 0.651 後退 3.645 減速比 3.583 副変速機 高/低 1.000/2.566 【70=6 Super ECT(フレックスロックアップ付スーパーインテリジェント6速オートマチック〉】 1速 3.600 2速 2.090 3速 1.488 4速 1.000 5速 0.687 6速 0.580 後退 3.732 減速比4.300 副変速機 高/低 1.000/2.488
あれ、なぜか70より楽に行っちゃう。それは、トラクションコントロールが緻密というのと、より走行モードを持っているからだ。
トルクが500Nmあるからいい。フルタイム四駆だから切り替えは要らないし。あまりにも楽。が、“やった感”や乗りこなす感じがあるのは、やっぱり70のほうだな。
【マルチテレインセレクト】 AUTO=モードを切り替えること無く路面や走行シーンに応じた悪路走行性を実現。 DIRT=未舗装路、段差路など、起伏、凹凸の激しい路面で仕様。 SAND=砂地、砂利道などの滑りやすい路面で使用。 MUD=泥濘(ぬかるみ)路で使用。 DEEP SNOW=雪が阻む路面で使用。 ROCK=岩場など岩石の多い路面で使用。 【ドライブモードセレクト】※作動条件 トランスファーギヤ位置:H4 ECO=空調制御とアクセル操作に対する駆動力を省エネ化、エコドライブをサポート。 NORMAL=各制御を標準状態に維持。通常走行に適した制御。 SPORT=エンジン、トランスミッションに加え、ステアリングを統合的に制御。スポーティな走りを実現させる。
■70の『乗ってる感』はやっぱ楽しいゾ!
ランクル70は基本設計が40年前、コテコテのフレームのパートタイム四駆だから、切り替えて走る時はロー/ハイスピードの四駆になる。
電子制御はVSC(Vehicle Stability Control/横滑り抑制機能)があるぐらい。でもそれは基本的にはオフ。
ヒルディセントもいいし、上りもトラクションコントロールが付いているため、ガンガン踏んでいっていい。四駆でフレーム構造で車高も高い。エンジンも2.8Lディーゼルターボだからトルクが500Nmある。もうこのディーゼルと四駆の組み合わせというのは、こういうオフロード走行には1番相性がいい。
ただ気になったのは、ステアリングが昔ながらのリサーキュレーティングボール式(Recirculating Ball)の油圧なので、ハンドルのロックtoロックは3.6回転ぐらいなのか。だから激しい岩場を行く時にハンドルをいっぱい回さなきゃいけない。それが結構大変。
しかし、そこが“乗ってる感”がある。暴れ馬に乗ってるような感じで、そこが楽しいっていえば楽しいんじゃないかなとも思う。それが、このクルマが伝統的に持っているものだ。
でも、近代的なクルマとしては横滑り防装置=VSCやトラクションコントロール、ヒルディセントなど、最低限の電子デバイスは持っている。そういう意味では、70は安心して乗れるのだが、まぁある程度テクニックがある人の方がいいと思う。
今まではマニュアルしかなかったが、今回から6速トルコンATになったので、普通の人やAT限定免許の人でも乗れるようにはなった。
■250はオン/オフロードの大谷翔平流二刀流!
LXもGXも全部この新しいプラットフォームだが、250は70に比べてサスペンションストロークがしなやかでストロークもあるので、こういうデコボコ道とかモーグルに行った時にもすごくしなやかに走れた。
乗り味で違うのは、同じエンジンだが250は遮音性が高いので、室内にディーゼルエンジンの音、振動があまり入ってこない、というところがイージードライブだ。
AT、250は8速になっていて、1速、2速のギヤ比が70よりも低いので、非常にトラクションもいい。
大谷翔平選手の二刀流みたいに、元々のクロスカントリー的なヘビーデューティなオフロード走行と、高速道路や一般道含め、走った時の普通の乗車ベースのSUV的なイージードライブも可能なので、そういう意味で二刀流なんだと思う。
まぁ250が売れるのも分かるし、いやいや、昔ながらの70がいいんだよ!っていう人はこっちを選択する。まぁかなり趣味性は高いと思うが。70と250ではそんな乗り味の違いがあったね。
【SPECIFICATIONS】 ■トヨタ ランドクルーザー“250”ZX 全長×全幅×全高:4925×1980×1935mm ホイールベース:2850mm トレッド(前/後):1665/1665mm 車両重量:2410kg 乗車定員:7名 最小回転半径:6.0m エンジン:1GD-FTV 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ 内径×行程:92.0×103.6mm 総排気量:2754cc エンジン最高出力:150kW(204ps)/3000-3400rpm エンジン最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-2800rpm 燃料タンク容量:80L(軽油) ミッション:Direct Shift-8AT(電子制御8速オートマチック) 駆動方式:4輪駆動(フルタイム4WD) 燃料消費率(WLTCモード):11.0km/L サスペンション(前/後):ダブルウイッシュボーン/トレーリングリンク ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ(前/後共):265/60R20 車両本体価格(税込):7,350,000円 ■トヨタ ランドクルーザー“70” 全長×全幅×全高:4890×1870×1920mm ホイールベース:2730mm トレッド(前/後):1555/1460mm 車両重量:2300kg 乗車定員:5名 最小回転半径:6.3m エンジン:1GD-FTV 4気筒DOHCディーゼル+ターボ 内径×行程:92.0×103.6mm 総排気量:2754cc エンジン最高出力:150kW(204ps)/3000-3400rpm エンジン最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-2800rpm 燃料タンク容量:130L(軽油) ミッション:6 Super ECT(6速オートマチック) 駆動方式:4輪駆動(パートタイム4WD) 燃料消費率(WLTCモード):10.1km/L サスペンション(前/後):車軸式コイルスプリング/車軸式半楕円リーフスプリング ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ(前/後共): 265/70R16 車両本体価格(税込):4,800,000円