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■ハイブリッド専用モデルとなった9代目アコード
2013年(平成25)年5月31日、ホンダの9代目「アコードハイブリッド」が発表(発売は6月21日)された。ホンダ初の本格ハイブリッド“SPORT HYBRID i-MMD”を採用して、上級セダンとして世界トップの低燃費30km/L(JC08モード)を達成したことで注目を集めた。
●グローバル化を目指して進化を続けてきたアコード
初代アコードは、「シビック」よりワンクラス上のアッパーミドルとして1976年にデビュー。初代から海外市場を意識し、1981年に登場した2代目は日系メーカーとして初の米国現地生産を始めた。
1985年の3代目は、FFとして世界初の4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用。1989年の4代目は、ボディが拡大され4WS(4輪操舵)やABSを装備。1993年の5代目は3ナンバー化しVTECエンジンを初搭載。1997年の6代目は従来のFFに4WDを追加。2002年の7代目では世界トップクラスの空力性能を誇った。2008年の8代目では、さらにボディが拡大され安全装備の充実が図られた。
以上のように、歴代アコードはホンダの先進技術が惜しみなく投入され、2000年を迎える頃には初期の大衆車から徐々に上質なモデルとして進化してきたのだ。
●9代目はハイブリッド専用モデルとなり燃費30km/Lを達成
8代目が2013年3月にいったん国内販売を終え、その3ヵ月後のこの日に再び9代目の国内販売が始まった。最大の特徴は、国内向けがハイブリッド専用モデルになったことだ。
採用されたハイブリッドは、ホンダ初の本格ハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」。それまでのホンダのハイブリッドは、1モーター式のマイルドハイブリッド「IMA」とDCTを使った「i-DCD」だったが、i-MMDは2L i-VTECエンジンに発電用と駆動用の2つのモーターを組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッドである。
これにより、ひと回り小さいプリウスに迫る驚異的な燃費30km/Lを達成し、上級セダントップの低燃費を実現。車両価格は、365万円(LX)/390万円(EX)に設定された。
セダンが低迷する中で燃費の良さをアピールしたアコードハイブリッドは順調なスタートを切ったが、その後はセダン不人気の煽りを受け、販売は右肩下がりとなってしまった。
●i-MMDの仕組みとメリット
ホンダのハイブリッドとしては、1モーター式の「IMA」や「i-DCD」があったが、現在は「i-MMD」に統一している。
「i-MMD」は、車両前部に駆動用モーターと発電機を組み込んだ 2モーター式であり、エンジンは基本的に発電機を駆動し、走行用モーターと電池に電力を供給する。市街地で電池残量が十分であれば、エンジンは停止して電池から電力を供給しEVモードで走行。高速走行時は走行用クラッチを接続してエンジンの駆動力で走行、加速時にはモーターがアシストしエンジン負荷を抑制するという方式である。
具体的には、運転状況に応じて3つの運転モード、「EVモード」、「ハイブリッドノード」、「エンジンドライブモード」を使い分ける。「i-MMD」は進化して、現在は「e:HEV」と名称を変更し、ホンダはこの方式をハイブリッドの本命として展開を進めている。
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ホンダは、トヨタの「THS」ハイブリッドシステムに対抗し、マイルドハイブリッドから始まり、様々なシステムを開発してきた。ホンダが1モーター式ではなく、2モーター式の「e:HEV」に一本化するのは、今後の電動化戦略をにらんだものである。「e:HEV」は、駆動力のほとんどをモーターから得るという点で、PHEVやEVに展開しやすいのだ。
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