愛車のメンテ、DIYできるのはどこまで? 初心者でもこなせる6つの作業とプロに任せるべきライン

クルマの調子を保つためにはメンテナンスが欠かせない。しかし、業者に依頼すると費用が高くつく。かと言って、自分で整備を行うには知識と技術が必要だ。自分で行うべき作業と、プロに任せるべき作業はどこで分ければよいのだろうか。

DIYメンテナンスが可能な範囲はどこまで?

各サイズのレンチやドライバーがあれば大抵の整備が可能だが、クルマには高価な専用工具がなければ整備できない箇所も多い。

DIYで行う作業とプロに依頼すべき作業の判断は、以下の4つに着目して決めるとよいだろう。

  • 専用工具の有無
  • 失敗したときの影響
  • ケガの危険度
  • 廃棄作業の手間

整備を行うには、必ず適切な工具が必要となる。数年に一度しか使わない工具に高い費用をかけるのであれば業者に依頼したほうが安上がりと言えるだろう。

失敗したときにクルマを壊すリスクも考慮しよう。とくにエンジンやブレーキなどの重要箇所ほど作業に失敗した際のダメージは大きいうえ、クルマを不調に陥らせてしまったことで他者を事故に巻き込む恐れもある。

また、整備とケガも切り離せない。重整備や練度が低い作業ほど大きなケガをしがちで、場合によっては命を失うこともある。クルマの整備を行うには安全知識も必要だ。

古いオイルは廃油処理を施したうえで可燃ゴミとして出せるが、対応は自治体によって異なる。

そのほか、整備作業には廃オイルや産業廃棄物などの処理も付随する。こういった作業は意外なほど面倒なため、整備作業ごとまとめて業者に依頼したほうが時間も手間も省ける。

なにより、確実に元に戻せることがDIY整備の最低条件だ。以上の点を踏まえたうえで、整備を楽しめる作業でなければ、無理をせずプロに任せたほうがよいだろう。

初心者でも自分でできる6つのメンテナンス一覧

メンテナンス頻度が高いうえ、誰でも無理なくDIYで行える代表的な整備作業は以下の6つが挙げられる。

  • 洗車
  • タイヤの空気圧・外観チェック
  • エアコンフィルターの清掃・交換
  • エアクリーナーの清掃・交換
  • 灯火類の電球交換
  • クルマ全体の日常点検

それぞれの作業の頻度や注意点などを解説していこう。

洗車も立派なメンテナンス! 点検を兼ねて月1回以上の手洗いがおすすめ

洗車の際はボディだけでなく、下回りなど普段は目に入らない場所もチェックしよう。

ボディに付着した汚れは塗装を劣化を早めさせる。それを防止する洗車も立派なメンテナンスと言えるだろう。洗車道具一式を揃えるのにもそれほど費用はかからないうえ、キズの早期発見と補修はサビの拡大防止にも効果的だ。

汚れを落とすだけなら洗車機でも十分だが、クルマ全体の目視確認も兼ねて月に1回は自分で手洗い洗車を行いたい。

月に1度は行いたいタイヤの空気圧・外観チェック

タイヤの日
タイヤチェックの頻度は月に1回が理想だ。空気圧は外気温によっても変動するため季節の堺目には必ずチェックしたい。

タイヤの空気圧点検と補充は、もっとも基本的かつ重要なメンテナンスと言えるだろう。規定よりも低いタイヤの空気圧は、燃費を悪化させるほかパンクやバーストなどのトラブルも誘発させる。

作業はドア付近に記載された指定空気圧に合わせるのが基本だが、自然減少を加味して20〜30kPahほど高めに調整しておくとよいだろう。空気圧の点検と同時にクギなどが刺さっていないかタイヤの外観チェックもしておこう。

エアコンフィルターの清掃・交換は自分でもできる

多くのクルマのエアコンフィルターは助手席グローブボックスを外した奥に備わっている。

車内環境を整えるための基本メンテナンスがエアコンフィルターの清掃だ。エアコンフィルターは、送風用に車内へ取り込む空気口のゴミや虫、花粉などを除去する役割がある。

指定されたフィルター以外は水洗い禁止となっているため、エアブローや掃除機を使うか、ゴミをはたき落とす程度の清掃しかできないが、エアコンフィルターを清潔に保っておくことは車内のカビ臭付着防止にも効果がある。

清掃頻度は1カ月〜半年サイクルで行うとよいだろう。交換時期は汚れ具合にもよるが走行距離1万〜2万kmもしくは1年が目安だ。

燃費にも関わるエアクリーナーの清掃・交換は高頻度で行いたい

ホコリっぽい場所を走行する機会が多いほど、エアクリーナーの頻繁な清掃や交換が必要になる。

エアクリーナーとも呼ばれるエンジン用エアフィルターが汚れると、エンジン性能が低下し燃費の悪化を招くため定期的な清掃と交換が必要だ。

ただし破損や取付不備があれば、ゴミなどの侵入によりエンジン内部にダメージが加わる恐れがあるためエアコンフィルターよりも慎重な作業が求められる。

交換の目安は汚れ具合に応じて走行距離2万〜5万km。清掃は数千kmごとに行っておきたい。なお、純正採用されることが多い乾式フィルターと呼ばれるタイプは水洗い不可だ。

ヘッドライトやブレーキランプの交換は自分でやるのがお得

バルブ(灯体)に皮脂が付着すると熱が集中して割れてしまう恐れがある。作業時は手袋の装着が必須だ。

作業難易度が低いヘッドライトやウィンカー、ブレーキランプなどの電球交換もDIYで行いたい箇所だ。ただし交換する電球は車種ごとに異なるため、適合する規格やワット数を確認できるだけの知識は必要になる。

クルマによってはランプユニットを外さなければ交換できない場合もあるため、難しいようなら無理せずプロに任せよう。電球の寿命は予測ができないため、球切れが起きたら速やかに交換できるように、なるべく予備の電球を用意しておくとよいだろう。

安心してクルマに乗るなら月に1度の日常点検を心がけよう

オイルなどの量は上限(MAX)と下限(MIN)の間に収まっていれば正常だ。下限を下回るようなら漏れが疑われる。

定期的な全体点検も大切なメンテナンスだ。ワイパーの拭き取り不良や、ヘッドライトの球切れなどは運転していればすぐに気付けるが、ブレーキランプの球切れやオイル漏れなどは気づきづらいうえ、重大事故に発展する恐れがある。

とくに液類や油脂類の漏洩はトラブルに直結するため定期的に量を確認しておきたい。トラックやバス、タクシーなどは1日1回の点検が義務付けられているが、乗用車に関してはタイミングが指定されていない。クルマの使用頻度に関わらず、最低でも月に1度はクルマの総点検をしておくとよいだろう。

点検は極力ユーザー自身で! 作業は費用を掛けてでもプロに任せたほうが安心

自分で手入れができる場所とできない場所の見極めも整備をするうえで重要だ。

以前であればDIYでの作業が当たり前だったバッテリー交換も、近年のクルマはバックアップ作業を行わなければ電装品の再設定が必要になったり、エンジン不調などのトラブルが起こりがちだ。

クルマによっては、簡単な作業であっても業者任せにした方がよい場合があることは覚えておこう。その一方で、保守部品の清掃や日常点検などの細かな作業は、トラブル防止や異常の早期発見、コンディション維持のためにもユーザー自身が積極的に行うべきだ。

細部までクルマを最良の状態に保ち続けたいなら、正しい知識と技術を身に着けたうえでDIY整備を行うとよいだろう。

壊れずに乗れるだけ十分だと言うなら、自身で行うのは点検+α程度にとどめ、それ以外の作業は費用を支払ってプロに任せる方が安心だ。

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