マスタングGTDは、究極のパフォーマンスを備えたストリートリーガルモデルで、最もサーキットに特化している。顧客が実際に購入して公道で走行できる車というよりも、GT3レーサーに近い外観を持ち、グリーンヘルを6分台で周回できるように設計されているのが最大の特徴だ。
その心臓部には、デュアルエアインレットとドライサンプエンジンオイルシステムを備えた専用のスーパーチャージャー付き5.2L V型8気筒ガソリンエンジンを搭載。公式な数値は明らかにしていないが最高出力は800ps以上を発揮し、史上最も強力なマスタングになるだろうと述べている。32万5000ドル(約5千100万円)という破格な車両価格にもかかわらず、すでに7500件の問い合わせがあったことをフォードは明らかにしている。
ニュルに出現したプロトタイプはグロスブラックで仕上げられ、昨年発表されたショーカーと同じく、すべてのアグレッシブなエアロコンポーネントで装飾されている。ただし後部エキゾーストパイプは変更されている。カメラマンによると、これはGTDがニュルの騒音規制に対応していないための措置だという。
さて、注目のニュルのタイムレコードだが、数年前にポルシェ 911 GT3 RSがわずか6分49秒で周回というタイムレコードを樹立していることから、エンジン馬力はニュルのタイムレコード樹立の上では最も重要な部分ではないことが証明されている。GTDでもその例にならったか、カーボンファイバー製アンダートレイ、アクティブフロントフラップ、ユニークなフェンダー、改良されたトランクリッド、大型リヤウイングを備えるほか、巨大なフロントスプリッターと空力ダイブプレーンも装備されて軽量化や空力などの面にも留意されたものとなっている。
マスタング史上最強のGTDがニュルでどんなレコードを叩き出すのか、今後数ヶ月以内に答えが出されるはずだ。