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多彩なシートアレンジが好評 燃費性能や安全性能も高水準
2003年に初代が誕生。19年に4代目が登場、21年に一部改良が行なわれたものが、現在の最新モデルとなっている。ちなみにタントといえば、言わずと知れたスーパーハイトワゴンの元祖だ。初代は90度開くドアで話題を集め、2代目は助手席側がBピラーレスのスライドドアとなり、3代目からは助手席側がBピラーレス、運転席側はピラーありの両側スライドドアとなって、4代目となる現在に続いている。つまり、ドアの開き方が特徴的なクルマだ。
エクステリア
2代目の助手席側Bピラーレススライドドア車が登場したとき、ヨレヨレと傾かないのだろうか? と、余計な心配をしたものだが、さらに3代目では、運転席側もBピラーこそあれどスライドドアになったのを見て、こんなに開口部が大きくてもヨレヨレしないことに驚きを隠せなかったことを今でも覚えている。そして現行型となる4代目では、運転席のロングスライド化を取り入れた。助手席は3代目からロングスライドするのだが、さらに運転席をロングスライドさせることで、シートアレンジのフレキシブル性もさることながら、使い勝手も向上させた。
乗降性
例えば、こんなシーン。雨の日に運転席をロングスライドさせて、室内でスッと後部座席に移動し、チャイルドシートに座る子どもにレインコートを着せて、車内で傘を差した後に助手席側のスライドドアから子どもと一緒に降りる……こんな芸当ができるのだ。子育てカーとしても名高いタントだからこそ、こういった情景がパッと目に浮かぶのである。また、最近のアウトドアシーンを思い浮かべるのもいいかもしれない。例えば、ピクニックに出掛けたとして、ずっと日差しを浴びているのも疲れるものだし、ゴロリと遠慮なく寝転がりたいなんていうときもあるだろう。また汚れてしまった服を着替えるなんていうことも想定される。こういった状況も、シートアレンジが豊富で、室内高が高いタントならすべて解決できるのは、もはや言うまでもない。
インストルメントパネル
つまり、日常的に起こるシーンとユーザーを想定し、そこに向けての使いやすさを研究し尽くして、具現化しているのが、タント最大の強みなのかもしれない。また、ファミリーで使う場合、子どもの成長に合わせて、幅広い対応力があるということも付け加えていいだろう。
居住性
そんなファミリーユースが多いからこそ、パワートレイン系統は、21年の一部改良の際に手が加えられている。安心して遠出ができるよう、細かい制御の煮詰めで燃費性能の向上が図られているのだ。ちなみに、自然吸気とターボの2本立てとなるが、どちらもとにかくトルクフルなのが特徴。出足から力強さがあるので、ACCと併せてのロングドライブでも威力を発揮してくれるのは頼もしい。無論、安全装備は準備万端だ。
うれしい装備
月間販売台数 13218台タントファンクロスを含む(23年7月~12月平均値) 現行型発表 19年7月(マイナーチェンジ 22年10月) WLTCモード燃費 22.7 ㎞/ℓ※「L」「X」のFF車
ラゲッジルーム
加えて、ロングドライブ時も、背が高く空間が大きい割には、音が反響することもなく、前後席で問題なく会話できるのも美点。後部座席での乗り心地も上々なので、どこの席に座っても、皆で楽しめる一台に仕上げられている。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。