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2024年で92回目の開催を迎えたル・マン24時間レース。世界三大レースにも数えられるこの伝統の一戦は、その長い歴史のなかではエントリー台数が30台を下回った年もあったが、今年は62台がグリッドに並ぶ。
2024年のル・マンはハイパーカー、LMP2、LMGT3の3カテゴリーが設けられており、それぞれ23台、16台、23台が参戦。また、実質ワンメイク状態のLMP2も含め、19車種が出走するというバラエティ豊かな大会となっている。
ハイパーカークラスには新規参入メーカーもあり
総合優勝を争うのは最高峰カテゴリーのハイパーカークラス。
このクラスでは、FIAとACOによるLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定車両と、IMSAとACOによるLMDh(ル・マン・デイトナh)の2カテゴリーの車両が参戦できる。
LMHは競技専用車両であるプロトタイプカーのほか、公道を走行できるハイパーカーのレース仕様車両も認められている。LMHでは各マニュファクチャラーが独自にマシンを設計、製造できるほか、エンジンの気筒数や排気量は自由で、ハイブリッドシステムの搭載と、ハイブリッド搭載車に限り四駆化も認められる。
今年のル・マンにおいては、トヨタGR010ハイブリッドを筆頭に、フェラーリ499P、プジョー9X8が継続してエントリーしているほか、今季はイソッタ・フラスキーニ・ティーポ6-Cが新規参入した。
一方のLMDh車両はダラーラ、リジェ、マルチマチック、オレカと、4社のシャシーコンストラクターが製作する次世代LMP2シャシーをベースとしたハイブリッドプロトタイプカーだ。エンジン形式の自由度は高いが、ギヤボックスを含むハイブリッドシステムは全車が共通の物を使用しなければならず、また四駆化も認められない。
2024年のル・マンに出走するLMDh車両は5車種。参戦が認められた昨季から継続参戦するキャデラックVシリーズ.R、ポルシェ963に加え、昨年から北米IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦っていたBMW MハイブリッドV8のほか、今季デビュー組のアルピーヌA424とランボルギーニSC63が耐久クラシックのグリッドに並ぶ。
技術規則の異なる多様な車両でのレースを成立させるため、ハイパーカークラスでは各車両のパワーや最低重量などを調整するBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が適用される。
その影響もあり、今年のル・マンでは予選から接戦が演じられている。上位8グリッドを決めるハイパーポールにおいては、その舞台であるサルト・サーキットが全長13kmを超えるロングコースでありながら、トップと2番手の差がわずか0.148秒という僅差となった。
今季ここまでのレースでもこのクラスは激しいバトルが繰り広げられてきており、ル・マンの決勝も見ごたえのある一戦となりそうだ。
限定復活のLMP2はワンメイク状態
2024年シーズンWECにおいては、LMP2は廃止に。しかし、このル・マンで限定的に復活を果たしている。
LMP2シャシーはダラーラ、リジェ、マルチマチック、オレカの4社が手掛けているが、今年のル・マンでは全チームがオレカ07を選んでおり、実質的にワンメイク状態となった。ちなみにエンジンはギブソンの4.2L V8NAがワンメイク供給されている。
今季から導入のLMGT3には9車種がエントリー
2024年のル・マン/WECでは、昨季までのLMGTEに代わり、LMGT3が導入された。
LMGT3は近年のGTレースシーンの主役となっているFIA GT3車両を用いたもの。しかし、ル・マン/WEC参入に際し、ドライブシャフトのトルクセンサーや自光式ナンバーパネルおよびリーダーライトなど、独自のデバイスが装備される。
今年のル・マンには、アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3、BMW M4 LMGT3、シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R、フォード・マスタングLMGT3、フェラーリ296 LMGT3、ランボルギーニ・ウラカンLMGT3 Evo2、レクサスRC F LMGT3、マクラーレン720S LMGT3 Evo、ポルシェ911 GT3 R LMGT3の9車種がエントリーし、カテゴリー初年度の優勝を争う。
LMGT3クラスにおいても、通常のGT3マシンレースと同じくBoPが採用される。また、昨年までのLMGTE Amクラス同様、アマチュアドライバーとプライベートチームにスポットライトが当てられるクラスとなっている。