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■初代の正常進化で人気も受け継いだ2代目
2007(平成19)年の6月27日、トヨタのミニバン「ヴォクシー」が兄弟車「ノア」とともにモデルチェンジし2代目へ移行。2001年に誕生した初代ヴォクシーは、8人乗りのジャストサイズのミニバンとして大ヒット、続いた2代目もキープコンセプトながら新たな魅力を加えて高い人気を集めた。
●ホンダのステップワゴンが開拓した5ナンバーミニバンの世界
乗用車をベースにした5ナンバーボディで、低床化と高いルーフにより3列シートによる余裕の室内空間と快適性を実現した新世代ミニバンを開拓したのは、1996年に登場したホンダ「ステップワゴン」である。
多人数が楽しめるボクシーなスタリングのミニバンで、従来のセダンやハッチバックとは異なる新しいファミリーカーをアピール。パワートレインは、2.0L直 4エンジンとコラム式ATの組み合わせで、駆動方式はFFとオンディマンド式4WDが用意された。さらに、ミニバンとしては軽量だったので小気味よい走りができ、RV的な用途にも対応できた。
FRの商用車ベースのミニバンが一般的であった当時、乗用車のプラットフォームで作り上げた手頃な5ナンバーサイズのホンダ・FFステップワゴンは発売から3年間、ミニバン首位を独走する大ヒットを記録した。
●ヴォクシー/ノアの登場によってステップワゴンの人気は減速
大人気のステップワゴンを追走する形で、初代ヴォクシーは「ライトエース・ノア」をFF化した後継車として、販売チャンネルの異なる兄弟車「ノア」とともに2001年にデビューした。ヴォクシーとノアの違いはフロントマスクにあり、ヴォクシーは精悍さ、ノアは親しみやすさが特徴だった。
車室内は、前から2名/3名/3名掛けの3列シートを備えた8人乗車で、どちらのスライドドアからも3列目シートへの乗降が可能。パワートレインは、2.0L直4 DOHCエンジンと電子制御4ATの組み合わせのみ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
初代ヴォクシー/ノアは、片側スライドドアのステップワゴンに対して両側スライドドアでより高いユーティリティをアピールし、若いファミリー層から絶大な人気を獲得。ステップワゴンを上回り、2002年の販売台数はヴォクシー/ノアとも7万~10万台の大ヒットを記録し、ステップワゴンを上回ったのだ。
●初代同様、若いファミリー層から人気を獲得した正常進化の2代目
ヴォクシーは、2007年初めてのモデルチェンジで2代目に移行。基本的には、先代のキープコンセプトで、“乗って、使って、走って、快適で個性際立つジャストサイズのミニバン”というコンセプトで、精悍なマスクや両側スライドドア、全体的なフォルムなどは継承された。
追加された最大のセールスポイントは、世界初のワンタッチで折り畳み跳ね上げ可能な“ワンタッチスペースアップシート”と、2列目シートが外側に回転する“チャイルドケアモード付ロングスライドマルチ回転シート”で、これらは初代以上に若いファミリー層から歓迎された。
パワートレインは、新型の2.0L DOHCエンジンおよびそのVVT(可変バルブ機構付)仕様の2種エンジンとCVTの組み合わせ、駆動方式は初代同様FFと4WDを用意。車両価格は199.5万~266.5万円(FF)、4WD仕様は約22万円高、ちなみに当時の大卒初任給は19.8万円程度(現在は約23万円)だった。
2代目も好調な販売を記録し、ヴォクシーとノアを合わせると、ミニバンとしてダントツのトップの座に君臨した。
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2021年の4代目ヴォクシー/ノアは、ミドルクラスミニバンへの要望が高まったためか、すべて3ナンバーとなった。それでも、人気は不動で2023年の販売実績ではヴォクシーとノアを合わせれば、トップの「ヤリス」に匹敵する人気だ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。