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■いったん休止の後、スポーティに変貌し復活した2代目シエンタ
2015(平成27)年7月9日、トヨタの「シエンタ」の2代目がデビューした。2003年に誕生し、キュートな7人乗りのコンパクトミニバンとしてヒットした初代だが、一旦生産を終了。12年ぶりに復活した2代目は、スポーティなスタイリングに変貌し、大ヒットモデルとなった。
●初代は、ヒットするも一旦生産を終了
ミニバンブームに火が付いた2000年当時、トヨタはミドルサイズのミニバン「ヴォクシー/ノア」、高級ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」を投入。続いてトヨタ最小のコンパクトミニバンとして2003年にデビューしたのが、シエンタだ。
コンパクトながらホイールベースを延長して3列シートを組み込み、丸目2灯のヘッドライトのキュートなフロントマスク、丸みのある可愛らしいスタリングを採用。パワートレインは、1.5L直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
コンパクトミニバンに求められる機能を凝縮したシエンタは、若いファミリー層を中心に広い層から支持されヒットしたが、その後人気は右肩下がりに。そして2008年に、実質的な後継車としてパッソをベースにした「パッソセッテ」がデビュー。初代シエンタは2010年に販売を終了した。
ところが、スライドドアを採用せず使い勝手が悪かったパッソセッテの販売は低迷、そこで2代目シエンタが再登場することになったのだ。
●2代目はスポーティに変貌、環境技術や予防安全技術を充実
2015年のこの日復活した2代目シエンタは、初代のキュートな雰囲気からトレッキングシューズをイメージしたスポーティなフォルムに変貌した。
コンパクトミニバンながら、乗降しやすいフラットで低い床、ワイドなスライドドアなど、小さな子どもからシニアまで幅広いユーザーに優しく、サードシートを格納すると26インチの自転車も搭載できるユーティリティの高さはミドルクラスのミニバンにも匹敵する。
パワートレインは、新開発の1.5L直4 DOHCエンジンとハイブリッド。ハイブリッドモデルは、22.8km/L(WLTCモード)を記録し、ミニバンとしてトップクラスの燃費を達成。さらに、急発進・急加速抑制制御やヒルスタートアシストを標準装備し、予防安全支援技術「TOYOTA Safety SenseC」がオプション設定された。
2代目シエンタの車両価格は、ガソリンモデルが168万~198万、ハイブリッドが222万~232万円に設定され、発売月7月と8月の2ヵ月間で4.9万台と驚異的な販売を記録。2016年には12万台/年を超え、その後も2019年までは年10万台前後を販売する大ヒットモデルになった。
●一時フリードに首位を奪われるのも、3代目でトップの座を奪回
2020年頃には、シエンタはモデル末期となり、ライバルのホンダ「フリード」にミニバントップの座を奪われた。
巻き返しのため、シエンタは2022年8月にプラットフォームからすべてを刷新した3代目に移行。スタイリングは、丸みを帯びたフィアット「パンダ」風の優しい印象に変わり、エンジンは同じ1.5Lだが、新型エンジンを搭載し大幅な燃費改善を実現。ハイブリッドの燃費は、28.2~28.8km/L(WLTCモード)と、2代目に対して大幅に向上した。
2代目以上に、徹底的にユーザーの使い勝手や利便性を細部にわたって追求し、5ナンバーサイズの7人乗りというコンセプトと200万円を切るというお買い得の価格設定も継承。発売とともに3代目シエンタは、2022年度の販売ランキングでフリードを抜いてミニバントップの座に。登録車全体でも5位となる大ヒットを記録したのだ。
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コンパクトミニバンには、軽のハイトワゴンやSUV風コンパクトカーのようなライバルが多い激戦区である。そのような中、頑なに5ナンバーサイズで使いやすさを追求し、“3列シート、7人乗り、200万以下”を堅持しているシエンタ。そこに、シエンタの魅力の神髄があるのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。